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小説とか本とかの感想を書いていきます。 メインは読書メーターの方で、255字にまとめき…

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小説とか本とかの感想を書いていきます。 メインは読書メーターの方で、255字にまとめきれないことをこっちに書きます。 https://bookmeter.com/users/199863

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記事一覧

雑学と雑談に癒やされる「墓場のラジオ」

 切り抜きやら倍速再生やらとにかくファストにコンテンツを楽しむという世間の流れに逆行するかの如く、長時間・編集小のラジオ的なコンテンツにどハマリ中。  昨年、言…

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2年前
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生きるのが辛いあなたに 黒澤いづみ『人間に向いてない』

 『人間に向いてない』は第57回メフィスト賞受賞作品である。  一番泣けるメフィスト賞受賞作品(俺調べ) あらすじ ある日、主婦・美晴の息子・優一が異形の怪物にな…

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2年前
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2021年4月に読んだ本感想 ~ファンタジーからミステリから暗黒小説まで~

 最近また読書のペースが上がってきたので感想を書いていきます。  5月はじめくらいに書き始めて、結局5月半ば過ぎたぐらいまでだらだら引き伸ばしてしまった……。ち…

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3年前
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残酷・鬼畜・不道徳されど論理は美しい 白井智之『少女を殺す100の方法』

 自分が愛してやまない白井智之作品を読み終わった。ずっとこの本は気になっていたけれど、ついについに読んで大満足したので語りたい。  本作は5つの短編を収録したノ…

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3年前
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主婦とヤクザによる襲撃強盗――小川勝己『葬列』を語りたい

 小川勝己さんの『葬列』を読み終わったばかりなので、語りたい熱が全く収まりませんでした。感想を書きます。 葬列とは――これが私たちの戦争なんです――横溝正史賞大…

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3年前
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気づいたら本格ミステリ大好き人間になっていた男

10月に読んだ本をまとめていたら、なんと16冊! 2日に1冊のペースで読んでいたみたいです。過去の私からするととんでもないハイペースで本読んでます。特に本格ミステリ多…

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3年前
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「書くこと」は「書くこと」でしか鍛えられない

せっかくnote始めたので、少し駄文も書いてみたいと思いました。金曜夜でちょっと変なテンションになっているので許してほしい。 読書メーターを見返して思う読書メーター…

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3年前
12

あらすじが言えない小説、白井智之『名探偵のはらわた』をネタバレなしで紹介したい

noteを始めた理由は、読書メーターでは書ききれない白井智之の作品感想をどうしても書きたいから。という理由でした。その氏の最新作『名探偵のはらわた』を読んで、これは…

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3年前
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東川篤哉『密室に向かって撃て!』にガチで挑んだ読者の記録

タイトルの通り、本格ミステリにガチで挑んだ顛末をここに記す。ミステリ本を読むときに登場人物を忘れないようにメモるくらいのことは何回かしていたけれど、発言や描写、…

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3年前
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とんでもないものに出会ってしまった……白井智之『お前の彼女は二階で茹で死に』

ミステリとホラーを中心に小説を読んでいるけれど、今年ドストライクな作者に出会ってしまったので、noteはじめました。 最初に言っておくとこの作品をランダムに選んだ10…

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3年前
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雑学と雑談に癒やされる「墓場のラジオ」

雑学と雑談に癒やされる「墓場のラジオ」

 切り抜きやら倍速再生やらとにかくファストにコンテンツを楽しむという世間の流れに逆行するかの如く、長時間・編集小のラジオ的なコンテンツにどハマリ中。
 昨年、言語学とうんちくをどっぷり楽しめる『ゆる言語学ラジオ』にハマったことがきっかけで色々探していく中、年末年始には世界史・日本史にフォーカスした『COTEN RADIO』にも手を伸ばした。

「もっと、くれよ! こういう多人数で、話題が面白くて、

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生きるのが辛いあなたに 黒澤いづみ『人間に向いてない』

生きるのが辛いあなたに 黒澤いづみ『人間に向いてない』

 『人間に向いてない』は第57回メフィスト賞受賞作品である。
 一番泣けるメフィスト賞受賞作品(俺調べ)

あらすじ ある日、主婦・美晴の息子・優一が異形の怪物になってしまった。その現象は「異形性変異症候群」と呼ばれ、日本各地で起こっていた。異形になるのは若者、それも引きこもりやニートのように社会や家族と接点のない若者中心に異形化現象が起こっていた。
 異形の姿も様々だが、会話したりコミュニケーシ

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2021年4月に読んだ本感想 ~ファンタジーからミステリから暗黒小説まで~

2021年4月に読んだ本感想 ~ファンタジーからミステリから暗黒小説まで~

 最近また読書のペースが上がってきたので感想を書いていきます。

 5月はじめくらいに書き始めて、結局5月半ば過ぎたぐらいまでだらだら引き伸ばしてしまった……。ちゃんと書ける時に書いておかないとだめだね。

森山光太郎『隷王戦記1 フルースィーヤの血盟』 最年少受賞者って自分のイメージなんですけど、やっぱり名作生み出す率高い気がする(感覚の問題なので、統計は一切取ってませんし、全員読んでるわけでも

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残酷・鬼畜・不道徳されど論理は美しい 白井智之『少女を殺す100の方法』

残酷・鬼畜・不道徳されど論理は美しい 白井智之『少女を殺す100の方法』

 自分が愛してやまない白井智之作品を読み終わった。ずっとこの本は気になっていたけれど、ついについに読んで大満足したので語りたい。

 本作は5つの短編を収録したノンシリーズ短編集。過去の白井作品既読の人にはわかると思うけれど、どれも本格でどれもめちゃめちゃのぐちゃぐちゃ。この本のタイトルはまさにそれを表している。1つの短編で20人の少女が死にます。だから、それが5作品で計100人死にます。それがこ

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主婦とヤクザによる襲撃強盗――小川勝己『葬列』を語りたい

主婦とヤクザによる襲撃強盗――小川勝己『葬列』を語りたい

 小川勝己さんの『葬列』を読み終わったばかりなので、語りたい熱が全く収まりませんでした。感想を書きます。

葬列とは――これが私たちの戦争なんです――横溝正史賞大賞受賞作!
社会にもてあそばれ、運命に見放された三人の女と一人の男。逆転不能の状況のなかで、負け犬たちは、とっておきの作戦を実行した。果てなき欲望と本能だけを頼りにして――。

 葬列は小川勝己さんによるデビュー作です。2000年の第20

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気づいたら本格ミステリ大好き人間になっていた男

気づいたら本格ミステリ大好き人間になっていた男

10月に読んだ本をまとめていたら、なんと16冊! 2日に1冊のペースで読んでいたみたいです。過去の私からするととんでもないハイペースで本読んでます。特に本格ミステリ多め。

昔は本格ミステリに対して苦手意識めちゃくちゃあったのに、なんでハマったんだろうということを、10月に読んだ本格ミステリを紹介しながら振り返ります。

①鬼畜系特殊設定パズラー白井智之に出会い、もう何回noteに書くんだっていう

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「書くこと」は「書くこと」でしか鍛えられない

せっかくnote始めたので、少し駄文も書いてみたいと思いました。金曜夜でちょっと変なテンションになっているので許してほしい。

読書メーターを見返して思う読書メーターを初めて今日で550冊目にたどり着きました。もうここまで読むと半分くらいの小説が頭からすっと抜けているので、ちょくちょく再読したいとなんとなく思っていました。どうやって再読本探そうかな~、と考えていたのですが、漫然と「これまで書いた感

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あらすじが言えない小説、白井智之『名探偵のはらわた』をネタバレなしで紹介したい

あらすじが言えない小説、白井智之『名探偵のはらわた』をネタバレなしで紹介したい

noteを始めた理由は、読書メーターでは書ききれない白井智之の作品感想をどうしても書きたいから。という理由でした。その氏の最新作『名探偵のはらわた』を読んで、これはまだ読んでいない人にこそ絶対に紹介したいと思ったので、この記事を書きました。

この作品についてですが、一切あらすじを見ないで読んだほうが断然面白い、と思います。

元々、自分がこの作品を知ったのは、書評家の杉江松恋さんがyoutube

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東川篤哉『密室に向かって撃て!』にガチで挑んだ読者の記録

東川篤哉『密室に向かって撃て!』にガチで挑んだ読者の記録

タイトルの通り、本格ミステリにガチで挑んだ顛末をここに記す。ミステリ本を読むときに登場人物を忘れないようにメモるくらいのことは何回かしていたけれど、発言や描写、事件の状況や時系列などを細かくメモしながら読み、「絶対解き明かしてやる!」と意気込んだのは初めてである。

あと、この記事には一応犯人だとか、ネタバレとかは書かないのでご安心して読んでください。書くとしたら「解決編は〇〇章」ぐらいの要素なの

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とんでもないものに出会ってしまった……白井智之『お前の彼女は二階で茹で死に』

とんでもないものに出会ってしまった……白井智之『お前の彼女は二階で茹で死に』

ミステリとホラーを中心に小説を読んでいるけれど、今年ドストライクな作者に出会ってしまったので、noteはじめました。

最初に言っておくとこの作品をランダムに選んだ100人に読ませたら、70人は顔をしかめて不快になり、27人はなんだこれはと怒りだし、残りの3人くらいがトリックとロジックの鮮やかさに魅せられる。そんな超ニッチ小説です。

本格ミステリ大好き+平山夢明作品大好きな人は、超大好きになる可

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