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【お知らせ】2024/5/15「雨の牢獄」最後の解決篇を公開します。

 大変長らく――本当に大変長らく――お待たせいたしました。

 2020年5月に「問題篇」(前篇・後編)を公開、同月より「解決篇」を順次公開するも同年9月に途絶、2021年9月に正式に中断を表明した〈読者への挑戦〉つきフーダニット(犯人当て本格ミステリ)作品『雨の牢獄』ですが……

①2024年5月15日(水曜)、『雨の牢獄』解決篇(九・完結篇)を公開します。


 これにより発表より四年の歳月を経て、遂に『雨の牢獄』は完結します。
また、上記公開ののち……

②近日中に『雨の牢獄』のライナーノーツ(本人解説)を公開する予定です。


 
公開当初「なぜ無名の物書きの作品に、有栖川有栖先生と麻耶雄嵩先生の推薦文があるのか」と疑問におもったかたも少なからずいらっしゃると思いますが、

 実は『雨の牢獄』は2014年10月に執筆した、私が人生ではじめて書いたフーダニット作品であり(当初は朗読用作品として執筆)、その初稿から現在に至るまで、手掛かりからすべての真相(トリック・ロジック・犯人・動機)に至るまで、本格ミステリとしての骨格は一切変更がないのですが、

※理想的な〈読者への挑戦〉つきフーダニットとはどういうものか?
※〈最後から二番目の真実〉問題や〈トリックはロジックに優先する〉問題をどう解決するか?

 そして、

※〈名探偵〉とはどのような存在か?

 といった執筆当時の私的な問題意識を濃厚に反映した作品でした。
 特に、ご自身で犯人当て作品を書いたことのあるかたならおそらくはこの苦しみをご理解いただけると思うのですが、端的にいえば「解の唯一性をいかに保証するか」、具体的には、

1.〈偽の手掛かり〉の可能性
2.〈共犯〉の可能性
3.〈偶然〉の可能性

「上記三点をいかに排除/回避するか?」は常に本格ミステリに立ちはだかる難問であるわけですが、2014年当時の私は愚かにもこの問題に真正面から取り組んでしまい……

 しかも、『雨の牢獄』では「〈偶然〉の可能性の排除/否定」に対して、非常に斜に構えた解答――アンチテーゼ的な問題定義をおこなう……という、これまた聞くだに目も当てられない結果になるのが目に見えている試みに果敢にも無謀にも挑戦してしまい……

 そんなわけで「今回の公開にあたって、これらをどの程度、作品内に落とし込むか」に悩む事態となっていたわけです。


 このあたりを見切り発車でこの企画をはじめてしまったのがすべての元凶だったわけですが、このたびはそのあたりを完全に割り切ることにしました。

①『雨の牢獄』解決篇(九・完結篇)公開

 においては、あくまで「作品内レベルにおける、犯人当て小説としての過不足のない説明」をおこない、

②『雨の牢獄』ライナーノーツ(本人解説)公開

 において「この作品における作者の企み・問題意識・その解決」といった作品外レベルの解説をおこないます。
 特に②はもしかすると言い訳めいて読めるかもしれませんが「読者の誰も気にするはずのないこんな些末なことを、この作者はこんなにもごちゃごちゃと色々考えていたのか」と失笑、あるいは呆れていただければ本望です。

 こんなつまらないことのために完結をずるずると遅延させ、公開当初に期待していただいたかたの期待を裏切ってしまったこと――最も悔やまれるのはこの数年の疫病の蔓延や相次ぐ天災によって彼岸に渡ってしまった知人の存在です――に対してはお詫びのしようもないのですが、この数年、置かれた私の環境のなかで私ができる限界がこれでした。

 ①はすでにnoteの下書きにアップロードしてあり、あとは公開するだけの状態ですので、『雨の牢獄』解決篇(九・完結篇)公開を最大限に味わいたいかたは、すでに発表済みの問題篇および解決篇を、この一週間のあいだにゆっくりと再読していただければと思います。
 ちなみに②についても全体の構想はおおかたまとまっていますので、①②を同日公開できるよう目下奮闘しています。
 つぎこそはお待たせする事態にならなければよいのですが……

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