レイブ

'95 till Infinity #033

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【 第1章: 2nd Summer of Love of Our Own #025

 俺はトーニにもう一度だけ言ってみる。

 「なぁ、トーニ、その金あったとこに返してこようぜ。どう考えてもよくないぜ、そんなこと」

 トーニは俺の目をまっすぐに一度睨んで答える。

 「俺が俺の母ちゃんの金を取ってき

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'95 till Infinity #032

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【 第1章: 2nd Summer of Love of Our Own #024

 俺はトーニの母親が大好きだった。

 彼女は俺や他の奴の母親みたいに細かい、そんなこと言っても何にも変わんないよという意味のないことは一切言わない、スーパークールな母親だった。

 他の母親たちなら俺たちをガキ扱いし

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'95 till Infinity #031

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【 第1章: 2nd Summer of Love of Our Own #023

 「そんな言ってもよ、いいじゃん、別に。大体俺はさ、ガキの頃から今日みたいに週末の夜には放っておかれたんだよ。

 考えてみてみ、その俺がずっと一人でいた時間にベビーシッターとか雇ってたらこんな金じゃ済まないぜ。だから

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'95 till Infinity #030

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【 第1章: 2nd Summer of Love of Our Own #022

 俺たち3人はバス停に向かって歩きだす。

 右手には煙草、左手はポケットの中。まだ見たこともないとんでもなく楽しいことへの希望を持って。

 カイロだけがスケボーを持ってきている。カイロにスケボー、赤ちゃんにおしゃぶ

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'95 till Infinity #029

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【 第1章: 2nd Summer of Love of Our Own #021

 カイロの横に立って空を眺めながら、俺はカイロが言ったことについて考えてみる。

 一日24時間の内の12時間近くは夜だ。俺が生まれてまだ16年かそこらだけど、夜がない日なんて一度もなかった。

 それこそ俺は計算でき

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'95 till Infinity #028

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【 第1章: 2nd Summer of Love of Our Own #020

 最後に笑うのは俺みたいに『違い』のわかった奴なんだよと思いながら外に出てみると、カイロは煙草を口に咥えたまま空を見ていた。

 俺に気づいたカイロは空を見上げたまま言う。

 「今日の空はすごいよ。空全体が丸い小さい

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'95 till Infinity #027

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【 第1章: 2nd Summer of Love of Our Own #019

 「何やってんだよ、トーニ。もう行くぞ」と何度言っても、「いいから、いいから」と言って出てくる気配はない。

 ドアを押さえている左手の肩にそっと鼻をあててみる。Tシャツの袖には確かに汗の匂いや他の何だかわからない臭

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'95 till Infinity #026

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【 第1章: 2nd Summer of Love of Our Own #018

 その最後のセリフが効いたトーニは、渋々ボトルをカイロに渡す。

 自分の手垢で黒光りしているようなセリフでも、それを言われるとトーニは断れなかった。

 「友達」という言葉が出てくると「ノー」と言えなかったのはトーニだけじゃなかった。

 あの頃の俺たちにとって、その「友達」という言葉

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'95 till Infinity #025

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【 第1章: 2nd Summer of Love of Our Own #017

 俺たちが靴ひもを締めなおしているところに、自分の部屋から去年のクリスマスプレゼントに母親に貰ったカルバン・クラインONEのボトルを持ったトーニが戻ってくる。

 それは、いつもスケボーで波状に塩が拭いたTシャツから汗の臭いを撒き散らしているトーニに、「そんなことじゃ、女の子にもてないわ

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'95 till Infinity #024

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【 第1章: 2nd Summer of Love of Our Own #016

 しばらくして帰ってきたトーニの手には乾燥機から引っ張り出してきた俺とカイロのTシャツ。投げられたTシャツを俺はキャッチしたけど、カイロのTシャツはビデオに夢中のカイロの頭を包み込むようにふわりと着地する。

 一瞬間が空いてからカイロはTシャツを取ってトーニを睨みながら言う。

 「お

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