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2023年10月の記事一覧

【マネジメント】『職場』の見方を変える書籍!関わりあう職場のマネジメントを読んで(鈴木, 2013)

【マネジメント】『職場』の見方を変える書籍!関わりあう職場のマネジメントを読んで(鈴木, 2013)

「職場」のマネジメントにおいて必須の書、ともいえる、神戸大学・鈴木先生の書籍をようやく読了しました。この「関わり合う職場」という表現に、職場の持つさまざまな特徴が集約されており、学術書ながらとても実践的な書籍だと感じました!

どんな書籍?

本書は、相互に従業員が関わり合う組織や職場において、他者を助ける行動ややるべき事をきっちりこなす行動、そして仕事における積極的な創意工夫が行われる仕組みや、

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【論文レビュー】2020年代の日本企業の中途採用はどのようになっているのか?:労働政策研究・研修機構(2022)

【論文レビュー】2020年代の日本企業の中途採用はどのようになっているのか?:労働政策研究・研修機構(2022)

本論文では、かつては終身雇用とまで言われて称揚されていた(今も?)日本企業の長期勤続システムについて焦点が当たっています。中途採用が日本の雇用社会に定着しつつある中で、長期勤続システムにどのような影響があるのかについて考察されています。

ホワイトカラーの長期勤続効果という未踏の地長期的に雇用されることによる従業員の習熟については小池和男氏の一連の知的熟練に関する研究群が有名です。本論文では、製造

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「スティーブ・ジョブズ1.0」の真実(後編)

「スティーブ・ジョブズ1.0」の真実(後編)

ジョブズよ、なぜ、語ってくれていなかったのか・・・

ジョブズは、2011年に亡くなっている。私が取材してきた「新版画」とのつながりについて、本人が直接話したり、書き残したりしたものは見つかっていなかった。

「ジョブズが直接、新版画に言及しているカギカッコがないことが最大の弱点でしたね」

これは、英語番組を一緒に制作した同僚の言葉だった。マッキントッシュの開発チームのメンバーやアップル社の幹部

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【論文レビュー】「決める」キャリア論とは何か:下村(2008)

【論文レビュー】「決める」キャリア論とは何か:下村(2008)

スーパーのキャリア発達論は、見方によっては役割や段階によって「決まる」キャリア論でした。しかし、環境変化が激しい現代においては個人と社会との双方向的なダイナミクスによって「決める」キャリア論が求められる範囲が広がってきたと言えます。

D・スーパー以降のキャリア論の前提発達論型のキャリア論は、D・スーパーで一つの極致に至ったとされています。たとえば、彼のライフ・キャリア・レインボーが有名ですが、お

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【論文レビュー】若年期の転職はその後の職業生活にどのような影響を与えるのか?:労働政策研究・研修機構(2022)

【論文レビュー】若年期の転職はその後の職業生活にどのような影響を与えるのか?:労働政策研究・研修機構(2022)

転職が増えつつも、まだ日本の雇用社会では浸透しきっていないと言われることがありますし、実際にそのような傾向があるとデータでは言われているようです。雇用に関するいくつかの報告書で言われていることを、転職に焦点を絞ってざっくりいえば、①全体として転職率は増えていない、他方で②若年層については転職率が増加傾向、というトレンドのようです。

若年期の転職は推奨できない!?詳細を知りたい方は、公開されている

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【論文レビュー】リモートワーク時代における能力開発支援の重要性:荒木(2023)

【論文レビュー】リモートワーク時代における能力開発支援の重要性:荒木(2023)

本論文では、リモートワークの導入が進んだ現状において、従業員が自己学習するための環境や影響要因について研究しています。結論から言えば、企業の能力開発支援に対する従業員の知覚(Perceptions of Developmental HR Practices:以下PDHRP)がプロティアンキャリア志向を部分媒介して、リモートワーク下の従業員の自己学習にポジティヴに影響を与える、ことを明らかにしていま

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安斎への講演依頼、2023年の人気テーマ

安斎への講演依頼、2023年の人気テーマ

この3年間で『問いのデザイン』『問いかけの作法』『リサーチ・ドリブン・イノベーション』『パラドックス思考』などを出版し、最近では「新時代の組織づくり」「冒険的世界観」などのキーワードを積極的に発信していることから、大変ありがたいことに幅広いテーマで講演依頼をいただくことが増えてきました。

リソースに限りがあるためすべてのお声がけにお応えすることはできないのですが、自分にとって「探究の成果を話すこ

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【論文レビュー】人生100年時代のキャリア形成と雇用管理の現状について:労働政策研究・研修機構(2020)

【論文レビュー】人生100年時代のキャリア形成と雇用管理の現状について:労働政策研究・研修機構(2020)

キャリアは個人が主体となって開発する、という考え方が日本企業でも一定の市民権を得てきたようです。では、それに合わせて、企業側の雇用管理はどのように変化してきているのでしょうか?

異動配置の現状まず注目したいのは、異動配置です。何らかの制約がないケースであれば、企業には従業員に対する異動配置の権限はあるものです。だからと言って、企業が無制限かつ自由に従業員の異動配置を行うことは稀でしょう。なぜなら

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【論文レビュー】マッチング型・発達型のキャリア理論の系譜:坂柳(1990)

【論文レビュー】マッチング型・発達型のキャリア理論の系譜:坂柳(1990)

先日、ある勉強会に参加して対話する過程で、様々なキャリア理論を深掘りしたいなという意欲が高まりました。特定の概念の背景を知るためには理論の深い理解は必要ですし、キャリアって概念がたくさんあるのでそれぞれの関係性を考察するためにも必要かなという思いです。まずは日本語で見取り図を得ようとすると、やはり坂柳先生に辿り着くことになるわけです。

マッチング型・発達論型の見取り図本論文では、キャリア理論を内

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【読書メモ】『問いのデザイン』(安斎勇樹・塩瀬隆之著)

【読書メモ】『問いのデザイン』(安斎勇樹・塩瀬隆之著)

2000年代前半に傾聴やコーチングといった言葉とともに質問力が流行った時期がありました。カウンセリングや臨床心理といった心理学(特に心理構成主義)の考え方に依拠しながらある程度は定着したように感じます。本書は、学習論をベースにして問いを扱い、質問や発問とは明確に分けて捉えています。社会構成主義に基づきながら、個人の変化や他者との関係性の変化を促し、個人として組織としての創造性の発揮に繋がる、という

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