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休みの最後、クラシック

 4連休の最終日は、家で静かに映画を見たり本を読んだり時々気まぐれで簿記の勉強をしたりしていた。簿記については正直細く長く勉強しているので、もはや自分でも受かりたい気持ちがあるのか甚だ疑問だ。そもそも人は勉強するにしてもその先に何かないとやる気が上がらない生き物なのだろう(それは私だけかもしれないが)。

 久しぶりにクラシック映画を見た。1927年にドイツで製作された『メトロポリス』。Amazon Primeとかでも見られなくて、仕方なしにTSUTAYAで借りた。こうした昔の映画も満遍なく見られるのがやっぱりTSUTAYAの良さだろうか。

 さて本映画は白黒映画で、基本人が直接言葉を喋ることがない。時々、紙芝居のような形でセリフが入る。劇中ではクラシック音楽が流れて、不思議と想像力が掻き立てられるのよね。確か1時間半とかそんなもんで、最初から最後までだれずに観ることができた。話の筋的には、都市階級と労働者の二軸に分かれていて押さえつけられた労働者が都市階級の人たちに反旗を翻すという話。

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(またしょぼい解説図ですいません…)

 旧約聖書に出てくるバベルの塔の話とかも出てきて、かつてキリスト教をかじった人間からすると非常に興味深かった。時代背景的におそらく資本主義を批判する映画だったのかな。本作は意外と後世に残る様々な作品にも影響を与えていて、例えば有名なところだとチャップリンの『モダンタイムス』とか手塚治虫の同名作品『メトロポリス』とか。

※手塚治虫作品は少し前にアニメ化されている。

 当時からすると、きっといわゆる都市階級(=支配者階層)は悪で、労働者たちは彼らから搾取される可哀想な人たちという図式だったんだろうな。

 これはきっと資本主義に関わらず過去同じことが何度も起きている。支配者層に対する被支配者層の人たちの鬱憤が溜まっていった結果、最後は反乱という形で幕を閉じる。過去の出来事から学んで支配者層は怒りの矛先を変えたり、抵抗できなくするまで徹底的に抑え込んだりして自分の地位を確立する動きを見せたりする。歴史は繰り返すものらしい。

 本作の最後では、なるほどなという結末。それほど時間は長くはないものの筋書きがしっかりしている。都市階級で権力を持っている男の息子が地底に降りてきて機械にひたすら翻弄される労働者を見て、今の自分の現状に疑問を持つ。やがて労働者たちの前に救い主としてマリアという女性が現れる(これもきっとキリスト教つながりだろう)。労働者の反乱を防ぐために、権力者が策を練る。

 都市階級=Brain、労働者=hand、そして彼らの間を仲介する人を調停者=heartと表現するあたり、なかなかセンスが良いなと思った。きっといつの世もみんなが平和に暮らすためにはheartが必要なのに、なかなか全ては思い通りにいかないものらしい。

 それにしても、『メトロポリス』に出てくるロボットがもはや『スターウォーズ』に出てくるC-3POにしか見えないのは私だけだろうか。

 それと自分の中で最近アナロジー(類推)がトレンドになっていて、ある作品と結び付けられるものはないかなと思いながら生活する癖を身につけるべく奔走している。過去読んだ本を思い出すと、『メトロポリス』に通ずる小説は結構あることに気づく。(人によっては視点が違うのでいやいやと言われるかもしれないが、ご了承いただきたい)

・石田衣良『ブルータワー』
黄魔という死亡率87%のウイルスが猛威を振るう世界での話。どこか今の世の中とも通ずる部分があるような気がする。

・池上永一『シャングリ・ラ』
加速する地球温暖化を阻止するため、都市を超高層建造物アトラスへ移して地上を森林化する東京。イラストがまさにバベルの塔っぽい。

・貴志祐介『新世界より』
1000年後の日本。豊かな自然に抱かれた集落、神栖66町には純粋無垢な子どもたちの歓声が響く。物語中盤あたりの設定が結構似ているところがある。


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