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指を折って数える


2024年3月1日(金)朝の6:00になりました。

毎朝投稿をはじめて、かれこれ14ヶ月が経過しました。

どうも、高倉大希です。




はじめて足し算をするとき、子どもたちは指を折って数えます。

目の前で曲がる指を見ながら、和を求めるというわけです。


それがだんだんと、指を折らなくても計算できるようになります。

十進法の仕組みや、足し算そのものの考え方を理解できるようになるからです。


だからこそ、数字が変わってもおなじ要領で計算できます。

わざわざ指を折らなくても、答えを導き出せるのです。


抽象化とは複数の事象の間に法則を見つける「パターン認識」の能力ともいえます。身の回りのものにパターンを見つけ、法則として複数場面に活用する。これが抽象化による人間の知能のすごさといってよいでしょう。

細谷巧(2014)「具体と抽象 世界がわかって見える知性の仕組み」dZERO


この考え方ができなければ、いつまでも指を折って数えることになります。

10を超える計算をしようと思ったら、靴下を脱がなければなりません。


20を超えるとなると、いよいよ大変です。

計算するたびに、わざわざ友だちを呼んでこなければなりません。


笑っているかもしれませんが、わりとよくある話です。

指を折って数えようとする人が、案外たくさんいるのです。


上位概念で握手するという訓練を子どもたちが積んでいけば、やがて上位概念で握手できる大人が育っていきます。現状の日本社会では、そうした大人があまり育っていないために、相変わらず二項対立で議論が平行線のまま。国会でも、そのような残念な光景が繰り広げられています。

工藤勇一(2024)「校長の力」中央公論新社


指を折るということは、毎回はじめから考えるということです。

せっかくさっき計算したのに、数字が変わったらまたはじめから考えます。


そりゃあ、しんどくて当然です。

計算すればするほど、疲労がたまっていきます。


仕事ができないというのは、きっとこういうことなのだろうなと思います。

そのつもりで読んでいたあなたは、きっと仕事ができる人です。


実行時の物量に比べると、意思決定段階では、ちょっとしたディスカッションで決まっていたりするわけです。このことを発見したとき、非常にバランスが悪いなと思いました。自由度があるところで頑張っておらず、決まったところから頑張っているわけです。

石川善樹(2020)「考え続ける力」筑摩書房


毎回のように、指を折って計算していたら大変です。

いずれにせよ、指を折るだけでは対応できない場面が必ずどこかでやってきます。


だからこそ、現場で起こっていることそのものだけを見ていてはなりません。

上位にある抽象的な概念に思考をまわさなければ、いつまでも苦しいままです。


これは、現場を後まわしにするという意味ではありません。

むしろ現場のために、抽象的な概念に思考を巡らせるのです。






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