バツとマルメンライトとファンタメロン

ぼんやりと小ぶりなミラーボールを眺めている。かなりの音量でトランスが流れているはずなのだけれど、それは今のことなのだか、記憶の中のことのだか分からない。サングラスをしているので全体的に暗く、下半身に張り付いて熱心に柔らかい陰茎を頬張っているのが一体誰なのかわからない。性的快感はそこに確実にあるはずなのに、現実感は皆無で、そもそも誰が自分の何を頬張っていようがどうでもいい。

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'95 till Infinity #027

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【 第1章: 2nd Summer of Love of Our Own #019

 「何やってんだよ、トーニ。もう行くぞ」と何度言っても、「いいから、いいから」と言って出てくる気配はない。

 ドアを押さえている左手の肩にそっと鼻をあててみる。Tシャツの袖には確かに汗の匂いや他の何だかわからない臭

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男の射精

男の射精ってどんな感覚だろう。
クリ逝きと似てるらしいが
『あぁ、あんな感じ??』
と聞いたところで
クリ逝きを体験したことのない
男性に分かるわけもなく
答えは風の中。。。

サティが男の射精に興味を持ったのは
射精すると精神的にも肉体的にも
快感は急降下すると聞いたからだ。
肉体的に急降下することは知っていたが
精神的にも急降下、冷め冷めになるとは
寝耳に水だ。
『えーーーッ?!』
サティは動

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重なる時
あなたを誰にも触れさせない

吸い付くように
求め合う

緻密に
慎重に

震える
乱れる

空氣すら入れない
蜜のように
ねっとりとした指先

乾く暇もなく
また重ねる

ブレてズレて
動いて
吐息

ネイルエクスタシー
マニキュアのお話

'95 till Infinity #026

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【 第1章: 2nd Summer of Love of Our Own #018

 その最後のセリフが効いたトーニは、渋々ボトルをカイロに渡す。

 自分の手垢で黒光りしているようなセリフでも、それを言われるとトーニは断れなかった。

 「友達」という言葉が出てくると「ノー」と言えなかったのはトーニだけじゃなかった。

 あの頃の俺たちにとって、その「友達」という言葉

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'95 till Infinity #025

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【 第1章: 2nd Summer of Love of Our Own #017

 俺たちが靴ひもを締めなおしているところに、自分の部屋から去年のクリスマスプレゼントに母親に貰ったカルバン・クラインONEのボトルを持ったトーニが戻ってくる。

 それは、いつもスケボーで波状に塩が拭いたTシャツから汗の臭いを撒き散らしているトーニに、「そんなことじゃ、女の子にもてないわ

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'95 till Infinity #024

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【 第1章: 2nd Summer of Love of Our Own #016

 しばらくして帰ってきたトーニの手には乾燥機から引っ張り出してきた俺とカイロのTシャツ。投げられたTシャツを俺はキャッチしたけど、カイロのTシャツはビデオに夢中のカイロの頭を包み込むようにふわりと着地する。

 一瞬間が空いてからカイロはTシャツを取ってトーニを睨みながら言う。

 「お

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'95 till Infinity #023

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【 第1章: 2nd Summer of Love of Our Own #015

 すると、帰ってくるなりそそくさとスケボーのビデオをつけてカーペットに座り込んでいたカイロがTVから目もそらさずに言う。

 「ていうかさ、どっちにしろ俺たちはレイブに知ってる奴なんか誰もいないんだから関係なくない?そしたら、ガラガラでもパンパンでも関係ないよ。」

 それを聞いたトーニ

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'95 till Infinity #022

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【 第1章: 2nd Summer of Love of Our Own #014

 ビニール袋に入った持ち帰り中華が入ったタッパーを片手に友達がバイトをしているデリに寄って、そこでIDなしで買ったビールの大瓶を回し飲みしながら俺たちは歩く。もちろん、車が来たらビールが入った紙袋をさっと後ろ手に隠しながら。

 誰からともなく公園の方に向かった俺たちは広い公園の濡れた芝

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'95 till Infinity #021

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【 第1章: 2nd Summer of Love of Our Own #013

 俺たちがそのTシャツを被って、リモコンでケーブルTVのチャンネルを合わせていると、トーニが人数分のマグカップを持ってくる。

 半日みっちり滑った後の、ミルクと砂糖がたっぷり入った暖かい紅茶は格別だ。カップを両手でつつんだ俺たちは、何でもない内容の話をまた始める。

 トーニはよっぽど

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