感染症パンデミックと学校、学力

湘南の父さんのポストでPISAのことを思い出した(報道は年末だったみたいなんだけど時期的にスルーしてたみたい)。

順位の回復について、文科省の寺島史朗学力調査室長が「感染予防の工夫を講じながら早期に学校が再開され、教員の献身的な取り組みにより学習機会が確保されたことが、3分野すべてで世界トップレベルという結果につながったのではないか。」と語ったように、日本においてパンデミック初期の「休校期間が他国に比べて短かった」ことが学力維持に寄与した可能性があるというのは意識しておくべき点であろう。

ニュースのスクリーンショットは上記アドレスから。

教育に直接的な効果を求めるのは難しいし、学力についても本当に色々な要因が絡むものであるし、おそらく「休校期間」の「休校」も定義があやふやで生徒によって理解が異なりそうだし(条件統制が効かない)、そもそも「PISAが測っている学力はPISAが測っている学力でしかない」ので、私は特に「順位」に一喜一憂するのは短絡だと思っているけれども。

「新型コロナのため3か月以上休校した」と回答した生徒の割合は、「OECDに加盟し調査に参加した37か国の平均は50.3%で、日本は15.5%」とある。

私の記憶では、安倍内閣の突然発表で「強制休校」状態になったのは2019年度冬学期の半ば過ぎ(2020年の2月末?)、その学期末は本当に全てがフリーズ状態になって、結局学年末試験も行えないまま終わった。だから、通常授業が行われている時期の「一ヶ月位」は、本当に全国の学校が全て「休校」したと言えると思う。でも、2020年度(4月から)はそのような「強制休校」状態は無くて、元所属では確かオンライン授業を行っていた。

この「オンライン」をどう捉えるかを、きちんと定義していないんじゃないかなと「3か月以上休校(国内)15.5%」のデータを見て思った。
体制が整えられなくて春学期初めが多少遅れたりということはあったかもしれないけど、6月頃まで国内中学校の15%もが一切の授業を行わなかったというのは流石に考えにくい。
だから、実質的に使えるデータだという保証はできないんだけど、あくまで傾向把握のための参考情報として、「「3か月以上休校した」という回答が少ない国や地域では、今回の調査で中心的分野となった数学の平均得点が高い傾向にあった」という情報を捉えると、安定的な学びの機会を維持できたことが、指標値にも影響した可能性がある、対面・オンラインに限らず「学びの場」を「安定的に」提供し続けることこそが、教育機関の重大な責務であると言えるだろう。

翻って、昨今のノーガードノーマスクインパールによって、この国では美しく「学級・学年・学校閉鎖」による授業停止、実質的には上記調査で言う「休校」状態が相次ぐ状態となっている。
「強制」「一斉」の連続的な休校は無いけれども、「感染症への対策を全放棄」した「対面授業のみ」のインパール開校の結果(この国ではもうオンライン授業の存在なんて忘れ去られている)、次から次へと感染を連鎖させてだらだら常に誰かが休んでいる状態、しかも、コロナ、インフルA、インフルB、その他、またコロナ、と同じ人が何度も、違う(型の)感染症に罹患して、バラバラの時期に総計すると長期間休む結果になる、なんていう不毛な環境が強固に形成されてしまった。

Studentsだけでなく、当然教師だって感染するわけだから、その時には「休校」でなかったとしても授業は止まる。
「閉鎖」期間の挽回を、授業を「急ぐ」ことで試みるなら、取りこぼされるStudentsが増える。てんでばらばらな穴あき状態だから一斉授業&大人数じゃそう簡単にフォローだって出来ない。

そうすると各人の習得カリキュラムがすかすかの穴あき状態になるじゃない?高校までの学習って基本的に基礎から積み上げていく形だから、穴が空いたらその先も落とし穴だらけになるんだよ。
そして高校までの習得内容がきちんと身につかないことって、進路選択にも、高等教育での学びでも、就職試験でも、地味に響いてくるんだよ。

私は高校時代に勉強を全放棄したから、紆余曲折あって大学へ行こうという気になった時にも受けられるところがほぼ無くてとても困った。大学時代は楽しく学んで成績も悪くはなかったけど、高校カリキュラムのブランクがあることによって、本当ならここをもっと理解できただろうになあと残念に思うこともたくさんあった(例えば文学、美術、音楽などの時代背景などについて基礎知識が欠けている)し、同じようなことは欧州を巡っている時にもたくさんあった。加えて、私は就活をしたことがないんだけれども、その理由の一つは、採用試験の一次で行われる筆記の一般教養の部分が高校までのカリキュラム積み上げを前提としたもので高校時代の部分が欠けている私には著しく不利だったから。どんなに大学の成績があったとしても、私は自分が就活の筆記を突破できるなんてとても思えなかった。それにまあ鳥頭だから、範囲が広過ぎる暗記はきついというのもある(大学時代の暗記が必要な科目は短期記憶と気合いで乗り切っていた、、範囲が限定されていて自分の興味のあることであれば、ある程度、その場では何とかなる)。

「学校」の「教師」って、基本的に「高校までの学校(文化)が好き」で「【学校的】な(主として)積み上げ型の学習への親しみを持つ」一定の学歴・学校歴を持つ者が多い。だから、積み上げ損ねた場合の影響やそれへの対応という視点が非常に薄い。
感染症が少なかった時代に楽しい学校生活を送って、成功体験を得て、学校が好きで、その中にまた身を置きたいと思って教職に就いた人間が、それ自体はいいとして、「自分の時とは全く異なるパンデミック下」においても「自分達の(楽しかった)青春時代」のような形をそのまま繰り返そうとするのは思考停止でしかない。

そしてこの思考停止、妄信猛進は、権威主義、全体主義と共に日本の近代学校教育、特に皇国主義イデオロギー浸透装置となった戦時中から脈々と続く、それが心地よい人々には快適である一方、私には鳥肌物の特質、「である」の世界そのものである。

笑顔は勿論大切だよね。感染リスクが無い状態であれば、マスクは必要ないし、私も自宅でマスクをすることなんてないよ。でも5類化で「全て自己責任」にされ、検査もまともに行われず感染時の隔離も行われなくなってしまった今は、他人がいる限り感染させられるリスクが常に存在する状態なんだ。マスクだけで感染を防ぐことはできないけど、それでもマスクすらしないなんてあり得ない。環境がノーガードであればあるほど、少しでも感染リスク、ウイルス曝露量を下げるため、せめてもの「自衛」をしなくちゃいけない。本当に皆を「素顔」で「笑顔」にしたいなら、感染を無くしていけばいいんじゃない?
パンデミック初期には「子どもは感染しない、重症化しない」なんて言われていたよね。でもそんなこと無かった。今の感染爆発のハブは学校だし、若者もじゃんじゃん感染して、その中には重症化する人も後遺症を抱える人も出てきた。
確かにまだ感染後の急性症状も、後遺症も、比較的軽めの子が多いよね。でも今後もそうである保証は無い。「子どもは感染しない、重症化しない」が覆されたように、ウイルスの変異と、複数回感染との相乗効果によって、今後近いうちに、海外と同じように、重い後遺症を抱える子、感染直後の重症化してしまう子が国内でも増えていく。

日本は「パンデミック初期には」比較的押さえ込みに成功していたんだよ。ノーガード化ですっかり忘れ去られてしまったけれど、(海外とは違って)法的義務でもないのに多くの人がマスクをして、意識的に感染対策をしていた時期があって、この時期に日本は感染者も死者も、海外に比べるとずいぶん少なかった。もはや過去だけど。

そしてこの時期にきちんと学校・学びの場を維持したことと学力維持との相関可能性が言われているんだよ。
私は日本の子ども達の学力が上がったというより、他国の子ども達の学力が下がったという要素が大きかったから、相対的に、PISAの順位が上がったのだと見ている。

皆、高順位が好きなんでしょ?ニッポンスゴイんでしょ?
だったらそのスゴイを作り出した条件を思い出してみたら?文科省様も言ってるよ?

このまま学校の機能不全を続けたら皆の大好きな順位はまた下がるし(他国と条件が変わらなくなるから「相対的」の部分が次は効かなくなる)、何より、先の長い、本来は光を求められたはずの子ども達の多くが、スカスカカリキュラムの弊害に苦しんだり、それ以前に感染とか後遺症とかに、何度も、長期間、苛まれたりすることになる。

それでもこの国では「赤信号皆で渡ればこわくない」と美しく言われてしまうのかもしれないけど、他がどうであろうと、その個にとっては、その中に起きていることが絶対なんだよ。つらい、きついのに全く理解されないと、ますます哀しみを抱えたり人間不信に陥ったりする子どもを増やしたい?

「感染上等」の大人達は本当に子ども達を見ているの?
長くどこまでも付き纏う、決して消し去れない苦痛、耐えられるの?
一切の光が失われた絶望の世界に、他人を追いやっていいの?

自然感染で免疫強化?ふざけるな。コロナは免疫を破壊する。

子どもの笑顔を消したくないなら、まずは感染させないで。そしてきちんと学びの場と安全な居場所を維持するようにしてよ。学校は家庭内暴力虐待など機能不全家庭にとらわれている子ども、アダルトチルドレンが抜け出して行ける場所、文字通りのセーフティーネットでもあるんだよ。

自分達が享受できた感染症が少なかった時代の青春の思い出は、「感染症を少なくして」、還元しようよ。良識ある、理性ある大人だったら。
感染を抑えて、持続可能な教育、学校、授業を維持しようよ。IQのためでも順位のためでもいい。子ども達の学びの場を「感染対策全放棄」の「ノーガード」で壊さないで。

感染によって血液脳関門が壊れて脳はおかしくなるし、IQも下がるし、ブレインフォグも認知障害も起きる。


いつまでも「ただの風邪」妄想で猪突猛進していないで、「合理的」な、子ども達の存在、健康と学びを尊重する教育機関を目指そうよ。「出来ない理由を考えるのではなく」、さ。きちんと感染対策をした学校、職場は、子どもだけでなく自分、それ以外の大人、社会全体も守る。
少産多死社会に必要なのは、今いる人を、子どもも大人も、大切にして生かすこと。生きられる人を減らさないこと。動ける人を動けなくしないこと。

私はそう思う、けど、まあ無駄だよね。この国は美しいから。


そう言えば、昨日は突然謎の眠気に襲われて、日中ほとんど眠りこけていた。(朝まで眠れなかったから睡眠時間的には標準量なんだけど、私の場合はたとえ朝まで眠れなくても日中も連続しては眠れないのがデフォルトだから、こんこんと眠り続けるのは異例。)
千葉の謎連続地震との関係を疑っている。年末に謎の眠気が続いた時はその後に能登地震が起きた。
不気味。


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