木越洋

チェリストです

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マガジン

  • ゴッシーが行く

    NH k交響楽団で33年間首席チェリスト でした その間に出会った素敵な人、今思えば信じられないほど可笑しな事、名指揮者達の言葉… 私だけの思い出にしてはもったいないような気がして書いております 事実は小説より奇なり!

最近の記事

ゴッシーが行くvol.33《プラスティックプリーズ》

指揮者名言集その11 C.デュトア 《プラスティック プリーズ》 炎の形や樹木の枝などの自然のものではなく プラスティックで作った 自然界では考えられない造形物のようにカッコ良くやってもらいたい の意味 ストラビンスキ プロコフィエフ オネゲル や ヒンデミット など デュトアの得意な 20世紀の作曲家の作品の時 よく言っていた。 ある時私が眼鏡の縁が黄色の派手な 老眼鏡を使っていたら デュトアが その眼鏡良いね何処にあった? オ モ テ サン ドゥ ? と聞いてき

    • ゴッシーが行くvol.32《エクスタシープリーズ》

      指揮者名言集その10 v. ノイマン 《エクスタシープリーズ》 メロディは いくつかのフレーズで出来ている 更に、フレーズは文章でいえば単語にあたる複数のフィギュア(Figure)形で出来ている 現場の音楽家にとって重要な事は 3つのポイント 「始まり」「終わり」「目的地」 が メロディにもフレーズにも フィギュアにも、それぞれにあって この3つをはっきりさせないと 聴いているお客さんが 眠くなってしまうという事なのだ 作曲家は 「目的地」に fz やアクセン

      • ゴッシーが行くvol.31《P.フルニエのレッスン》

        私が高校生の頃 ジュネーブで チェリストのP.フルニエ に師事していた先輩が 帰国していて フルニエが東京でレッスン するので 見にこないか と 誘ってくれたので ネクタイを着用して 同級生と2人で先生の滞在する新橋の第一ホテルに行った 先生はノーネクタイで失礼と言いながら 上品な笑顔で部屋に招き入れて下さった ホテルのシングルルームは とても小さな部屋で レッスンを受ける大学生と先生は もちろん座っていたが フルニエの弟子の先輩と私たちは 立っていたと思う 大学

        • ゴッシーが行くvol.30《トランペット》

          Vol.30 ゴッシーが行く 《トランペット》 昨日からに滞在している京都で N響の先輩 祖堅 大兄が逝ったと知り 1人で酒を飲んでいる 祖堅はトランペッター 桐朋学園からN響 学校 、オーケストラと私と同じ道のりを行く先人であり 世阿弥の言う芸能者の 3つの禁 好色 博奕 大酒 を やりつくしながら 国家や思想を凌駕する芸術家の想いを実現した 祖堅は沖縄出身でNHKがN響で国歌の収録する時になんでオレ達が国歌を 収録するのか理由を説明しろ とか ホルスト、シ

        ゴッシーが行くvol.33《プラスティックプリーズ》

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        • ゴッシーが行く
          32本

        記事

          ゴッシーが行くvol.29《スヴェトラーノフのブラームスの3番》

          先日ベルリン フィルが S.ラトルと ブラームスの3番Symを やっている映像をUチューブで見た 流石だったが S.ラトルは 暴風雨の中 パニックで アタマがオカシクなった奴が あっちに逃げろ! いや こっちだ! と 出鱈目な指示を出している 変なオヤジに見えた あの現場に居たらさぞ怖いだろうなと思ったが 私の経験でも3番の1楽章は 上手く行った覚えがほとんど無い たった1回を除いては その1回がスヴェトラーノフ (覚えにくい名前なので私はソヴィエトラーノフと覚

          ゴッシーが行くvol.29《スヴェトラーノフのブラームスの3番》

          ゴッシーが行くvol.28《バチカンのミサ》

          コロナの前2018年まで 毎年ローマのバチカンに行って サン・ピエトロ大聖堂で 西本友美のイルミナートオーケストラのメンバーとして演奏していた ある年、カトリックの総本山 サン・ピエトロ大聖堂の ミサで 演奏した事がある ミサで演奏するメンバーなので 観光客がいない時に 大聖堂の中に展示してある ミケランジェロ作 瀕死のピエタと 静かに間近で対峙する事が出来て 立ちすくしてしまった  完璧て このことだ 訴えかけて来る凄まじい迫力は 細部の完璧な美しさがあるから

          ゴッシーが行くvol.28《バチカンのミサ》

          ゴッシーが行くvol.27《大酒》

          軽井沢国際音楽祭で 32才トリオの ノブ、ヤス、コウタ、 (ノブHr福川、ヤス読響ビオラ、 長原コウタ読響コンマス、) と大酒飲んで大騒ぎ 奴らとオレは 年齢差、殆ど30歳くらいあるが 仲間として対等に扱ってくれて 嬉しかった あれだけ羽目外して 楽しく 大声で大騒ぎしたのは 後にも先にも無い 奴ら声が、ハンパなくデカい その後 ノブは サルツブルク音楽祭へ ヤスは 松葉杖でコンチェルト ノブの元カノが偶然オーケストラの メンバーに居て、声掛けるか 止めとけで

          ゴッシーが行くvol.27《大酒》

          ゴッシーが行くvol.26《カミング サウンズ》

          指揮者名言集 その8 C.デュトア カミング サウンズ デュトアが良く使っていた言葉だ やっと それらしい音に なって来たよ という意味 N響はデュトアが音楽監督 になる以前は ラヴェルやドビュッシーなどの フランス物を良い演奏をしたことが ほとんど無いオーケストラだったので レパートリーにはなっていなかったと思う デュトアがドビュッシーの曲などを リハーサルしているうちに みんなが 音と音楽を理解し初めると Coming sounds! と言っていた 先週

          ゴッシーが行くvol.26《カミング サウンズ》

          ゴッシーが行くvol.25《紀伊豪将》

          「なんだ、なんだ、なんだ、ゴッシーって、お前、木越って立派な名前があるだろう、木越って名前はなぁ……」 そうなんだけどキゴシって なんかカタいんで なんかニックネームないかな、 と思ってたら最近こう呼んでくれる 友達がいたんで使ってみたのよ 「貴公シ、とかフルネームで、 巨ショウとか言う奴はいねーのか」 いるわけねぇだろう!そんな奴、 ああ、紀伊豪将って名前を思いついて使ってみたんだけどな 「なんだそれ強そうでいいじゃねーか」 なんだか分かりにくいって言われたんでや

          ゴッシーが行くvol.25《紀伊豪将》

          ゴッシーが行くvol.24《私がチェリストになった経緯》その2

          前回はチェロを初めたところから 齋藤先生のレッスンが始まり 音楽教室に入るところまでだった 最初のオーケストラの合奏で 体がふわっと浮き上がる感覚があったと書いたが 今だにオーケストラの中で弾いたり 室内楽で合奏した時の音の中にいる 特別な感覚は 当時より体重が 重いせいか体が浮き上がりはしないが 楽しい さて 音楽教室 私のチエロのレッスンはまだ指の形を並べてる段階 しかしオーケストラは始まっていて 私の始めてのオーケストラの曲は モーツァルトの ティンパニー入り

          ゴッシーが行くvol.24《私がチェリストになった経緯》その2

          ゴッシーが行くvol.23《耳栓》

          耳栓 それを 初めて ステージで見かけたのは 20年ほど前 上野の東京文化会館だった 譜面台の端に置いてあった 他にもないかと探してみると 近くの 譜面台にも置いてある 1包に1つパッケージされていて 包のビニールには 英語が書いてある そうか! 外国のオーケストラが来てジョークで 置いて行ったんだな 笑える いいな! よーし  今度、アメリカに演奏旅行するときは 仕返しに 耳かき 持って行って置いておこう と 思っていた 光陰矢の如し それか

          ゴッシーが行くvol.23《耳栓》

          ゴッシーが行くvol.22《陶然と希望する》

          映画 「ショーシャンクの空に」を見た 大好きな映画なので自宅の有線放送で放送していると 何べんでも見てしまう 主人公のティム ロビンスが刑務所でレコードを手に入れて フィガロの結婚のアリア ♭シー ドー レ♭シファ♭ミドファ を 放送室に 立て籠って 刑務所の空に モーツァルトを響き渡らせる場面が とくに好きだ モーツァルトのアリアの 「陶然と希望する」心を こんなににも解りやすく 世界中に紹介していて  この映画の本当の目的は モーツァルトの音楽の素晴らしさを

          ゴッシーが行くvol.22《陶然と希望する》

          ゴッシーが行くvol.21《コラッジォ》

          指揮者名言集 その8 C.デュトア コラッジォ(伊) Coraggio 日本語は「勇気!」 大人数で合奏する時 音楽が一旦止まって もう一度スタートする時が怖い 自分だけ先に飛び出す 「アホ」 や 出遅れてしまった 「チキン」 には なりたくない ので怖いのだが デュトアは プレイヤーの心理を知っていて しかもイタリア語は便利な言葉で 大阪弁みたいなニュアンスがあって 《アホや》のように少々キツイ事言っても笑える 複数言語を使いこなせる ス

          ゴッシーが行くvol.21《コラッジォ》

          ゴッシーが行くvol.20《シューベルト現場のヒミツ》その3

          最高な日本人ピアニストの一人 橋本京子 から電話がかかってす来た 昨日 私が投稿した シューベルトのdim.について A-durのピアノソナタでは dim.の後に a tempo が書いてあって decrscendの後にはa tempoが無い事 他の作品でも大概はdim.の時 少し遅くすると上手くいくが  ただし例外がある事 また ベートーベンの初期のピアノソナタ にも dim.と decrscendが 書き分けてあって19初頭のウィーンで dim.はwith

          ゴッシーが行くvol.20《シューベルト現場のヒミツ》その3

          ゴッシーが行くvol.19《シューベルト現場のヒミツ、その2》

          昨日は橋本で 堀正文さん率いる室内オーケストラのモーツァルト、プロの演奏会に出演 室内楽でもオーケストラでも 堀さんと一緒だと フルトベングラー サウンド (言うなれば洞窟の中の丸い響きとでもいうか) が いつも来ると思っていて 昨日も素晴らしかった 弾きながら そうだ シューベルトの続き と思ったので これも堀さんから コソッと教えてもらったのだが シューベルトは dim.とdecrscendを 書き分けている dim.はwith rit. (少し遅く)

          ゴッシーが行くvol.19《シューベルト現場のヒミツ、その2》

          ゴッシーが行くvol.18のB《vol.58超マニアックから、音色の部分》

          音色の話し  2022年末から2023年の正月を跨いで 編曲とパート譜の作成の為に ほとんどチェロを弾かない期間が 1か月ほどあった  2月になって久しぶりにチェロを弾いてみてビックリした 音域によってこんなにも音色が違うのかと 暫くぶりに音を出してみたので新鮮に感じたからだと思うが 弦の長さを3等分したそれぞれの部分に3っの音色が有ると感じた クラリネットの横川晴児にどう? と聞いたら  うーん確かに クラリネットは3分の1のところから継いではいるけど(1本の楽

          ゴッシーが行くvol.18のB《vol.58超マニアックから、音色の部分》