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ホテル文化に学ぶ(1)

<和洋中融合の食文化>

 和食が世界無形文化遺産に登録されて、実に誇らしい。和食は我々日本人にとって食の原点であり、どんなに自称グルメ通と言えども、行き着く先は、母親のおにぎりだったり、味噌汁、そして煮付け、漬物だったりする。(現代の若い方々は若干異なるかも知れない)

 洋食が加速度を上げて日本上陸したのは明治時代後期から大正時代。以前のテレビ番組で高視聴率だった「天皇の料理番」でも、その経緯が詳しく紹介されていたが、現代フレンチの祖と言われるオーギュスト・エスコフィエが、近代洋食を変えたと言っても過言ではない。何せ、5000ものレシピを持つという神的存在であるが故に、その弟子として働くことが、世界の頂点を目指すシェフたちには羨望の天才シェフであった。

 また、チャイニーズ・キュイジーヌも日本人好みに改良を加えられた「中華料理」と、高級食材を使った本格的な「中国料理」に分かれている。一般の食卓に浸透したものは、リーズナブルで誰でも簡単に作れる「中華料理」である。最近は、青椒肉絲、酢豚など、コンビニで弁当や惣菜として彩り鮮やかに陳列してあるくらいだ。

 食は命に一番近いところにある、私たちが生きて行くのに欠かせないもの。よって、食文化を知る、知らないでは、その人の人生は大きく変わってくるはずだ。B級グルメを否定するつもりは一切ない。しかし、健康な体づくり(精神面も含めた食育)を考えれば、旬の食材を使い、しっかりと調理したもので、美味しい料理を食すのが一番だと考える。

 さて、遅ればせながら本題に入りたいが、和洋中の安心安全な料理を提供してくれるのが、各地にある高級シティホテルやリゾートホテルである。今回は、熊本県内屈指の熊本ホテルキャッスル(62年の歴史)で取材した一部の料理写真を添えて、ささやかながらご紹介したい。

 これは日頃からのライフスタイル(取材前のランチが中心)の中で、少々食欲がない時に頭に浮かぶのが、必ずと言って良いほど、和食。あっさりした吸い物、甘辛く炊いた鯛のアラ煮、ツルツルと喉越しの良い素麺や蕎麦、最後の締めに香の物と日本茶・・・阿蘇山からの伏流水(地下水)に恵まれ、食材に事欠かない熊本県では、海の幸、川の幸、山の幸をふんだんに使った和食が、目の前に溢れている。

 「旬のもの」と聞くと、どんなに遠路であろうが、足早に食事処へ辿り着き、その香り、味を満喫するのは、至福の極みとなる。食欲の秋ともなると、芳ばしい秋刀魚の塩焼きなんぞ、たまらなく旨い。ご飯も何杯もお替わりしてしまう。松茸やその他キノコも、ただ焼いて塩を振るだけで、唸ってしまうほどに美味である。

 信頼できるシティホテルやリゾートホテルへ足を運べば、和洋中の料理はすべて揃っている。長期滞在をする方でも飽きることなく、ゆったりと過ごす中で、世界の料理・・・世界の食文化を楽しめることになる。特に、日本国内は、幸運にも世界一と自慢して良いほど、食に恵まれている環境と言える。

 因みに、熊本ホテルキャッスルは、地階に四川料理桃花源、1階にダイニングキッチン九曜杏(くようあん)、11階にフレンチレストラントゥール・ド・シャトーがある。県外では、中国料理となると、上海料理や広東料理だと思われるかもしれないが、熊本県は圧倒的に四川優位の少々特異な地域となっている。

 それは、四川料理を日本に伝えた四川飯店(初代料理長陳建民氏)の弟子だった斉藤隆士氏(陳健一氏の兄弟子)が、同ホテル社長を務めていたこともあり、その弟子たちが、この四十年間で育ち、独立を果たし、四川料理が熊本県内を席巻したのだった。よって、熊本でグルメ本を開いてみると、中国料理の人気店は、圧倒的に四川料理が占めている。

 話は戻るが、和洋中の料理が、ホテルや街場のレストランの店主の努力もあって、「食の融合」へと動き出し、現在では、中国料理レストランでもフレンチのような料理がサーブされたり、寿司店に足を運んでも洋食レストランのレベルを超えるようなデザートも食せる時代になった。

 高級ホテルの料理の狙い目は、ご存知の通り、ランチとなる。ランチタイムに、そのホテル自慢の料理をリーズナブルに食して、ここ一番の時に、大切な方をディナーに誘ったり、アニバーサリーやパーティーなどで、ホテルレストランを会場として利用すれば宜しかろうと。

 最後に、筆者はホテルのネームヴァリューだけで、食事処を選ぶことはない。その料理人の人格と腕を見て、極力選ぶようにしている。よって、料理人が満面の笑みにてご挨拶に出てくるホテルレストランは、ほぼ間違いないと言っても過言ではない。

to be continued…

熊本ホテルキャッスル ダイニングキッチン九曜杏の朝食
熊本ホテルキャッスル ダイニングキッチン九曜杏の天ぷら&蕎麦、おにぎり2個
熊本ホテルキャッスル ダイニングキッチン九曜杏 セカンドシェフ
熊本ホテルキャッスル ダイニングキッチン九曜杏のステーキ&フォアグラ料理
熊本ホテルキャッスル ダイニングキッチン九曜杏の遊びすぎたデザート
熊本ホテルキャッスル 四川料理 桃花源の料理
熊本ホテルキャッスル 四川料理 桃花源の珍味

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