夜と街

住んでる街、歴史ある都会や美しい自然を旅するなかで出会った風景、好きな人たちと過ごした…

夜と街

住んでる街、歴史ある都会や美しい自然を旅するなかで出会った風景、好きな人たちと過ごした時間を描いたり書いたりします。鳥が好き。

マガジン

  • 暮らし

    日々の生活こそが人生

  • 自然

    バーダー、ネイチャーハンター(予定)としての視点。

  • 作品集

    アクリル画、水彩画

  • 人間活動の集大成ともいえる都市を軸に、そこで生きるひとの生活、文化、精神に思いを馳せる。あるいはただの散歩の記録。

最近の記事

サステナビリティ考|ずっと続いてほしいものにエールを

イッタラの花瓶を友達の結婚祝いに贈ることにした。表参道を歩いているときにたまたま見つけて、「これしかない」と思った。 一点一点手作りで、厚み、重さ、気泡の入り方、全部違うらしい。リサイクルガラスだからこその絶妙なグレーの色合いと、縁が描く不均一なカーブが、遊び心とかっこよさを併せ持った友達のイメージとぴったりだった。 *** 心惹かれるものにお金を払いたいと思う。 例えば、職人やアーティストと呼ばれる人の仕事。 こういう買い物は、金額以上の満足がある。 ものを通じて

    • 野鳥観察|夏先取りユリカモメ

      このごろはずっと雨ばかりで、気温は低く風も強い。 3月も終わりですよ。春ならばもうちょっとこう、陽気をさ、うららかにさ。 そう期待してしまうけど、毎年春はそのイメージを裏切って案外冷たいものだ。ギャップに勝手に打ちひしがれるのもまた春の風物詩といえる。 「あー春。」と思いながらどんよりと公園の池を眺めていたら、意外な姿が目の前を横切った。 あれ、よく見えなかったけど頭、黒い?? とまってくれた。1羽だけ、やっぱり黒い。 * この鳥はユリカモメで、日本では冬鳥だ。

      • 野鳥観察|こんなところにカンムリカイツブリ/鳥を通じて発見する街の中の自然

        JRに乗って、自宅のある西神戸から大阪の東側へ。 奈良県に入る手前で降りるとそこは、生駒山が見える閑静な住宅街だ。 ここで月に一度、友達の会社の絵画クラブにお邪魔して油絵を描いている。 その日は早めに駅に着いた。 そんな日はだいたい駅のスタバかロッテリアに入ることが多いのだけど、天気も良かったし、近くを散策することにした。 * 少し目線を上げれば遠くに山が見えると言っても、足元の道は綺麗に整備されている。剥き出しの土や草地や林道みたいな自然の余地はほとんどない。 駅

        • エディンバラ暮らし|巡るキャロットケーキ

          後悔の残る旅はきっと良い旅だ。 2018/12|はじまりのキャロットケーキ 5年前の年の瀬、母と二人でイングランドにいた。 社会人3年目になった私からの「親孝行」旅のつもりだったけど、思い返せばあれはむしろ、私の好きな国についてきてくれた母からの「子孝行」旅だった。 あのとき、小さなベーカリーでどでかいキャロットケーキを見つけた。 茶色の生地に分厚いフロスティングがかかった、見るからに重ためのお菓子。惹かれたけど、当時は見送った。 それ以来、キャロットケーキを食べ逃

        サステナビリティ考|ずっと続いてほしいものにエールを

        マガジン

        • 暮らし
          24本
        • 自然
          22本
        • 作品集
          26本
        • 8本

        記事

          野外鳥類学の扉をたたく。空の広さを知る

          この冬、日本野鳥の会による「野外鳥類学講座」にお世話になっていた。鳥を通じて世界とつながれるということ、大人になって学ぶのはとても楽しいことを知った数ヶ月間だった。 「野外鳥類学」の扉をたたく 何気なくネットを眺めていたらたまたま見つけたこのページに、目が釘付けになった。 「調査研究に関心がある方」。 流石に背伸びしすぎかな?でも・・・ * 鳥類世界の楽しみ方は人によって様々だ。 写真に撮ることが好きな人もいれば、絵を描くことが好きな人もいる。庭に餌箱を置いて、眺め

          野外鳥類学の扉をたたく。空の広さを知る

          読書感想『R・E・S・P・E・C・T』|生活に主体性を取り戻す

          ブレイディみかこさんの本、『R・E・S・P・C・T』を新幹線の中でKindle にダウンロードして、一気読みしてしまった。紙の本も書店で探して、家に置いておこうと思う。人に紹介しまくりたい。 資本主義の巨大な流れが富の偏りを生む。広く市民のためにあるはずだった公営住宅も、裕福なミドルクラス以上の人たちのために再開発され、本当に必要な人の手には渡らない。その地に生まれ、その地で生きてきた人たちがホームを追われていく・・・。 そんな中、ホームレスのシングルマザーたちが生きる尊

          読書感想『R・E・S・P・E・C・T』|生活に主体性を取り戻す

          エディンバラ暮らし|旅するように生活する

          ひとり時間の記録と、生活について思うこと。 ごはん 散歩 例えば1年間、何でも自由に行動して良いと言われたら何をするだろう? お金は割と好きに使えるものとする。 未知なる冒険、贅沢な体験、会いたかった人に会いに行くこと、新しい学習、 いろんな選択肢がある中で、 私がまず一番やりたかったのは「生活」だった。 エディンバラで過ごした期間は、場所が海外というだけで、やっていることは普通の生活だった。 それは壮大な外篭りのようなものだった。 多くの時間を一人で過ごし、ス

          エディンバラ暮らし|旅するように生活する

          野鳥観察|ミヤコドリに再会/「趣味」は解像度で決まるのかもと思った話

          スコットランドで初めて会ったOystercatcher、日本語で「牡蠣喰い」と思いきや「ミヤコドリ」という雅な名前の鳥、ついに日本で再会。 熊本の実家に帰省した帰り、旧友に会うために福岡に立ち寄っていた。福岡市は海に接している。せっかくだから海鳥を見にいきたいなと、「福岡 干潟」で検索。 あったあった。 博多から遠くないところに干潟がある。秋春はシギチドリが飛来し、冬は「ミヤコドリがおすすめ」らしい。ご当地グルメのような紹介文だなと思いながら、ここに行くことにした。 電

          野鳥観察|ミヤコドリに再会/「趣味」は解像度で決まるのかもと思った話

          絵日記|雨の日の結婚式、エディンバラ市役所にて。

          エディンバラのMorningsideで、なんとかという教会が毎週木曜日に開く無料の英会話教室に少しのあいだ通っていた。 そこで出会った女の子と仲良くなり、彼女のパートナーや友人も交えて、ケイリー(スコットランドのダンス)や8月のフリンジフェスティバルに何度か一緒に出かけた。たまに遊ぶ程度だったけど、それでもその子が中国に一時帰国したとき、急に寂しい気持ちになったのを思い出す。 そんな彼女がイギリス人パートナーと結婚することになり、わたしは証人として式に参加した。 証人を頼

          絵日記|雨の日の結婚式、エディンバラ市役所にて。

          2023年に描いたもの

          去年は個人的に大冒険の年で、それがそのまま絵の描き方にも現れた。画材はアクリルから水彩や油彩、版画へと移っていき、これまでのように撮影した写真の再現にこだわらず、メッセージに合わせて自分でモチーフを組み立てることもやってみた。野外スケッチで目から取り込んだ風景を描いてみたり、あとは、我流一辺倒だったのがきちんと人から教わることを学んだりもした。遊びと挑戦を重ねた一年だった。 4月 コサギ #1 コサギ #2 集中するカワセミ 集中してないカワセミ 5月 ひとけの

          2023年に描いたもの

          鳥の話|Robin|イギリスの愛され鳥

          英国の愛され鳥、Robinことヨーロッパコマドリ。 オレンジ色の胸元がよく目立つ、スズメ大の可愛らしい鳥。 日本でもコマドリの仲間は夏になるとやってくるものの、人の多いところでは滅多に出会えない。一方、イギリスのコマドリは身近な存在だ。 あるときは大都会ロンドンの公園で高らかにさえずったり またあるときはエディンバラの王立植物園で丸くなったり。 ベンチに座っていると、すぐ隣にやってくることもあった。 期待するような目でみつめてくるので、とりあえず畑で収穫したレタスを

          鳥の話|Robin|イギリスの愛され鳥

          エディンバラ暮らし|犬にやさしい社会

          ある日、ザ・メドーという、その名の通り芝生が広がる大きな公園のそばのカフェで、紅茶とスコーンのクリームティーを決め込んでいたときのこと。隣の席に老紳士と耳の垂れたおしゃれな犬がやってきた。 どう見ても介助犬ではないし、ここはドッグカフェというわけでもない。 静かにびっくり仰天していると、ひとりと一匹はあまりにも慣れた感じで、片方は新聞を広げ、片方はテーブルの下に身を伏せた。老紳士は私と同じセットを注文し、犬は時折飼い主からスコーンのかけらをもらっていた。目がまんまるで物静

          エディンバラ暮らし|犬にやさしい社会

          鳥の話|シロカツオドリ|コロニー訪問記

          エディンバラから電車で30分、港町ノースベリックにその島はある。 真夏でも雪が積もったように白く、単純な形をした小さな島。これが、シロカツオドリの世界最大のコロニー(集団営巣地)になっているバズロック(Bass Rock)だ。島が白く見えるのは、ここに集まったおよそ15万羽のシロカツオドリによるものである。 私は今年の8月中旬に、コロニーツアーに参加して3時間をこの島で過ごした。 鳥たちの朝 ツアーの集合時間はAM6時だった。こんな早朝にエディンバラからの交通手段はな

          鳥の話|シロカツオドリ|コロニー訪問記

          エディンバラ暮らし|チャリティショップのある街

          ある日、チャリティショップに救われる 夏の終わり、日本への帰国を控え、私は困っていた。持ち帰る予定の荷物がスーツケースに入りきらない。冬までの滞在予定を大幅に短縮したというのに、たった数ヶ月でいつの間に物が増えたのか? (いやあなた、そりゃそうでしょうよ。という記事はこちら) 元々、帰国するときには処分する予定で持ってきた服や生活用品がある。別送品として日本に送るにも、手間とコストの割に合わないようなものだ。とはいえ明らかに使い古されたものならともかく、「本来まだ使える品

          エディンバラ暮らし|チャリティショップのある街

          エディンバラ暮らし|物欲は希望だ

          来た時はミニマルだったのに、数ヶ月の滞在で宝物が増えた話。 英国初日:リュックサックとスーツケースと私 今年の5月、冬が来るまでは英国で過ごそうと、リュックサックと大小のスーツケース2つを持って私はヒースロー空港に降り立った。 リュックサックにはPCやビザの書類、カメラ、イヤホン、Kindle、サングラスやアクセサリー類、もらったプレゼントなど失くしたくないものを。大きなスーツケースにはこの先数ヶ月間の生活用品(キッチン小物やシャンプー・化粧水ほかトイレタリー、ランドリ

          エディンバラ暮らし|物欲は希望だ

          エディンバラ暮らし|家とお金と、あるイギリス人の庭

          20代のフラットメイトや60代の夫婦と一緒に過ごして考えた豊かさの話。 フラットを追い出される 「この家、8月末に退去しなきゃいけなくなった」 7月のある日、イギリス人のフラットメイトが慌てていた。 「え?なんで?」 「元々3人で借りてたんだけど、オーナーとメインで契約を結んでた子がロンドンの家族と暮らすということで、出ていくことになったのね。そしたら残りの私たちも出ていきなさいって」 「残れないの?」 「再契約してもいいけど、家賃が上がるって言われた。払えないよ

          エディンバラ暮らし|家とお金と、あるイギリス人の庭