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【MLB】ステロイド時代 関連記事まとめ

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記事一覧

【PED】衝撃、球界トッププロスペクトの出場停止

【PED】衝撃、球界トッププロスペクトの出場停止

日本時間3月9日の午前6時頃、球界の損失とも取れるニュースが舞い込んできました。シンシナティ・レッズのトッププロスペクトであるNoelvi Marté内野手がPED(身体強化薬)を使用したとのことで、80試合の出場停止処分が下されたとのことです。

2022年8月にFernando Tatis Jr.が禁止薬物陽性となって以降、久しくPED規定違反者のニュースは耳にしていなかっただけに非常にショッ

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【MLB】バイオジェネシス・スキャンダルから10年【Short】

【MLB】バイオジェネシス・スキャンダルから10年【Short】

2013年シーズンといえば,いまやアメリカン・リーグ最強球団に君臨しているヒューストン・アストロズがリーグ再編によって初めてアメリカン・リーグでプレーした年。それまでナショナル・リーグ中地区に配属されていたため,ALWは4球団,NLCが6球団という歪な編成となっていました。この出来事について当時コミッショナーのBud Seligは「歴史的」と評価。

しかし,この年のSeligは”そんなこと”より

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【MLB】Robinson Canóへ捧げる仮説

【MLB】Robinson Canóへ捧げる仮説

2009年のワールドシリーズを制したことで,通算27度目の優勝を果たしたニューヨーク・ヤンキース。以来,1度もWS進出が叶っていないのは悲しいですが来年こそは・・。
当時のヤンキースといえば非常に分厚い選手層に目が行きますが,なんといっても最大の魅力はレジェンドひしめく内野陣でしょうか。遊撃手には3,000安打を達成し殿堂入りを果たした稀代のスーパースターDerek Jeterが座れば,三塁手には

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【MLB】BondsとClemensは時代選考でも殿堂入りならず【Short】

12月4日,ベテランズ委員会は今年度の殿堂入り選手を発表。かつてBBWAAでの殿堂入りを果たせなかったFred McGriffが有権者16名中16名の満票を獲得し,栄誉あるクーパーズタウン行の切符を手にしました。
一方で,2022年1月末のBBWAA選考で10度目の落選となったBarry Bonds,Roger Clemens,Curt Schillingが登場したものの,いずれも75%のラインで

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【MLB】1991年時点で筋肉増強剤は禁止されていた?【ステロイド時代】

【MLB】1991年時点で筋肉増強剤は禁止されていた?【ステロイド時代】

この一文は1991年6月7日,当時のMLBコミッショナーであったFay Vincentが各球団に対して通知した7ページの文書の一文です。ここで記載の違法薬物【illegal drug】はコカインなどの麻薬物質を指しており,規制薬物【controlled substance】はアナボリックステロイドなどの筋肉増強剤を指しています。

そもそもcontrolled substanceの根拠とは何ぞや?

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【MLB】歴史に隠れたスキャンダル?「ピッツバーグ薬物裁判」

【MLB】歴史に隠れたスキャンダル?「ピッツバーグ薬物裁判」

" Say it ain't so, Joe! "---「嘘だと言ってよ,ジョー!」
というフレーズで有名な『ブラックソックス事件』。1919年のワールドシリーズにおいて,賭博師やマフィアと共謀の上,わざとチームが負けるようにプレーしたシカゴ・ホワイトソックスの主力8人による八百長が発覚。当時のホワイトソックスオーナーが極端にケチであったことが一因であったために,処分を受けた8人はのちに「アンラッ

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【NYY】アーロン・ジャッジが62号本塁打を記録!【Short】

【NYY】アーロン・ジャッジが62号本塁打を記録!【Short】

日本時間の10月5日,ダブルヘッダーの2試合目を迎えたAaron Judgeは1番打者として先発出場。説明は不要ですが,この試合までにRoger Marisが1961年に記録した61本塁打(ア・リーグ記録)に並んでいた状況。ただし,60本塁打あたりから「生みの苦しみ」に嵌まったのか,なかなか本塁打が出ない期間を過ごしていました。

そんな中で迎えた第1打席目。

甘く入った球を逃さず強振,歴史を塗

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【MLB】61本塁打が”True Record”とされる理由【ステロイド時代】

【MLB】61本塁打が”True Record”とされる理由【ステロイド時代】

1961年,ニューヨーク・ヤンキースに所属していたRoger Marisは,同球団のレジェンドBabe Ruthの保有していたMLB年間最多60HR記録と並ぶ勢いで本塁打を量産。シーズン最終戦となる10月1日に「№61」を放ち,見事シーズン最多本塁打記録を樹立しました。

時は流れ2022年シーズン,同じくヤンキースのAaron Judgeが脅威的なペースでアーチを描いており,仮に「№62」を記録

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【PED】Tatis Jr.の禁止薬物陽性についての所感

【PED】Tatis Jr.の禁止薬物陽性についての所感

日本時間にして8月13日の早朝,衝撃的なニュースが飛び込んできました。

サンディエゴ・パドレスに所属するFernando Tatís Jr.(23)が禁止薬物であるクロステボルに陽性反応を示したとのことで80試合の出場停止処分。悪い意味で眠気の覚めるようなニュース。

今更感がありますが,MLB30球団ファン合同noteにおける禁止薬物関連担当の立場として,MLB史に刻まれるような本件を,簡潔に

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【MLB】2022年アメリカ野球殿堂入りについての所感【ステロイド時代】

【MLB】2022年アメリカ野球殿堂入りについての所感【ステロイド時代】

※すべて無料で閲覧可能です。

 日本時間の1月26日午前8時,2022年のアメリカ野球殿堂入り選手が決定しました。殿堂入りのためには全米野球記者協会(BBWAA)の記者投票で75.0%以上の得票を得る必要があり,今回の投票でその資格を得たのはボストン・レッドソックスの英雄であるデイビッド・オルティズ(David Ortiz)ただ1人という結果になりました。

 反対に,有資格年限である10回目の

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【MLB】2009年に露見した「陽性者リスト」とは

【MLB】2009年に露見した「陽性者リスト」とは

 先週,来年の殿堂入り投票を前に1本noteを投稿させていただきました。引用RTやDMなどで様々なご意見を頂けて嬉しかったです。記事内で「来年度」って連呼してましたけど年度でいうと2022年の投票は今年度なんですよね。訂正してお詫び申し上げます。

 今回は個人的に引っかかりのあった「2009年にニューヨーク・タイムズが公表した『2003年に実施したドーピング検査の陽性者リスト』」について,もう少

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【MLB】2022年「Hall Of Fame」問題【ステロイド時代】【殿堂入り】

【MLB】2022年「Hall Of Fame」問題【ステロイド時代】【殿堂入り】

 ニューヨーク州クーパーズタウンに佇むレンガ造りの建物,アメリカ野球殿堂(National Baseball Hall of Fame and Museum)は1939年の開館以来,数多のMLB選手を迎え入れてきた。
 ベーブ・ルースやタイ・カッブに始まり,2020年にはデレク・ジーターやラリー・ウォーカーといった大選手がアメリカ野球殿堂入りとしてレリーフに飾られている。

 2021年1月にも同

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第三部 MLB「ボンズ,クレメンスの殿堂入り問題を打破するもう一つの論法」

第三部 MLB「ボンズ,クレメンスの殿堂入り問題を打破するもう一つの論法」

 これは”第三章 MLB「ステロイド時代」は本当に終わったのか”の副本として書かせて頂きます。(内容的に一緒の記事として出すのは違うかなと。)この記事に関しては完全に私見であるため,おまけ的なゆるーい感じで見ていってください。また,前章を読んでからの方が楽しめると思うので是非そちらから読んでみてね。

①ボンズ,クレメンスは「単純に品格・スポーツマンシップが無いから得票できない」説 先程,たっぷり

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第三部 MLB「ステロイド時代」は本当に終わったのか

第三部 MLB「ステロイド時代」は本当に終わったのか

 ”第一部 MLB「ステロイド時代」について考える”では1990年代から2000年代におけるMLBのドーピング汚染の流れについて簡略的にまとめさせてもらいました。”第二部「What is doping?」”ではそもそもドーピングとは何なのか,その種類やスポーツを取り巻く現状をお伝えしました。(本当は筋肉増強剤と興奮剤の特集をやりたかったけどめんどくさいのでカット。ごめんなさい。)
 そして最終章と

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