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【掌編】君の赤いマフラー

――その日
一人のホームレスを
純粋に助けた


君だけは
救われると思ってた
神様が
ちゃんと見てるはずだから

なのに――
富裕層だったから?
髪が金色で美しかったから?
正義なんて不純なものを愛してたから?
見つかって
集団でホームレスに輪姦おかされ
――翌朝
交差点の真ん中で
全裸に剥かれたまま
冷たくなってた

幻みたいなマフラー巻いて

神様
見えますか
見えてますよね

首だけ――
首だけが赤くて寒そうです

ホームレス達が商店街で叫んでる

俺たちはもう待たない!
待つ必要もない!
何も!

一枚
また一枚
シャッターが壊され
ガラスが飛び散り
壁という壁に卑猥ひわいな性器が描かれていく

もしも
これが――君が
この国最後のエラーゲームだったとして
明日の風も裏切りますか

そばにひざまず
破れた上着を掛ける

十字は
切らない
二度と

君が
助けたホームレスは

ここです

こ こ に い ま す

悲しみでグーも握れない

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水もしたたる真っ白い豆腐がひどく焦った様子で煙草屋の角を曲がっていくのが見えた。醤油か猫にでも追いかけられているのだろう。今日はいい日になりそうだ。 ありがとうございます。貴方のサポートでなけなしの脳が新たな世界を紡いでくれることでしょう。恩に着ます。より刺激的な日々を貴方に。