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熱が冷めたときに残るもの


2024年2月29日(木)朝の6:00になりました。

人々の偏見とは違う意見を、冷静に表現できる人はごくわずかです。

どうも、高倉大希です。




覚悟なんて、あてにならない。

昔からずっと、こう思っています。


たしかに、逆行できないものごとには覚悟が有効なのかもしれません。

バンジージャンプは、飛ぶ覚悟を決めてしまえばあとは落ちるのみです。


一方で、継続性を必要とするものごとには覚悟があまり役立ちません。

どれだけ覚悟を決めたところで、時間が経てば十分に変わりうるからです。


知ることの本質について、私はよく学生に、「自分ががんの告知をされたときのことを考えてみなさい」と言っていました。「あなたがんですよ」と言われるのも、本人にしてみれば知ることです。「あなた、がんですよ。せいぜい保って半年です」と言われたら、どうなるか。宣告され、それを納得した瞬間から、自分が変わります。世界がそれまでとは違って見えます。でも世界が変わったのではなく、見ている自分が変わったんです。つまり、知るとは、自分が変わることなのです。

養老孟司(2023)「ものがわかるということ」祥伝社


だからこそ、熱が冷めたときに残っているものを大切にしなければなりません。

熱されている状態では、冷静にものごとを判断することができないのです。


どれだけ覚悟を示されても、なんの説得力もありません。

あくまでも一時的な感情であるということが、はじめからわかっているからです。


どうにも覚悟というものが、過大評価されているような気がします。

くり返しになりますが本当に大切なのは、冷めたときに何が残っているかです。


ラテン語には、「ゆっくりと急げ(festina lente)という表現がある。わざと遅らせる行為を尊重していたのは古代ローマの人々だけではない。中国の思想家である老子は、「無為」という原理を掲げた。これは“何もすることなく成し遂げる”ことを意味する。

ナシーム・ニコラス・タレブ(2017)「反脆弱性 上」ダイヤモンド社


冷めるまでには、時間がかかります。

時間がかかるからこそ、じっくりと味が染み込みます。


SNSの投稿の多くは、この時間を待つことができていない典型例です。

熱が生まれたら、冷める時間を待たずして投稿してしまいます。


我慢して反芻することを、すっかりないがしろにしてしまうのです。

そのままだとあまりにも熱すぎて、大やけどしてしまいます。


実際のビジネスでは、上司や周囲が温かい目で見守ってくれることは極めて稀だ。意識変化と行動変化のタイムラグと戦うのは自分だけの場合が多い。周囲からは遠慮なくガッカリされるから覚悟しよう。それでも意識変化と努力を継続することをやめてはならない。何度も同じ失敗をしても、あきらめずに上書きし続けることによって、君は新たな行動パターンを獲得できるだろう。

森岡毅(2019)「苦しかったときの話をしようか」ダイヤモンド社


なんでもかんでも、すぐに出せばよいわけではありません。

静かに黙って、待つ時間も大切です。


熱は、必ず冷めます。

熱があるものを、信用しすぎてはなりません。


だからこそ、我慢して反芻します。

カレーがおいしいのは、二日目以降です。






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