ちいかま

生きにくい世の中ですから、息抜きできるようなエッセイを書いています。合言葉は「みんな、…

ちいかま

生きにくい世の中ですから、息抜きできるようなエッセイを書いています。合言葉は「みんな、生きてるだけでえらいんだよ」

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  • おすすめの記事、集めました。

    よく読まれている記事、note公式さんに取り上げていただいた記事を集めました。おすすめです。

  • 双極性障害について考える

    双極性障害である経験を通して、心と身体のセルフケアについて考えます。誰かの支えになれば幸いです。

最近の記事

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心の傷にもちゃんと、かさぶたはやって来るのだろうか?

昔、今よりずっとおてんばだった私は、身体のあちこちに傷を作っていた。 特に多かったのが、転んでできる膝こぞうのすり傷。 どんなに転んでも決して涙は流さない、つよい子だったらしい。唇を噛みしめ、足を引きずって帰り着き、自分で怪我の手当てをした。 傷口を水で洗い流すと、全身にびりびりと電気が走る。 膝こぞうには、ぺたりと貼られた絆創膏。濡らしてたまるものかと、必死にバスロマンの波から守っていた。 そんな「おてんば」の勲章を、ときどき、剥がしたくなった。 ゆっくりと絆創

    • しりとりが繋いでいくもの

      昨日の夜、交差点で信号が赤から青に変わるのを待っていたら、遠くから手を繋いだ親子が歩いてきた。 真ん中を歩くのは3歳くらいの男の子で、右手をお母さんに、左手をお父さんに繋がれ、地面を少しだけ浮いたように歩いている。絵に描いたような親子だ。 親子はそのまま近づいてきて、横断歩道の手前で待っている私のすぐ後ろに来た。楽しそうな声が耳に飛び込んできた。 ス・タ・ン・プ! 男の子は「スタンプ」の「プ」に音符マークでもつけたように、語尾を跳ねながらそう言った。 スタンプ?何か

      • 自転して、公転して、金平糖を作ろうよ。

        走るのは、あんまり好きではない。 小さい頃は足が速かった。クラスの誰よりもかけっこが得意で、運動会のリレーでは、決まってアンカーに抜擢されていた。 地面を蹴り上げると、たけのこが真っ直ぐに生えたような、何か軽くて、確かな感覚が、かかとを起点に全身へ突き抜ける。 地面を蹴る音はピストルみたいに、ぱんっと乾いて、耳の横を通り過ぎる。 前へ蹴り出す脚は、蹄を持った馬のよう。ぱから、ぱからと駆け抜けていく。私はお馬。走るよ走る、どこまでも。 体じゅうが、風みたいになるところ

        • ピーナッツをぐりぐりとすり潰して

          節分の日に、家族みんなで豆を撒いた。 なるべく片付けが楽に済むよう、殻付きの落花生を投げた。その時の落花生が余っていたので、ピーナッツバターをつくってみようかな、なんて思い立ったのが午後のこと。 わたしは意外とピーナッツバターが好きだと思う。 意外とというのは、自分ではそんなに好きだと思っていないのだけれど、なんだかんだでピーナッツバターを買い物カゴに入れることが多いし、使い切ってしまうのも早いので「意外と好きなんじゃん」と気づいちゃったわけ。 ところが最近、ピーナッツバ

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          7本
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          人には見せないところで

          2月に入ったタイミングで「今まで挫折してきたnoteの毎日更新を頑張る」と目標を立てたので、今のところ10日続いている。(ちょっとズルした日もあるけれど) この自分で自分に課した目標がときどき、私の心を容赦なく殺しにかかってくる。 例えば。 1日の仕事が終わり「あ〜疲れた〜」と、ベッドにごろりと横になったとき。あるいは、遅めのシャワーを浴び、温かいお茶を飲んで、歯磨きまで終わったとき。あるいは、突然の打ち合わせで、夜ご飯を食べる時間がぐぐぐっと遅くなったとき。 そうい

          人には見せないところで

          あなたの好きが、私の好きとおんなじでありますように。

          好きには、いろんな好きがある。 友達に対する「好き」もあれば、親に対する「好き」もある。兄弟に対する「好き」とパートナーに対する「好き」はやっぱり違うし、何度も観てしまう映画の「好き」もちょっと違う。 人間関係が続いていくなかで、ときどき自分の「好き」と相手の「好き」が異なることに気づく。けれども、がんばって擦り合わせようとすればするほど、お互いの「好き」はどんどん違う方へと向かってしまう。 最初から合ってる人もいれば、最初は合っていたのにどんどん合わなくなる人もいる。

          あなたの好きが、私の好きとおんなじでありますように。

          やさしさは、クッキーの型をぽこんぽこんと抜くように。

          やさしさには形がある。 ある人のそれは△だったり、ある人のは○だったり。ほかにも☆や♡、□など様々な形がある。 受け取る側はやさしさの「型」を持っている。その型も同じく人それぞれで、△や○、☆に♡、□などの形がある。 誰かに「やさしさ」をもらった時、その型にピッタリ当てはまると、信じられないくらい、穏やかで、幸福で、あたたかい気持ちになる。 もちろん「やさしさ」である以上、どんな「やさしさ」も間違っていない。 ただ、やさしさを「渡す側」と「受け取る側」の「型」が一致

          やさしさは、クッキーの型をぽこんぽこんと抜くように。

          ヒメプリンは大人の味

          今日はお昼にカレーを食べた。チキンカレーとスリランカカレーで悩んだけれど「ココナッツミルクを使っています」のひとことにコロッと魅了され、スリランカカレーを注文。 カレーはもちろん美味しかったけれど、私が声を上げて喜んでしまったのは、食後のプリン。カレーを頼むとセットで付いてくるみたい。うれしい。 そのプリンが小さくて凛として、いつまでも眺めていたい愛らしさ。 植物を見ていると、小さいものには「ヒメ」をつけることが多い。ヒメユリやヒメアザミ、ヒメスミレ。そうそう、ヒメリン

          ヒメプリンは大人の味

          目標を口にできる人は、つよいと思う。

          私の友人がnoteを始めました。 「コーヒーの勉強をしようと思う」と言っていたので、それだったらnoteをやってみるといいかも、と勧めたのがきっかけ。 備忘録だけでなく、学んだことをまとめつつ発信していくツールとして、noteは最適な場所だと思っている。 同じ思いの人たちを見つけやすいし、何より、一人でもくもくと続けるよりは、誰かに読んでもらったほうが楽しい。慣れるまでは大変かもしれないけれど、ちょっとずつ書いているうちに、いつの間にか続いているものだし。 彼はコーヒ

          目標を口にできる人は、つよいと思う。

          焼き芋が食べたくて、焚き火する。

          焼き芋を食べたくなったので、キャンプ場に向かった。薪も十分にある。針葉樹も広葉樹もばっちり揃えた。 午前中は太陽が顔をのぞかせていたのでポカポカと気持ちよかったけれど、それでも気温は10度を下回っていて、本格的な冬の匂い。 紅葉はすっかり過ぎ、足元には落ち葉の絨毯が広がっている。上を歩くたび、かしゃかしゃと心地よい音がする。 焚き火台を広げる。買ってきた薪を斧で半分に割る。薪には「カシ」と書いてある。 針葉樹の場合、半分の半分になったら斧をナイフに持ち替える。手頃な薪

          焼き芋が食べたくて、焚き火する。

          流した涙の合計、1,414円です。

          とある問題が起きて、わんわん泣いてしまった。私のダメなところの一つに、わんわん泣くところがある。 あまりにもわんわん泣くものだから、お隣さんはきっと「あら、赤ちゃんでも産まれたのかしら」なんて思ったかもしれない。ごめんなさい、大の大人です。 もうそろそろ、わんわん泣くのはやめたい。だっていい歳なんだし。と思う反面、涙腺がどんどん緩くなっているような気もする。大好きな『バクテン!!』を見るたび泣いてしまう。百発百中で。 来年の目標は、わんわん泣かないこと、そうしよう。

          流した涙の合計、1,414円です。

          「ファンファーレ、ください。ホットで」

          お昼ご飯は豪快に、つけ麺を食べた。 連れが「つけ麺を食べたい」と言ったので「いいよ」と答えたものの、私はつけ麺をそんなに食べたことがなかったみたい。 カウンターに出された麺とスープが別々になっているものを目の前に「これ、どうやって食べるんですか」と聞いてしまった。麺をつけ汁につけて食べるらしい。なるほど、道理で。 つけ麺はコッテリでグッときた。美味しかった。本当はビールも頼みたかったけれど、早々にお腹がいっぱいになっていたので、頼まなくてよかったとも思った。はち切れんば

          「ファンファーレ、ください。ホットで」

          生姜入り紅茶に、はちみつを注いだら。

          はちみつを買った。身体が冷えないように、紅茶に生姜を入れて飲んでいるのだけれど、ちょっと渋いというか苦いというか、私にはだいぶ強気な味で困っていた。 そうだ、はちみつを入れてみよう、と思い立って近くのスーパーに向かう。今日から急に気温が下がり、外はすっかり冬の顔をしている。マフラーをしてきてよかったと思いながら、コートのポッケに手を突っ込む。 スーパーに入ると、急にぼんやりとした空気になった。食料品を扱う関係で、暖房を効かせられないのだろう。冬でも頭がスッキリする温度で、

          生姜入り紅茶に、はちみつを注いだら。

          やっぱり今日は、なんだか特別な日かもしれない。

          今夜はハッシュドビーフにしようと決めたのは、野菜室にマッシュルームがあると聞いたから。 朝から実家に帰って来ている。と言っても電車で10分ほどなので、そんなに遠い場所ではないのだけれど。でも久々に帰ってきたし、せっかくなので一晩泊まることにした。 久々に母とご飯を食べる。母は午後から仕事に出かけるので、夕飯は私が担当することになった。 母は「冷蔵庫のものは好きに使って」と言ったあと「野菜室にマッシュルームもあるよ」と追加した。マッシュルームご指名の様子を見るに、たぶん、

          やっぱり今日は、なんだか特別な日かもしれない。

          めぐりズム、全力で体を休める。

          押し入れの奥の方から「めぐりズム」を引っ張り出した。蒸気で目元をポカポカ温めてくれるホットマスクで、使い捨てカイロみたいに袋から出したら、けっこうすぐにポカポカになる。 数年前に自分の中でめぐりズムブームが来て、大量に買ったことがある。それを見ていた母が、この間、職場の人にめぐりズムをいくつかいただいた時「そうだ娘にくれてやろう」と思ったらしく、3枚ほどお裾分けしてくれた。 もらった頃にはとっくにブームも過ぎ去り、なつかしいな、とさえ思ってしまった。 数年前、つまり会社

          めぐりズム、全力で体を休める。

          15:30が何時なのか、ちっともわからない。

          時計が欲しいなあと思ったのは、15時のおやつにココアを作っていたときのこと。 我が家に時計はひとつしかない。リビングの壁の、高いところに掛けてある。玄関から入ってすぐ目に届く場所だ。 けれども、仕事部屋には時計がない。もちろんパソコンには時計がついているから、ちらっと画面の上の方に目線をずらせば、すぐに時間がわかる。 わかるはずなんだけど、私はどうも数字が苦手で、15:30が何時なのか、ちっともわからない。 針のある時計は素晴らしいと思う。数字を読まなくても、だいたい

          15:30が何時なのか、ちっともわからない。