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シノヅカヨーコの考え方

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#エッセイ

いつかきみに伝えたいやさしさの話

いつかきみに伝えたいやさしさの話

我が家には、二歳のムスメがいる。
彼女は生まれたばかりのころ、本当によく泣いていた。
わたしは子どもを産むまで、赤ちゃんはよく眠る生き物だと思っていた。三時間おきに授乳が必要だとは聞いていたけれど、三時間に一度の授乳を済ませてしまえば、あとは眠っているものだとばかり思っていたのだ。

甘かった。

おなかがすいたとぐずり、乳首に吸いつきながら眠りにつく。浅い眠りのなかでげっぷをし、口に乳首を含んで

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きみのかけら

きみのかけら

昨年の終わりごろ、ムスメが押し入れを指さして「おにいちゃんがいる」と言ったことがあった。
思わずほろりと涙がこぼれた。
ムスメが指さした場所には、ムスメが生まれてくるまえにわたしの腹にいた、生まれなかった我が子の写真があるからだ。

わたしたち夫婦には、ムスメのまえにもうひとり子どもがいた。

妊娠がわかったのは2011年の12月。
検査薬に陽性反応があったので、病院へ駆け込んだ。
妊娠5週。赤ん

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きみはどうして眠ることをいやがるのか―子どもの寝ぐずりについて考える

きみはどうして眠ることをいやがるのか―子どもの寝ぐずりについて考える

うちのマナムスメは、眠りにつくのがとてもへたくそだ。
眠らせようとうながすと、力の限り、泣き、叫び、不機嫌にあばれる。
声をかけてものけぞり、いやだいやだとのたうちまわる。
そのさまたるや、まるで悪霊でも憑依したかのようである。

きみはなぜ、そんなに眠ることをいやがるのか。

言葉が増えて会話ができるようになったムスメの言動から、推察してみた。

さいきんのムスメは、眠らせようとするときまって「

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虐待の瀬戸際

虐待の瀬戸際

乳幼児虐待の痛ましいニュースを目にするたびに、後ろめたいような気持ちがちらつくようになったのはいつごろからだろうか。

ムスメが生まれて間もないころ、わたしは不安で仕方がなかった。
この小さな生き物が、ふと目を離したすきに、呼吸を止めてしまわないか。
わたしの腕のなかで寝息をたてたまま、もう二度と目覚めないのではないか。
ずっと抱きしめていなければ不安で、毎晩ムスメを抱いたまま眠りにつく日々だった

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