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五十音短歌「え」

五十音短歌「え」

絵の鳥に一目惚れした籠の鳥鳴けども独り想うも独り

笑み浮かべ雲を蹴散らす晩春の風の強さに負けず羽ばたけ

枝えだの青葉の騒ぐ声を聴き夏夢描く翼休めて

今回は、「鳥」を意識して
詠ませていただきました。

次回は「お」です。
ちょっとした空き時間にでもご覧いただければ
幸いです。

闇夜の赤き鳥 (詩のようなもの)

闇夜の赤き鳥 (詩のようなもの)

火焔が如く、

闇夜に

浮かび上がった、

赤き鳥。

どこを見ているのか?

何を待っているのか?

首を傾げて、

私を見ているようで、

私を待っているようで、

少しだけ、

愛おしくなる。

けれども、

彼が見ているのは、あなた。

彼が待っているのは、あなた。

あなた。

緋色 〜色彩の詩(うた)〜

緋色 〜色彩の詩(うた)〜

彼岸花の咲く丘のように、

緋色 に染まった君の胸元、

心の中まで、

君をおびやかすのならば、

僕が、

その 緋色 を吸い尽くしてあげる。

(だから、君よ)

(その鋭い牙を)

(僕の首筋に立てろ)

そして、

お互いの「優しさ」をグラスに注ぎ、

飲み干そう、酔おう。

葡萄酒のように、

味わおう。

だるく、ゆるやかに、

深く…

深く…

限りなく、

深く。

この荒野。(詩のようなもの)

この荒野。(詩のようなもの)

この荒野。

独りたたずむ。

仲間?

いないが、それが?

孤独?

それは哀れ…

と、でも?

ねえ、

「太陽」なんてさ、

ほんとうは、嫌いなんだよ。

ヤツに意志なんかないだろう?

それなのに どうして ヤツに

“感謝”しなきゃいけないんだよ。

神の棲まう
高い塔の建つ場所へ

荒野はいつも荒野だ
花一輪咲かないのは

この心。

ねえ、

「宇宙」なんてさ、

ほんとうは、興

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ゆめのあわぶく (詩のようなもの)

ゆめのあわぶく (詩のようなもの)

はくちょうが飛ぶ

ふゆの空

そのなかに混ざって

ふわーりふわーりと

まさに、生まれながら

死んでゆく ゆめのあわぶくたちよ

雲のくちびるに接吻したかったらしいが

はかなきいのち

青空にとけて

いっしゅんのゆめ



ああ つめたい風のストロー

はくちょうたちを巻きこんで

かき混ぜる

かき混ぜる

こんがらがった

こんぐらちゅれーしょん

めぐる 時のうず

あのはなびら

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虫の遺骸 (詩のようなもの)

虫の遺骸 (詩のようなもの)

虫の遺骸。

情けない

下らない

無様で  異様で 

お手上げな有様で

凝り固まって醜く

見るほどに不吉で

私は

虫が、死ぬほど大嫌いだった。

生きてても

死んでても

不気味で 不愉快で

気持ち悪くてならず

それに命があること

自体が、許せなくて

私は

虫愛好家のあなたに無視される。

趣味の相違

相性は最悪

でも好きで でも嫌いで

あなたはそれにも拘らず

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五十音短歌「う」

五十音短歌「う」

梅香る枝に鶯鳴く構図やはり絵になる春の町角

憂えるな行く人来る人交差して喜怒哀楽の春ぞ過ぎゆく

麗しき貴方のくしゃみ豪快で風も驚き我に耳打つ

難しいですね、三十一文字(みそひともじ)。
(^^;)まだ3回目…。

次回は「え」です。
ちょっとした空き時間にでもご覧いただければ幸いです。

春色 (詩のようなもの)

春色 (詩のようなもの)

いよいよ生きる、と書いて「弥生」。

街を歩けば、

卒業式帰りの中学生たちが、

あの真っ黒い筒を意気揚々と握りしめ、

春色の風を、身にまとう。

ああ、春だね、春だね。

思い出すよ。

嘘くさい涙を浮かべる友人たちを、

横目で見ながら、鬱陶しくて。

自分だけ乾いた北風に巻かれているようだった。

ああ、春だね、春だね。

思い出すよ。

嬉しくもない卒業証書を持たされて、

友だちっぽ

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黄昏によせて 3篇 (詩のようなもの)

黄昏によせて 3篇 (詩のようなもの)

 1

だれなの?と、
見えない人を呼んでみる。
風が代わりに返事をくれて、
黄昏の街に
消えてゆく影。

 2

太陽が吐き出した柚子色の光の糸
クモの巣みたいに世界を絡め、

西の空は怒りに燃える。

呑まれてく夜のワニに。
もう命は風前の灯火か。

飴細工の星々、
散らかっていく、
神話のように。

 3

黄昏が止んだ。
風が病んだ。

木々の梢の葉は揺れず、
ただ腐って地に落ちる。

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五十音短歌「い」

五十音短歌「い」

凍てついた光差したる冬の窓シクラメンの花の赤燃ゆ

潔し落ちたる椿咲いたまま我は枯れなお枝に縋らん

今言おう言おうと決めてなお言えぬ君は気高き白き山茶花

やっと出ました。2ヶ月ぶり…。

次回は「う」です。
ちょっとした空き時間にでもご覧いただければ幸いです。

「快感」 ー1行の詩によせてー   (詩のようなもの)

「快感」 ー1行の詩によせてー   (詩のようなもの)

まっさらな紙に1行の詩を書く「快感」。

それは、私の独壇場。

やりたい放題できるのに、あえて美学する。

なんて、カッコつけた「快感」だろう。

そこは、私の宇宙。

たった1行の、無限のそら。

でも、まだ…。

あこがれのままなんだ。

ああ、悶えて。

カッコつけられない、快感。