AnoMArts/アノマーツ(子どもの本、絵本、児童書)

児童書、絵本の出版社立ち上げを目指します!/困り事のある子ども達や家族に寄り添い応援す…

AnoMArts/アノマーツ(子どもの本、絵本、児童書)

児童書、絵本の出版社立ち上げを目指します!/困り事のある子ども達や家族に寄り添い応援する絵本を制作中/発達障害/不登校/児童文学作家さんのインタビューをnoteで掲載中/主催・水木志朗/雑誌・書籍のデザイナー/武蔵美/基礎デザイン/北海道/1976

マガジン

  • 児童文学作家インタビュー|児童書がおしえてくれたこと

    濱野京子さん、にしがきようこさん、高田由紀子さん、工藤純子さん、いとうみくさん、など第一線で活躍される児童文学作家の方々に創作の思いをお聞きしているインタビュー記事です。どの作品も面白いのはもちろんのこと、不登校や、障害、LGBTQ、いじめ、家庭問題、ヤングケアラー、など現代の子ども達の問題も描いています。作家のみなさんの真摯に子供たちに向き合う気持ちがストレートに伝わってくる作品ばかりです。 児童文学作家のみなさんが、何を考え、何を感じて作品を作っているのか、 その思いを少しもお伝えできればと思っています。

最近の記事

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児童書がいちばん自由にのびのびと、書きたいものが書ける|如月かずさ(児童文学作家)【後編】AnoMartsインタビューvol.6

「給食アンサンブル」を読んで驚いたのは、主人公が一人ではないこと。正確に言うと、オムニバス形式でクラスの仲間それぞれが主人公になり、脇役になるのです。家族に守られて自分が中心の小学生時代から、中学生になると友達との複雑な人間関係を築くことになります。それは成長でもありますが、悩んだり葛藤したり、カーストなんてものに巻き込まれてしまうこともあるかもしれません。  スポーツができる子や、勉強ができる子ばかりにスポットが当たりがちな現実もあります。でもそんな時でも、如月さんの目線は

    • 介護視点から観る『アメリカンフィクション』  ~リアルな親の介護問題 VS フィクションとしての黒人像差別~

      連載:老いとサブカルと私とは  介護をしています。両親が二人とも認知症です。母はかなり認知症が進み介護施設に入っていて、父は現在進行形で認知症です。子育てをしながら、親のお世話もしていてるのですが、最近はそういうのをWケアというらしいです。認知症って本当に大変なんです。親の衰えを見ているのだけでも悲しい上に、着替えさせたり、食べさせたり、おしっこや、うんちのお世話まで、子育てとほぼ同じことを“親”にやらなければならないんです。  子育ての事はこんなに大事なことなのに学校で

      • 桜の下でピクニックをするたろうの姿に不登校経験者はきっと泣く|『たろうのひっこし』を読んで

        卒業シーズンはモヤモヤする  卒業シーズンですね。街ゆく学生が晴れやかな顔をして連れ立って歩いている光景が見られます。卒業ソングも流れてきます。ところで、『たろうのひっこし』(福音館書店)村山圭子・さく/堀内誠一・絵。という絵本を読んだことがありますか?堀内誠一さんの明るい色彩の絵で楽しい絵本なんですが、実は春の絵本です。ラストには桜の木の下で、桜吹雪の中みんなでお花見をするんですよね。まさに、この時期の絵本なんです。  でも、僕自身はこの時期は個人的には、ちょっとモヤモ

        • 本当は怖い?てぶくろのはなし 〜ウクライナ民話に込められた反戦の思い〜|『てぶくろ』を読んで

           ウクライナにロシアが侵攻して2年が経とうとしていますが、最近『てぶくろ』というこの絵本が再び注目を集めているのはご存知でしょうか?実はウクライナ民話がもとになっているからです。表紙にもタイトルの上にウクライナ民話とはっきり書いていますね。内容的にも楽しいユーモラスなお話しだと思っていましたが、実は平和への強いメッセージがあるとして時を超えて違う意味を持ってきている作品なのです。  表紙だけを見ると、てぶくろに動物達がパンパンに入っていてほのぼのとしたお話しに見えますが、実は

        • 固定された記事

        児童書がいちばん自由にのびのびと、書きたいものが書ける|如月かずさ(児童文学作家)【後編】AnoMartsインタビューvol.6

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        • 児童文学作家インタビュー|児童書がおしえてくれたこと
          12本

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          「らしさ」から解放されて、 ハッピーで生きやすい社会に|如月かずさ(児童文学作家)【前編】AnoMartsインタビューvol.6

          今回の如月さんのインタビューの中で出てきた「あわい」という言葉がとても印象に残りました。 「あわい」とは物と物との間という意味。 如月さんの作品はこの「あわい」をいつも大切にされていると思いました。  私たちは、つい男らしさや女らしさだけを意識して生きていますが、その間にはさまざまなセクシャリティーがあり、そこで悩んでいる人もたくさんいると思います。たった2色しかなかったら世の中は味気ないものですが、さまざまな色があると気持ちも豊かになりますよね。  如月さんの作品を読んで感

          「らしさ」から解放されて、 ハッピーで生きやすい社会に|如月かずさ(児童文学作家)【前編】AnoMartsインタビューvol.6

          11ぴきのねこぜんぶ読む|『11ぴきのねこ』シリーズを読んで

          ユーモアに隠れた集団の暴走と手塚治虫と反戦と11ぴきのねこ』シリーズはかなり変なお話し 『池の水ぜんぶ抜く』というTV番組があります。池に溜まったゴミを掃除したり、外来種の駆除をしていました。しかし、生態系が崩れたり、そもそも外来種=悪では無いという意見など賛否両論あったようです。それぞれの土地で環境も違うので、半分抜くとかゴミだけ拾うとか臨機応変にやる必要もあったかもしれません。でも、町の人が総動員でうわーっと池の中を探していて、一視聴者としては何があるのか好奇心がくすぐ

          11ぴきのねこぜんぶ読む|『11ぴきのねこ』シリーズを読んで

          居場所をめぐる冒険|『ぐるんぱのようちえん』を読んで

          レゴとダイヤブロックははまらない  子供の頃レゴブロックで遊んでいるとたまにどうしてもハマらないパーツがありました。よく見るとそれは、レゴブロックとよく似たダイヤブロックだったのです。レゴブロックはデンマーク製なのに対してこちらは日本製。微妙にはめこむ凸凹の大きさが違うので、無理にグイグイおしてもくっつかない。なのでレゴブロックとダイヤブロックという、違う規格のものは一緒には遊べないんですよね。  このように合わない場所でいくらがんばっても、合わないものは合わないというの

          居場所をめぐる冒険|『ぐるんぱのようちえん』を読んで

          君たちはどこをみているか|『君たちはどう生きるか』を観て『どろんこハリー』を思い出したこと

          宮﨑駿作品で賛否両論は珍しい  先日宮崎駿の最新作『君たちはどういきるか』を見てなぜか絵本の『どろんこハリー』を連想しました。正確にいうと内容よりも、今回特殊な公開のやり方と繋がりがあると思ったのです。 『君たちはどういきるか』は賛否両論割れているそうです。  こんな事って今まで無かったですよね?宮崎駿やスタジオジブリの作品は今までほとんどが公開したら絶賛、絶賛の嵐でみんなが大好きみたいな評価のされ方だったと思います。でも、今回はつまらなかったと酷評する人も、宮崎駿の集大

          君たちはどこをみているか|『君たちはどう生きるか』を観て『どろんこハリー』を思い出したこと

          マイノリティか、マジョリティか?どっちなんだい!|『スイミー』レオ=レオーニ を読んで

          内側から見ている景色と、外側から見える景色  内側から見ている景色と、外側から見える景色って違いますよね。  先日用事で札幌に行ってきました。北海道のある世代は東京や本州を「内地」と言います。「それは内地のやり方でしょ」みたいな感じで。北海道人は本州とは海で隔たっているので、外側から内側を見ている感覚がどこかにあるんですよね、自分も含めて。  そしてこの外側にきた感じは、自分の子どもが発達障害と知った時にも感じました。不登校を経験して発達障害とわかった時、この先みんなと同じ

          マイノリティか、マジョリティか?どっちなんだい!|『スイミー』レオ=レオーニ を読んで

          多様な家族をひとつひとつ拾い上げる物語|いとうみく(児童文学作家)【後編】AnoMartsインタビューvol.5

          苦しい状況や、挫折を感じたことがある読者ほど、いとうさんの作品を読むと、 まるで自分の事を書いている物語だと感じるでしょう。 そして最後には人生捨てたもんじゃないとポジティブな気持ちになります。それだけ、いとうさんが主人公達の気持ちに寄り添って、応援しながら物語を書いているからだと思います。 たしかにお話を聞いていると、物語の登場人物がまるで実在の人物の事を話しているような時がありました。いとうさんの作品達は子ども達の人生のピンチの時に、きっと心の支えのような物語になると思い

          多様な家族をひとつひとつ拾い上げる物語|いとうみく(児童文学作家)【後編】AnoMartsインタビューvol.5

          主人公が顔を上げるまで、人物を掘り下げる|いとうみく(児童文学作家)【前編】AnoMartsインタビューvol.5

          いとうさんの作品には様々な形の家族が登場します。 ご本人も読者から、家族のお話が多いですねと度々言われるそう。 その家族の形は、両親が亡くなっていたり、離婚していたり、決して幸せとは言えない家族も多い。だけど、登場人物達はそれに負けず前を向こうとする。 それはきっといとうさんが子ども達の力を心底信じているからなのでしょう。 だから読者は主人公と一緒に、いとうさんと一緒に物語の中を走って頑張れ! と応援したい気持ちになるのだと思います。 そんないとうみくさんの作品作りの背景には

          主人公が顔を上げるまで、人物を掘り下げる|いとうみく(児童文学作家)【前編】AnoMartsインタビューvol.5

          にげれるものなら にげてみよう|『にげて さがして』ヨシタケシンスケ を読んで

          〜卒業と不登校と居場所について〜 『にげて さがして』(赤ちゃんとママ社)ヨシタケシンスケ・さくを読んで にげるを肯定する 卒業、入学の季節ですね。  卒業式に出席できない。そんなことがあるなんて、信じられなかったのですがそういうことってあるんです。実は私の子供がそうだったんです。  私の子供は、不登校をしていたので、中学も高校も卒業式に出席しませんでした。記念だから、けじめだから、卒業式だけは行ってほしいという気持ちも親の私達にはどこかにありました。でも、ずっと長い期間

          にげれるものなら にげてみよう|『にげて さがして』ヨシタケシンスケ を読んで

          モノには思い出|『こんとあき』を読んで

          〜サブスク時代に作品を好きになること〜 思い入れの“入れ物”が無くなった  先日、デザイナーの信藤三雄さんが亡くなりました。信藤さんはデザイナー、アートディレクターで、90年代に渋谷系と言われる、都会的な音楽のCDジャケットを数多く手掛けました。  90年代当時は私は中学、高校生だったのでまさにこの渋谷系の音楽に憧れてCDをたくさん買っていました。一時期は1000枚近くありました。信藤三雄さんが亡くなって、家にあったCDを引っ張り出してきたら当時の思い出や時代の雰囲気が一

          モノには思い出|『こんとあき』を読んで

          思い出がつみ木のように、、、ならない認知症|『つみきのいえ』を読んで

          『つみきのいえ』(白泉社)加藤 久仁生・絵 平田 研也・文 思い出が積み重なるように、家も積み重なる  つみ木と思い出は似ている。どちらも積み上げていくもので、積み上がった分だけ喜びやその苦労が報われた達成感があります。また、作ったつみ木が崩れて泣いた。そんな経験も子供の頃に誰でもありますよね。つみ木は作っている時は楽しいですが崩れると、頑張って作った時間がゼロになるようで子供心にも悲しいものでした。  今回の本はそんなつみ木と思い出がモチーフの『つみきのいえ』   20

          思い出がつみ木のように、、、ならない認知症|『つみきのいえ』を読んで

          がんこばあさん、クリスマスに孤独とやさしさを知る|『くつしたあみのおばあさん』を読んで

          寂しさが強調されるのがクリスマスやお正月  クリスマスなんて嫌いだ!そういう人もたくさんいると思います。街はキラキラしていて、クリスマスソングばかり流れて、SNSでは楽しいクリスマスシーンの写真ばかりながれてきます。幸せな人はより幸せに、寂しい人はより寂しさをクッキリ強調されてしまうのがクリスマスです。お正月や成人式も同じかもしれません。僕も若い頃は彼女もいなくて実家にも帰らず、一人でクリスマスを過ごして本当に自分の部屋から一歩も外る気になれませんでした。  でもクリスマス

          がんこばあさん、クリスマスに孤独とやさしさを知る|『くつしたあみのおばあさん』を読んで

          豆太よ、しょんべんに行けなくてもいい、やさしさは強さだから|『モチモチの木』を読んで

          優しさのバトンは受け継がれる  「モチモチの木」は読んだことはありますか?おじいさんと子供の顔の表紙が怖そうな印象を受けますが、実はとても優しい物語なんです。 このお話に出てくるモチモチの木というのは、「シモ月(11月)二十日のうしみつ にモチモチの木に ひがともる」と言われています。 なので、まさに今頃の秋から冬になる季節のお話。朝は寒くて布団から出るのも嫌になる季節です。   そんな「モチモチの木」のストーリーは覚えいている人も多いかもしれません。  豆太は、夜中にひと

          豆太よ、しょんべんに行けなくてもいい、やさしさは強さだから|『モチモチの木』を読んで