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『階段の先には踊り場がある』の凄さ
木村聡志監督『階段の先には踊り場がある』
びっくりするくらい傑作でした。
山下監督、今泉監督に続く、長回しによるリアルなリアクションと会話のおかしみを得意とする作風で、
更に叙述トリックのような脚本の仕掛けがミステリーの方向性ではなくビターな人生模様を描く方に効いてくるあたり、ただ者じゃないなと。
小説や演劇だと大きな賞を取るレベルの作品にこういう仕掛けをみることがあるが、日本映画ではあまり見か
『青春ジャック 止められるか、俺たちを2』めちゃ面白かった
『青春ジャック 止められるか、俺たちを2』
井浦新さん扮する若松孝二監督がもはやフーテンの寅さん並みの愛されキャラになってて、終始面白く、見てるだけでなんだか幸せな気持ちに。
これはシリーズにして正月映画で公開してほしい。
シネマスコーレの誕生と奮闘、そして若き井上監督の青春の日々が噛み合って、最高の重喜劇になってます!特にミニシアター好きなら胸熱過ぎです!
ということで解説動画作りました。
『ゴジラ-1.0』が反戦に思えた理由
『ゴジラ-1.0』(山崎貴監督)が米国アカデミー賞でアジア映画初の視覚効果賞で最優秀賞をとったという凄いニュースが流れてきた。
公開日すぐに観に行って翌週2回目鑑賞するくらい面白かったのだが、「戦争を肯定的に描いている」という否定的意見をちらほら耳にしたりSNSでも見受けられたので、自分はどう観たのかを書いておく。あくまで自分はこういう構造に見えたという話であり、実際に創作者の方々の頭の中を覗い
『デューン 砂の惑星PART2』という映画版「巨大宗教施設」
EXPOCITYのデカいIMAXで『デューン 砂の惑星PART2』を観て、僕は心が満たされた(たぶん目がイってる)。
あの映画は言わば「巨大宗教施設」だ。
以前、奈良の天理教の大神殿を見学したが、『デューン2』を観てる時と似た興奮があった。
自分は巨石とか巨大な工場とか巨大建造物が好きだ。巨大重機のでっかいキャタピラとかゾクゾクする。
巨大な港湾クレーンがゆっくり動くのも好きだし、強風が吹いたと
『水深ゼロメートルから』は山下監督の一つの到達点
『水深ゼロメートルから』山下敦弘監督
『アルプススタンドのはしの方』に続く、高校演劇の名戯曲を映画化した『水深ゼロメートルから』。
監督は山下敦弘監督で、『リンダリンダリンダ』などの山下監督の女性映画の中で、現時点の到達点じゃないか?!と思える傑作。
まず、自分も含めて中年男性のクリエイターが若い女性を描く時に陥りやすい「願望」やら「嫌悪」やら「性的な消費」などの気持ち悪い要素が全く無い!!!
『スミコ22』も傑作
『スミコ22』 監督:福岡佐和子
マジで良かった!!
しどろもどり(監督の福岡佐和子と助演で助監督のはまださつきのユニット)×主演:堀春菜による、頼りないけど自分の小さい幸せを大事にする若い女性の日記映画。
これも日常系だが、変に大きな物語にしようとせず、ただただミニマルな日常が描かれる。可愛さで油断してしまうが、ある意味ラディカルな映画。
「私たちの好きな世界を観てください」という閉じた感
『走れない人の走り方』が傑作
スー・ユチュン監督『走れない人の走り方』
気持ちのよい傑作!
それなりの入賞経験もある若い映画監督の、猫と友達とのシェアハウスでの暮らしや、クランクイン前なのに遅々として進まない映画の準備での悲喜こもごもが、とても丁寧にナチュラルに、すっと胸に飛び込んでくるように描かれる。
この映画が出色なのは、そこに挿入されるヘンテコでおかしな人々のエピソードたち。監督曰く、伊丹十三の「たんぽぽ」の構成を参考
侯孝賢の到達点『ミレニアム・マンボ』
第七藝術劇場 支配人の小坂誠さんを相手に
『ミレニアム・マンボ』について
特に「光の明滅の演出」と「エドワード・ヤンとの関係」について話しました。
侯孝賢の到達点『ミレニアム・マンボ』のここがスゴイ!
【解説動画】 #映画の学校
ラジオがわりに聞いてください
0:27あたりで注釈入れてますが、
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レオス・カラックス監督も1991年の「ポンヌフの恋人」で
明滅する
まなざしの映画監督ビクトル・エリセ
ビクトル・エリセ監督『ミツバチのささやき』(1973)『エル・スール』(1982)を久々に再見して、最新作『瞳をとじて』(2023)を観てきた。
どれもそれぞれ素晴らしく、かつ3本の映画が50年の歳月をかけて「円環」を作ってるように見え、一人の世界的映画作家が自分の映画人生にどう決着をつけるのかに思いを馳せて深く感動してしまった。
『ミツバチのささやき』と『エル・スール』は今回見返して、10代