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「一者」と「求道者」の短歌・佐佐木幸綱
筋肉と意志の短歌 「現代歌人文庫」の第23巻『佐佐木幸綱歌集』を読んだのは1985年のことである。当時は札幌のホテルで働いていた。ホテルというと、一般的なイメージとしては、エレガントで紳士然とした落ち着きを思い浮かべる人が多いだろう。まあ確かにフロントなどはそのイメージが当てはまるし、ホテル全体の従業員にも、そのようなイメージが求められ、少なくともそうしたフリはしなければならないのであるが、私が所
もっとみるバズる深夜放送・林美雄
1970年代前半の肉体 著名なノンフィクション・ライターの柳澤健が、2013~2014年にかけて月刊誌「小説すばる」誌上で連載し、2016年に単行本として刊行した『1974年のサマークリスマス 林美雄とパックインミュージックの時代』は、めっぽう面白く、かつ、めっぽう熱い書物である。この面白さと熱さは、この作品の主要な舞台である1970年代前半の時代に特有なものであろう。おそらくそうは言われることは
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