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イチ書店員が「復刊してほしい本」を考えてみた

素晴らしい。

2009年に早川書房から出た、木下古栗(きのした・ふるくり)さんのデビュー作「ポジティヴシンキングの末裔」が青山ブックセンター限定で復刊するとのこと。

あまり知られていない名著を見出し、お客さんに紹介することは書店の使命。入手の難しい名作の復刊を出版社へ訴えることも、あるいはその延長線上かもしれません。

早川書房は、書泉限定の復刊もおこなっているようです。

私も復刊してほしい本を考えてみました。まず思いついたのは↓。

「悲しみよこんにちは」で鮮烈なデビューを飾ったフランソワーズ・サガンの二作目。数年前に知人がブックオフで見つけてくれました。

当時書いた自分のレビューに「弱冠21歳でサガンは妻と若い愛人、両方の立場の勝利と敗北を生々しく看破した」とあります。緻密な心理描写も見事でした。だからこそ「悲しみよ~」しか知られていないことが悔しい。サガンは本物の天才。決して一発屋ではないのです。

翻訳は権利の問題とかいろいろあると思いますが、ぜひいつか。単行本でもOKです。

文芸書以外では↓を推したい。

江戸幕府・五大将軍綱吉の時代に勘定奉行を務めた荻原重秀。素材そのものに商品としての価値がある「実物貨幣」から現代的な「名目貨幣」へ切り替え、財政破たんの危機を救った人です。

ただ一般的には「貨幣を改悪してインフレを招き、私腹を肥やした悪党」みたいなイメージで広まっている模様。日本史の授業でもそんなニュアンスで教わった記憶があります。歴史の多くは勝者によって記されたもの。必ずしもそれだけが真実ではない。こういう本を読むたびに気づかされます。

図書館で借り、その後に都内某所のブックオフで見つけて購入しました。ブックオフは意外に絶版の名著と出会えますね。

いつか職場の棚に置ける日が来ますように。

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