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1冊の本を読んだところで


2024年3月5日(火)朝の6:00になりました。

ち…ちがうね!オレは本を読んでいる!

どうも、高倉大希です。




読書を習慣にしたいんですよね。

何かおすすめの本はありますか。


このような質問をする人に、悪気がないことはよくわかっているつもりです。

わかってはいるのですが、答えても仕方がないのだろうなと思ってしまいます。


本当に習慣にしたいと思っている人は、すでに読みはじめているはずです。

読まずして他者に頼ろうという人が、読書を習慣にしている未来は見えません。


行きつけの書店によって人生が変わることがある。その書店に並べてある本がすべての世界の窓口であるからだ。今でこそ行きつけの書店はなくなったものの、ぼくの場合は小学校、中学校、高等学校時代のそれぞれを一軒ずつの「本屋さん」が支配していた。それは豊饒で甘美な支配者であった。

松岡正剛(1980)「概念工事」工作舎


たくさんの本を読まれてきたと思います。

そんな中でも人生を変えた1冊を教えてください。


このような質問をする人に、悪気がないことはよくわかっているつもりです。

わかってはいるのですが、答えても仕方がないのだろうなと思ってしまいます。


本なんて、1冊読んだところでどうにかなるものではありません。

仮にそんな本があったとしても、横着をして出会えるような代物ではありません。


私の学生(よりにもよって経済学専攻)のひとりが、本選びのコツを訊ねてきた。「20年以内のものはできるだけ読むな。ただし50年以上前のことを書いている歴史書は別だ」と私はイライラしながら口走った。というのも、私は「今までに呼んだ最高の本は?」とか「お勧めの本のベスト10は?」と訊かれるのが大嫌いなのだ。私の「ベスト10」は毎年の夏の終わりには変わるからだ。

ナシーム・ニコラス・タレブ(2017)「反脆弱性 下」ダイヤモンド社


これだから、本の話は苦手です。

どうにもこうにもその先に、明るい未来が見えないからです。


その本に、星がいくつ付いているのかなんて知ったこっちゃありません。

はじめから、目の前の1冊に期待を寄せていないからです。


少なくとも、読むという行為は能動的なものであるはずです。

その本をどう読むのかは、すべて自分の問題です。


作者すら気付いていない作中で生じた現象を掴んだり、「このように鑑賞する方法もある」と新たな角度から作品に光を当てなければ意味がないと考えている。

又吉直樹(2023)「月と散文」KADOKAWA


本が向こうからテクテクと、歩いてくることはありません。

眺めていればパラパラと、ページがめくれることもありません。


本は、ただそこに存在しています。

勝手に期待して勝手に失望するのは、あまりにも失礼です。


1冊の本を読んだところで、とくに何も変わりません。

1つのnoteを読んだところで、とくに何も変わりません。






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