男根を脱構築する――80年代の絓秀実
1980年代と1920年代 たまたま1980年代に出た絓秀実の『探偵のクリティック』を目にしたのだった。懐かしくなってぱらぱらと読み返してみると、当時の文化状況のことが思い出されてきた。まずは都市論があり、それと連動して1920年代論があった。さらにはフェミニズムやオリエンタリズム論が人文学分野を活気づけていた(エドワード・サイードの『オリエンタリズム』の邦訳が出るのが1986年のことで、「オリエンタリズム論」は90年代には「ポスト・コロニアリズム」という呼び名で批評界の一角