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短歌・五七五詩

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#詩

短歌を英訳していただきました〜あさみどり

短歌を英訳していただきました〜あさみどり

あさみどり

おさなごころを思はする

向こう髪 梳く

風のいたづら

*
*
*

Slight greens of April
Bring me back to innocence

And as I close my eyes
That same old wind

Caresses me
Gentle as eternity

(福田尚弘さん訳)

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 noter福田尚弘さん

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春の陽を握りしめたるみどりごの
目蓋をなぜるひとひらの風

春帽子小首かしげて風散らす

#俳句 #詩 #写真 #春紫苑 #みんなでつくる春アルバム

(帽子が風にさらわれそうになるから...)

今日はたぶん後でもうひとつ記事をあげますスミマセン(春は春のうちに...季語も短歌も忙しいですね💦)

流転|短歌

流転|短歌

漕ぎ出でて
流転の書物 解いては
淡き手の蹟 読み知る夕べ

とどめ得ぬ 現の丈を
思ひ出に渡して月の爪痕となす

分かれ道
月の舫いを踏み分けて
思ひの家へ
夢路をたどる

舟歌を戀ひつつ腕の枕木に
目醒めて今日も 暁に染む

手持ちの辞書によると《思ひの家》というのは、《我が家》のことなのだそうです。いい言葉だなあと思って詠みました。

古文も文語もかなづかいも、冷や汗をかきつつ勉強中なのです

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きざはし|短歌de物語

きざはし|短歌de物語

紅に染めたる胸のきざはしを
 川に架けやる黒髪の姫

暮れかかる薄紅の灯を立てて
 桜の下で歌主を待つ

目見交はし寄り添ひてなほ憧るる
 そぞろに甘き 桜流しよ

時されど立ち去りかねて眺むれば
 心はゆかず 花筏ゆく

美しき髪梳れどもさみだれて
 耳朶に通はす風の音を聞く

歌主:(和)歌の作者/手紙の書き手
そぞろ:理由や根拠がないさま
時されど:時が来たけれど
心がゆく:心が晴れる/満足

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桜の君|短歌

桜の君|短歌

薄らかに かりそめ臥しの世は過ぎて
 時の川にぞ いざ夜離れせむ

 先日の 桜の姫 に続いて、桜の君 です。

 この世を愛おしく思って咲いていたけれど、もう倦んできたから散って去りますよ、というような意味。(のつもり)

 写真を撮りつつ感心するのが、桜の花びらの薄さ。だから風に乗れるのね。

 そして、和歌をひもときつつ感心するのが、古語の密度の高さ。数文字で、複雑な意味を表せるので、31文

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夢見の森|短歌

夢見の森|短歌

短歌 夢見の森
この咎を
沈めましょう と
君の声
夢見の森の
泉の中へ

道しるべ
残してきたのと指す小石
白々つづく夜露にも似て

標なら
十二方位の夜霧だと(※)
蒼き月影
諭すかのごと

咎と云う
君の言葉と
世の中の
理非をそのまま
夜に葬る

道を説く
君の睫毛の
先を食む
夜露は苦く 甘く馨れり

小夜月を
映して抱く
泉には
二枝の薔薇を
身代わりにして

(※)十二方位:1周分、

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白刃|短歌

翻る言の刃をいま掴もうか
 我がふるさとに帰るためなら

* * *

ことばを取り戻すこと、を意識しはじめてから、数ヶ月ほどたちました。

感覚を研ぎ澄ませることになるので
ささいなことに敏感になるし
傷つきやすくもなる
時にナーバスにも。
過去の出来事に新たな光が当たって
己の浅ましさに
打ちのめされることも。

だから長い間
遠ざかっていたのです。

でも、毎日のように、ことばをととのえて

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