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疑うがゆえに知り、知るがゆえに疑う


2023年8月5日(土)朝の6:00になりました。

健康な人には病気になる心配があるが、病人には回復するという楽しみがある。

どうも、高倉大希です。




ゴロゴロと大きな音を鳴らす空を見て、先人たちはブルブルと震えていました。

わたしたちは、理由がわからないものに対して、つよく恐怖を抱きます。


だからこそ、彼らは一生懸命に説明しました。

雲の上にいる大きな男が、大きな太鼓を叩いているにちがいない。


その大男は、どうやらパンチパーマらしい。

その大男は、どうやら虎柄のパンツを穿いているらしい。


だから空からゴロゴロと、あんなに大きな音がする。

先人たちは、どうにか理由をこしらえて、安心しようとしたわけです。


かなり稀ではありますが、単純な関係性を理解するだけで、すべてを「わかった!」と感じることができるような発見があるのです。それは、科学者にとって一番楽しい瞬間であり、セーラー服の薬師丸ひろ子が機関銃を撃ちまくるような“カイカン”を科学者にもたらしてくれます。

近藤滋(2019)「波紋と螺旋とフィナボッチ」株式会社KADOKAWA


雲に含まれる氷が衝突することで、静電気が発生する。

その静電気がまわりの気温を急激に高め、空気が膨張し、振動が起こる。

だから空からゴロゴロと、あんなに大きな音がする。


時は流れ、わたしたちは納得できる理由をみつけられるようになりました。

「なぜ?」という問いを重ねていけば、情報をより深く理解することができるようになるわけです。


尋常茶飯事の中に、何かしら不可解な疑点を認めそうしてその闡明に苦吟するということが、単なる科学教育者にはとにかく、科学的研究に従事する者にはさらにいっそう重要必須なことである。この点で科学者は、普通の頭の悪い人よりも、もっともっと物わかりの悪いのみ込みの悪い田舎者であり朴念仁でなければならない。

寺田寅彦(1948)「寺田寅彦随筆集 第四巻」岩波書店


いまでは多くの「なぜ?」が解明されて、「当たり前」になりました。

わたしたちは「当たり前」に対して、なかなか疑問を抱くことができません。


「なぜ?」なんて問わなくてたって、たしかに生きていくことはできます。

しかし、「なぜ?」を問わないということは、理由がわからないまま生きるということと同義です。


自然に即して問題を良く考え、一つ一つの問題を切り離して一歩ずつ落ち着いてやれば、まもなく全機構が明らかになることと思われます。本当に良い研究ならば、かならず実際の役にも立つ。そして一見迂遠な様に見えても、実際は案外早道であるというのが、本当の基礎研究であります。

中谷宇吉郎(2001)「中谷宇吉郎集 第一巻」岩波書店


「なぜ?」を問わねば、自分の言動の理由がすべて「みんなが言っているから」か「だれかに言われたから」になってしまいます。


疑うがゆえに知り、知るがゆえに疑う。

なにより、問わねばつまらないのです。






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