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裏返し

怒りがこみ上げてきて、憎しみがつのって
意味もなく誹謗中傷を繰り広げ、増大していく感情

彼女に恨みはない、怒りもないはずなのに
矛先はそちらを向いていて、理由すらなくののしっていて

誰かが言っていたのを思い出した
それは、裏返しの投影だと。

それに気づく真っ暗の夜。
雨の音がした。

怒りの影には、悲しみが隠れている。
その先の憎しみには、切なさが。

悲しくて、切なくて。
やり場のない思いは、押し込められては外へ出たがって。

ありもしない空想の世界でさえ、憎しみで満たしてしまう。
自らの想像の世界でさえ、苦しみを思い描き、憎しみをぶつけ、

涙となって、やっと外へ

苦しかったのだ、わかってもらえない想いと
行き詰まりの迷路の最中で。

原因の矛先は、洞穴に隠れて出ては来ない
いつの間にか、姿形もなく消え去って

置き去りにされた心が一つ
ポツリと息をしていた

生きていた、いきていた。
その感情はまだ、そこに。

雲のように、流されるがままの彼
濡れ手に泡のようなやるせなさ
行き場もなくしてさまよっていたら、あらぬ方へ

彼女に罪はない、彼の罪が重なって、透けて見えて
あたかも彼のように、憎んで怒り叫んで
似ている二人は同じ。重なりやすくて、透かされて。

幻にうなされて、狐につままれて
逆さまの世界でさまよっていた


確かなのは、頬を撫でる冷たい雨
細い月の導く方
まっすぐに、光で照らして




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