あおい満月

あおい満月(みづき)と申します。 現在、詩誌「詩と思想」、同人誌「指名手配」、「カナリ…

あおい満月

あおい満月(みづき)と申します。 現在、詩誌「詩と思想」、同人誌「指名手配」、「カナリア」、「澪」等で詩、エッセイ、詩人論を書いています。 「公募ガイド」等にも詩やエッセイを出すこともたまにあります。 2020年11月20日、第一詩集「風の声 空の涙」刊行。

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何かが 心の底から生まれて 大きくなり 心臓を突き破るくらいの 見えない痛みを感じた時に 声は言葉になり 白い地図の上に落ちていく それはまるで パントマイム 手のひらに 伝えたい何かを宿して それは手探りのようだけれど 手探りではない あなたに意思を伝えるために 声なき声が 届ける詩 人は誰でも 生きながら詩を書いている 自己という見えない世界で 手探るように しっかりと あなたは私に 生きを共有している 私もあなたに 私を共有する

    • 自分自身になれる場所

      「人の意見を聞き入れるのは大事なことだけれど、けっして、左右されてはダメよ」とは、私が人間関係で悩んでいることを伝える度に、母が諭してくれた言葉だった。  ある人は、「富士子さんは真面目で優しいから、誰の言葉も真に受けてしまうのよ。ああこの人は、こう言う人だ、って折り合いを付けられれば良いんだけどね」と言ってくれたこともあった。その人は、私と同い年の女性で、おおらかで人当たりも良い人で、私が行きつけの天珠のお店の店員さん。彼女は優しいけれど、瞳の奥にしっかりと人には左右されな

      • 声を探す

        視界から 雨のようにふりそそぐ世界は 目を閉じると 海馬にそそぐ川となり 流れていく 世界の声は 耳を塞いでも流れてくる 壊しても壊しても 壊しきれない壁たちの優越や 美しいものをちらつかせながら 諭してくる生易しい教えや 私を支配しようとするものは いらない 鏡を覗く 瞳の奥から聞こえてくる 充満するカオスの声を振り切り 息をしている声を探す 七日間を生き延びて ひっそりと大地という 空に還っていく蝉の 最後の一声の 小さくも確かな声が 私の声

        • 嘆きの母

           今日は時間があるので、頭の中にあるもやもやしたものを書こうと思う。  私が一番嫌いなことは、嫌な、悲惨なとか、苦しい現状をただ「嘆く」こと。打開策も考えようとしないで、ただただ「私はもうダメだ!」とか、「何でこうなったんだろう」とか、「世の中、生きてたってつまらない。早く死にたい。」とか、はっきり言ってやめてほしい。  上記のように嘆くのが私の母親。 彼女は私を産む前から糖尿病を発症していて、お産で一気に目を悪くした。それに、私の父親は女遊びが激しく、しょっちゅう女で問題を

          ノートに書くを再開

           来週、新しい仕事がもしも決まって、働き始めるまでまだ3週間は先だから、もっともっと、詩を書いていようと思い、再びノートに向かっている。  来年は詩集を出す予定で、資金はあるのだけれど、うちはあいも変わらず母が私のお金を管理している。私が名古屋に嫁ぐ時、いくらかは母と分けて持って行くつもりだが、母はなかなか首を立てに振らない。でも、私はなんとしても詩集を出す。  詩人で文化企画アオサギの代表の佐相憲一氏と約束しているし、前回の4年前に出した第一詩集は急ぎ足で出してしまったとこ

          ノートに書くを再開

          光のなかで

          眩しすぎる光のなかで 影に抱かれている あなたの顔を見たいけれど 眩しすぎる光のなかでは 指でなぞった輪郭でさえ 煌めいては消えていく 魚影のように不確かで あなたが私の名前を呼ぶ 差し伸べられた手を繋ぐ その時初めて 過酷な現実の 一抹の優しさを知る ビルの谷間に沈んでいく 夕陽の赤い光が あなたと私の髪を撫でて 一時の別れの扉が開く音が 私の肩を掴んでも 胸のなかに咲いた花は 風に散ることはない あなたの優しい眼差しと 背中を押す手のぬくもりに 未来を確信する 私た

          光のなかで

          もっともっと、好きなことを

           春の暖かなそよ風や、花の色、甘い香り、芽吹く緑…。昔と比べたら私自身は、随分穏やかな性格になったような気がする。ゆっくりゆっくり、流れる時間の味わいのようなものを感じられるようになったし、物事に対しての見方や触れ方も、優しくなったような気がする。昔はこんなではなかった。いつも焦っていたし、イライラもしていた。誰かと楽しく笑っていても、心のなかは嵐だった。  詩を書いてきて、今年で21年目。長い付き合いだと思う。「お前は飽きっぽい」とか、母親に言われたことがあるが、確かに、今

          もっともっと、好きなことを

          noteという場所の変化

          以前、作業員のお仕事に憧れてやってみるも、結局私の足の障害のせいで先方様からNGを出されてお仕事終了になってしまったので、やはり私は事務のお仕事に戻るしかない、と決断し、仕事探しを再開している。と言ってもなかなかすぐに見つかるものでもないが、やるだけやるしかない。  8月の名古屋行きも、たけさんのお仕事が8月は忙しいのと、東海地方の夏は酷暑で物凄く暑く、外にも出られないぐらいだというので、8月は諦めて、名古屋で一緒に暮らすのは9月以降にしよう、と二人で話し合った。中には、「暑

          noteという場所の変化

          来年の入籍日

           私は相変わらず、仕事を探しているが見つけられない不安定な日々を過ごしている。私は仕事には恵まれない生まれかもしれないが、人には恵まれているのではないかと最近はひしひしと感じる。  先日、婚約者のたけさんと上野で一足早いクリスマスデートをした。ケーキは食べなかったけれど、お互いプレゼントをし合った。私は帽子をプレゼントし、彼は中指に嵌める指輪をプレゼントしてくれた。私はすごく嬉しかった。男性からちゃんとしたお店で買ってもらう指輪は最高。前の彼は何でも通販でプレゼントは買ってく

          来年の入籍日

          文章を書くための5つの大切なこと

          佳い詩を書こうとか、佳いエッセイを書こうとか、 色々思いながら書く日もあるけれど、一番大事なのは私やあなたが「書くこと」がどれくらい好きかということなのだと思う。  私は詩を書いて20年目に突入したが、エッセイに力を入れ始めたのはまだ4年ほど前である。  だから、文章の書き方とかのノウハウのようなものを人に語れる立場ではないのだけれど、書き続けてきて、習慣というか、ポイントのようなものは見えてきたので、いくつか教えたいと思う。 書くこと以外の色々なことに常に目を向ける  

          文章を書くための5つの大切なこと

          私の母のこと。

           昨日の夕飯はポトフーだった。 寒かったから、温かくて美味しかった。 作ってくれたのは母だったが、私は最近になって 母の有難みをひしひしと感じている。  私の母は、あまり幸せな人生を歩んでこなかった。と、子どもである私が語るのはおかしいかもしれないが、一度は財産家の息子に見初められ結婚したが、子宝に恵まれず、おまけに使用人の女からの壮絶な嫌がらせにより神経をすり減らし、何もしてくれない夫に愛想をつかし、結婚6年目で離婚、次に私の父親となる男と再婚するが、父の女遊び、お金遣いの

          私の母のこと。

          「書くこと」を仕事に

          「今はもう、自由に自分らしく働く時代だし、富士子さん(私の本名)も、自分らしい生き方を探したほうが良いと思うよ。」  私が以前、って言っても今年の4月頃、まだ6月からの2ヶ月間の派遣の仕事が始まる前に、行きつけの天珠のお店の店員さんに言われた言葉だった。  (自分らしく働く、自分らしい生き方…。)  私はずっと考えていた。齢ももう43だし、そろそろ自分の特技を活かした仕事を始めるべきなんじゃないかと。  私の特技はただ一つ。好きな文章を、自分の言葉でのびのびと表現し書くという

          「書くこと」を仕事に

          詩を朗読するということ

           昨日、10月14日は私が所属している、公益法人日本詩人クラブの例会だった。私はこの団体に参加して、まだ2年強であるが、割と早々と、受付業務を任されたり、仕事をいただくようになっていた。  そして、今回の10月の例会で、会員代表の一人として、朗読の依頼を4ヶ月ぐらい前から受けていた。  私は快く承諾はしたが、大勢のオーディエンスの前での朗読なんぞ、2005年の24〜25歳の頃以降だったから、少し緊張はしていた。私は元々は、詩を書きながら歌も唄っていたくて、2003年〜2005

          詩を朗読するということ

          文学とともに生きること

           最近、2ヶ月限定の派遣のお仕事が、8月に終わってしまってから、またハローワークで求職しながら、時間のあるときは、地元のドトールで詩集を読みながら、詩を書いたり、Xに詩を上げたり、Facebookに日記を書いたりして半日を過ごしている。急に秋になってきて、涼しくなったせいか、食欲が湧いてきたり、また、読書欲も出てきた。今は求職中だし、お金もあまり遣えないので我慢だが、本は欲しくなる。面白そうだったのが、台湾の文学とか、詩人の野村喜和夫先生の詩集や詩論集、アルチュール・ランボー

          文学とともに生きること

          思い出のカレー

           私は齢は43であるが、今まで「食」についてそんなに強いこだわりはなかった。例えば、銀座のどこどこのあれが美味しいとか、浅草には有名な美味しいすき焼き屋さんがあるとか、横浜中華街のあれは美味しいとか、確かに美味しいと感動する気持ちは大事なのだけれど、それを、「絶対これは食べるべし!」みたいな強い念を押すような気持ちには、今までそんなになったことはなかった。少なくとも、東京育ちで若い頃はかなり舌の肥えていたらしい私の母のほどには。  けれど、一つだけ上げるとすれば、私は、日比谷

          思い出のカレー

          夏に起きた色々。

          久々にnoteにエッセイを書く。 この夏は、本当に色々な事があった。 まず、派遣の仕事が終了になったこと。元々、時給の低い工場の事務のお仕事だったし、私は殆どミスなく真面目にやっていたのに、派遣先ではなく、大元である派遣元の会社が体制がめちゃくちゃだったのだ。長期勤務と謳いながら実際は2ヶ月しか居られなかった。派遣先の所長は、私が2ヶ月で終わることを知らなかった。しかし、派遣元の主任は伝えたと言っていた。どっちが本当なのかわからない。  私はちゃんとやっていたのに、2ヶ月で終

          夏に起きた色々。