ᴀʀᴛ & ᴛʜᴇʀᴀᴘʏ ᴏғғɪᴄᴇ ʏᴜᴍɪᴛ

yumit 臨床心理士・公認心理師・臨床美術士・大学非常勤講師🇯🇵 BAAT英国アートセ…

ᴀʀᴛ & ᴛʜᴇʀᴀᴘʏ ᴏғғɪᴄᴇ ʏᴜᴍɪᴛ

yumit 臨床心理士・公認心理師・臨床美術士・大学非常勤講師🇯🇵 BAAT英国アートセラピスト🇬🇧 東京の小さなアートセラピーオフィス。芸術療法、アート思考など、アート×心理学にまつわることを書いています📖 https://yumitjp.weebly.com

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なぜ今 【アート思考】 なのか?

今日はアートセラピーとも関連の深い、【アート思考】についてのお話をしたいと思います。 突然ですがみなさま、近年日本において【アート思考】に関する書籍が爆発的に出版されているのをご存知でしょうか? (私が最近読んだだけでもこれだけありました↓) 帯にはこんなキャッチコピーが並びます。 「時代はMBA(経営学修士)からMFA(美術学修士)へ」 「論理的思考・MBAでは戦えない “直感”と“感性”の時代」 「ロジカルシンキング→デザインシンキング→アートシンキングへ」 「シリ

    • 「はい」と「いいえ」のあいだに

      工藤直子さんの「双子の心」という詩の一部です。 大好きな詩です。 詩人というのはすごいですね。 私が何日かかっても説明出来なさそうなことを、こんなにやさしい言葉で表現してしまう。 私はまさに日々「こころ」を扱う仕事をさせていただいているわけですが、 病院というのは、なかなか「100万の虹色の答え」を受け入れ難い場所だなと感じています。 * たとえば、私たち心理職よくぶつかる壁のひとつに「診断」というものがあります。 「診断」というのは、医師が、人の状態に既存の病名ラ

      • アメリカの心理士さんに聞いた、日本との違い

        すごくすごく幸運なことだと思うのですが、今、私の職場のデスクの隣には、サンフランシスコから来た心理士さんが座っています。 サイコロジストなので“心理学者さん“と呼ぶべきなのかもしれませんが。 彼女は米国でも名高いUCSF Healthで働くサイコロジストなのですが、私の職場の上司さん(精神科医の先生)と共同研究をするために日本にやってきたのです。 私は同じ心理士で、かつイギリスにいたんだから英語ある程度喋れるだろとのことで、上司さんが隣のデスクにセッティングしてくれたわけ

        • 2023年の芸術療法学会と芸術療法セミナーを振り返って

          こんにちは。もうすっかり涼しくなりましたね。 去年の秋にこんな記事を書いたのですが、 それから約一年。今年9月の芸術療法学会にはシンポジストとして、 10月の芸術療法セミナー2023には講師としてご招待いただきました。 そんなわけで今秋は(もちろん同時に常勤の病院での仕事もあり)目が回るほど忙しかったのですが、自分にとってこれ以上ないくらい、学び、言語化し、経験させていただいた季節だったように思います。 このような機会を下さった芸術療法学会の先生方、そして私の拙い発表

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        なぜ今 【アート思考】 なのか?

          "アートセラピスト"になるには?

          yumitを立ち上げて、アートセラピストという肩書きで活動を始めてから、何度もいただいてきたご質問です。 実は、yumitへのお問合せは、クライエントさまだけでなく、アートセラピーそのものに興味のあるかた、実際にアートセラピーを行っているかたからのものも結構多いのです。特に「イギリスでのアートセラピーについて知りたい」というご要望が多いように感じます。 そのような目的でのオンラインセッション、SVもよくお受けしています。 同じ興味を持つ方々からのお問合せ、セッションのご

          "アートセラピスト"になるには?

          2022芸術療法学会で発表してきました

          みなさま、こんにちは。 先日(2022/11/6)開催された第53回日本芸術療法学会にて、演題発表をして参りました。 芸術療法学会は年に一度開催されているのですが、今回の開催地は東京・八王子。 会場は八王子ホテルニューグランドという古めかしい(?)ホテルでした。 先生方の講義も他の方々の発表も聞きたくて、八王子に泊まってガッツリ2日間参加してきたのですが、本でしか知らなかったような著名な先生方と直接お話しすることができ、とても貴重な機会となりました。 しかも、私の発表

          2022芸術療法学会で発表してきました

          師匠に会って聞いた、イギリス・アートセラピーの今

          今年の長期休暇はいろいろなご縁が重なって、ロンドンを訪れることができました。 ただ、今回のロンドン滞在はたった3日間。 しかもちょうど皆バケーションに出てしまう時期だったので、すれ違いで会えない人もたくさんいました。 でも、私がいちばん会いたかった先生とは、奇跡的にお会いすることができました。 彼女の名前はMia。NHSの精神科病院に勤務するベテランのアートセラピストであり、ロンドン大学のアートセラピーマスターコースの教授でもあります。 私がNHSで実習生として働かせ

          師匠に会って聞いた、イギリス・アートセラピーの今

          「つらい」という感情から、目を背けなくていい

          みなさま、お久しぶりです。yumitです。 今回はアートセラピーとは少し離れたお話になりますが、 先日(といってももう半年以上前…)、雑誌に記事を寄稿させていただきました。 YORi -SOUがんナーシング という、がん看護領域の専門雑誌です。 メディカ出版という出版社さまから出ています。 かなり専門度の高い領域なのですが、とても読みやすく、臨床の現場に立つ人にとって役に立つ雑誌だと思います。興味のある方はぜひお手に取ってみてください。 なぜ私がこんな専門誌に寄稿さ

          「つらい」という感情から、目を背けなくていい

          ひとの輪のなかで、アートセラピーが「ゆるす」もの  

          みなさま、こんにちは。 早いもので、イギリスの大学院でアートセラピーを学び、再び日本で「臨床心理士」として働き始めて5年目を迎えようとしています。帰国してから「公認心理師」という国家資格ができたのでそっちもついでに取得し、大学病院の精神科での仕事にもやっと(遅い)慣れてきたのかなと感じています。それでもまだまだ日々学ぶことに追われていますが… 幸いなことに日本の病院でもアートセラピーの機会をいただくことができ、細々とではありますが、私の主催するアートグループセッションも4

          ひとの輪のなかで、アートセラピーが「ゆるす」もの  

          【Art:アート】という祈り

          こんにちは、アートセラピーオフィス yumitです。 突然ですが、みなさまは、「絵画の誕生」という神話をご存知でしょうか? 古代ローマの博物学者である大プリニウス(Gaius Plinius Secundus)が、「博物誌」という著書の中に記したものです。 むかしむかし、ギリシャのコリントスという都市に、愛し合っている若い恋人同士がいました。 しかしある時、青年は戦地へ送られることとなり、2人は運命に引き裂かれてしまいます。再び生きて会えるかもわからないまま。 彼女は別

          これからのビジネスに、アート思考はどう生きるのか 【アート思考 Vol.3】

          めまぐるしく変化するこれからの世界で、私たちの課題を解決するヒントとして注目を集めている【アート思考】。 前々回のnoteでは、【アート思考】とは何か?なぜ今注目を集めているのか?ということについて、そして前回のnoteでは、【アート思考】の始点となる「アーティストのものの見方」について、お話ししました。 今回は、ある一冊の本をご紹介しながら、「これからのビジネスに、(実際に)アート思考はどう役立ち得るのか?」というお話をしてみたいと思います。 その本とは、ニューヨーク

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          アーティストは物をどう“みる”か? 【アート思考 Vol.2】

          いま、ビジネス・教育など、ジャンルの垣根を超えて世界的に注目を集めている【アート思考】。 前回の記事で、【アート思考】とは、「アーティストの思考を取り入れること」、 「アーティストが作品を生み出す時の思考や創作のプロセス」を取り入れることだというお話をしました。 このVUCAの世界を切り開いていくスキルとして、特にビジネス分野でその必要性が叫ばれている【アート思考】。 でも、よくよく見てみると、アート思考の提唱者たちのほとんどはビジネスエリート・学者たちであり、そこに当

          アーティストは物をどう“みる”か? 【アート思考 Vol.2】

          早稲田での講義【ケースを通して知るアートセラピー】について

          こんにちは。 アートセラピーオフィスyumit です。 今回のnoteでは、yumit HPでもお知らせしていた私の早稲田大学でのアートセラピーの講義についてご紹介したいと思います。 講義のタイトルは 【ケースを通して知るアートセラピー】。 2018年に早稲田の所沢キャンパスにて、ゲスト講師として約90分の講義を行ったのですが、翌2019年には早稲田のスタジオで収録を行い、オンラインのコンテンツとして利用していただくことになりました。 2020年秋現在は早稲田大学

          早稲田での講義【ケースを通して知るアートセラピー】について

          美術鑑賞が“治療”になる? 医師がアートを「処方」する試み

          こんにちは。アートセラピーオフィス yumit です。 わたくしごとですが、先日、ずっとずっと行きたかった【ピーター・ドイグ展】に行ってきました。 コロナの影響でなかなか訪れることが叶わなかったので、「やっと観れた!」と喜びもひとしおでした。 今回の展示のメインビジュアルとなっている、夢のように美しい色彩の「ガストホーフ・ツァ・ムルデンタールシュペレ」をはじめ、不気味で不穏な雰囲気の漂う小舟のあるシリーズ、日本のスキー場広告をもとに描かれた大きな作品、どこかムンクを思

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          「健康」とは何か?について考えてみる

          こんにちは。 アートセラピーオフィスyumit です。 最近読んでいた本に、「健康」とは何か? という問いがありました。 稲葉俊朗さんという医師の先生が書かれた本です。(とても読みやすい良書なのでオススメです) 大切な問いなので、是非ここでも考えてみたいなと思ったのです。 「健康」とは、「病気ではない」こと? 「病」をなくせば、「健康」なの? 稲葉さんはこの本の冒頭で、以下のように仰っていました。 "その人にとっての「健康」は、一人ひとりが主体的に決めて、発見す

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          日本発の優れたアートセラピー 「臨床美術」

          こんにちは。 アートセラピーオフィスyumit です。 今回のnoteでは、私が日本で出会ったアートセラピー、「臨床美術」についてご紹介したいと思います。 臨床美術公式HP http://www.zoukei.co.jp 「臨床美術」とは、創作活動を通じて脳の働きを活性化させることを目的としたアートプログラム。 つくること、描くことを楽しみながら、認知機能の向上、ストレスケア、意欲の向上、心の傷つきの回復、右脳開発など様々な効果が得られるとされています。1996年

          日本発の優れたアートセラピー 「臨床美術」