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「寄り道」+「本気」=「生きる道」

「とにかくそれは、見事な男であった。あっぱれな奴であった。好いところが一つもみじんも無かった」

太宰治「親友交歓」の一節です。↑を見て思い出しました。

札幌大会ではセコンドの介入による場外リングアウトでエル・デスペラード選手を倒し、IWGPジュニア王座を獲得したSHO選手。賛否両論や好き嫌いは当然あるでしょう。昔からプロレスを見ている人ほど、あるいは拒否反応が強いかもしれない。お気持ちは理解できます。

しかし私のスタンスは是です。

ヒールは嫌われてナンボ。「実はいい人」とか要らない。SHO選手も練習熱心なのは身体を見ればわかります。反則なしで素晴らしい試合ができることも知っています。

それでもあえてこの道を選んだ。デスペ選手に負けていれば、彼のユニット「ストロングスタイル」へ加入できたのに(鈴木みのる選手が新日本を離れ、同ユニットは解消した形になっていますが)。寄り道とか仕事だからではなく、自らの意志で主体的に取り組んでいるのかもしれない。生来の真面目さで。

私が書店で契約社員になったのは2008年。妥協案でした。作家デビューするまでの繋ぎだと。想像していたよりもきつく、理不尽なことも多かった。でもいつしか「ここが俺の生きる道なんじゃないか」と考えるようになりました。

己の正体を知ることは諦観を伴います。SHO選手もどこかのタイミングで「正統派でやっていたら高橋ヒロムみたいなスターにはなれない」と悟り、こっち側へ振り切ったのでしょう。もしくは私と同じく、寄り道のつもりが本気になったのかもしれない。

ここまで来たら突き抜けましょう。想像の斜め上を行く反則の数々でファンを苛立たせ、なおかつレフェリーの目を盗む過程も雑にしない「正しいヒール道」を極めてほしい。

明日おこなわれる「旗揚げ記念日」のメインに組まれた内藤哲也選手との一戦、楽しみにしています。

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