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「バーチャル・コミュニケーション」とは何か? #VRAA01

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xRと建築のコミュニティ・xRArchiが主催する「VR Architecture Award(VRAA)01」のテーマは「バーチャル・コミュニケーション」. 超個人的観点から「… もっと読む
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記事一覧

「想像力」を鍛える─建築ジャーナル2019年5月号「建築+情報技術=?」

情報通信技術の進歩は目覚ましく、私たちの生活は今やそれらに頼り切っている。建築設計の現場でも手描きからCADそしてBIMへとツールは進化、拡大し、今後ますます情報技術を扱う場面が増えていくだろう。しかし、新しいものへの拒否反応か、情報技術のために失われる「何か」への恐れのためか、いまだ建築界の情報技術への抵抗感は強い。 一度手にしてしまった技術は捨てられないし、情報化の流れは止まらない。手にしたこの技術を、どう使えば社会の幸福につながるのか、リアルな人間のありようを常に考えて

LAの【無料】美術館巡り(その②:The Broad)

ロサンゼルスの無料美術館見学記。前回の記事ではその1つめ、リチャード・マイヤー氏設計の「ゲッティ・センター」について書きはじめたのだけど、案の定というか、脱線したりして長くなってしまった。が、今、本当に感想を書き留めておきたいのはもう1つのほう、「The Broad」だ。 ー 【無料】ミュージアムその2:The Broad改めて紹介すると、この建築は2015年にLAのダウンタウンにオープンしたミュージアム。隣にはフランク・ゲーリー氏のウォルト・ディズニー・コンサートホール

展評|一望された建築と空間体験の宙吊り――CINE間 中山英之展

Gallery間がCINE間になった。ギャラリーではなく映画館だ。どうやらよく見る建築展とは違うようである。どんな建築映画をみせてくれるのだろうと、期待してフライヤーを眺めながら会場に入ると、すでに上映が始まっていた。 ここで上映されているのは、5つの建築をめぐるドローイングとそれらの映像からなる空間のイメージである。本展示は、建築と映画のそれぞれの空間のイメージから、建築を上映してみたり、映画を設計してみたり、と双方のメディアを行き来するような表現を見出している。プロジェ

098:デジタル時代の次元の折り重なりの先

大学でのレクチャーも終わり,次の発表についてのリサーチをしていかないといけない.「ポストインターネット」という観点から写真・映像についての発表をお願いされているけれど,どうしたらいいのだろうかと迷っている. 『イメージ学の現在 ヴァールブルクから神経系イメージ学へ』の第10章「メディウムを混ぜかえす───映画理論から見たロザリンド・クラウスの「ポストメディウム」概念」で門林岳史さんが書いていることが気になっている. すなわちクラウスは,一定のジャンルとそれが用いる技術的支

多様性と均一性のちがいについて

健全なnoteコミュニティを設計するうえで、チーム向けの多様性に関するメモ。多様性は色で考えるとわかりやすい。 昨今、多様性に関する議論が活発化してきている。不利な人々に優遇措置を与える、アファーマティヴアクションなども、どんどん増えてきてる。 でも、ちょっと怖いのが、「多様性」と「均一性」の違い。これが、あまり議論や区別されないまま、ドンドン進められているに思える。 多様性は色で考えてみようわかりやすいモデルとして、多様性を色で考えてみましょう。パレットや絵画をイメー

建築は、浮かぶ、歩く、変容する─アーキグラム「建築を情報に還元する」

本記事はVR空間デザインコンテスト「VRAA01」のために執筆された記事を転載したものです. 「VR Architecture Award(VRAA)」では、 “Architecture” は狭い意味での建築ではなく、空間の「アーキテクチャ=構造・仕組み・設計思想」を表します。 ここ「知る」のページでは建築の世界の過去の試行から「Architecture」について考えてみたいと思います。 *** 建築界のビートルズ 建築とは、おそらく、われわれをとりまく日常の世界にたい

“Alles ist Architektur” すべては建築である

本記事はVR空間デザインコンテスト「VRAA01」のために執筆された記事を転載したものです. 「VR Architecture Award(VRAA)」では、 “Architecture” は狭い意味での建築ではなく、空間の「アーキテクチャ=構造・仕組み・設計思想」を表します。 ここ「知る」のページでは建築の世界の過去の試行から「Architecture」について考えてみたいと思います。 ●あるひとつの「世界」を想像、創造する試み “Alles ist Architek

建築を学ぶ人のためのVR-思想・概念編

このnoteは建築の設計者・研究者向き、VR概論3本セットの2本目です。開発編、思想・概念編、事例編からなり、今回は思想・概念編。 VRの基本の思想や概念、建築の視点から考える上で参考になりそうな考え方をなるべくシンプルに整理しています。 1.VR、AR、MRって何が違うの?「VR,AR,MRってどう違うの?」とよく聞かれるのでここから始めてみます。 まずはVR。 Virtual Realityという語は、VRの父といわれるジャロン・ラニア―が、1989年にVPL R

建築家の家で育つ アシタノイエ

 僕の父である小泉雅生(正確には小泉アトリエ+メジロスタジオ)の設計した自邸、アシタノイエに約15年間住んだ。父とこの家の影響を受けてか受けずか僕も建築の道に入り、初の担当作である八戸市新美術館の現場に常駐するため、26歳にしてようやく家を離れることになった。自己紹介の意味も込めて僕の半生を振り返りつつ、拙いながらも自分の中でのアシタノイエを総括したい。基本的な写真や図面などは「アシタノイエ」で調べれば色々と出てくるので割愛する。  アシタノイエが出来たのは僕が小学5年生の

WIRED VOL.33 「#デジタルツインへようこそ」を読み始め

人間中心デザインに別れを告げ、マシーンランドスケープなる概念を打ち立てる。からどんな話が繰り広げられるのか。 ・いま世界で最も重要な建築は、人間のためのものではありません。それは、機械のためのものです。 ・未来において、人間は複雑なネットワークのなかに存在する一種に過ぎない ・シロナガスクジラ、樹木、地衣類、菌類といったノンフューマンと並列のポジションに位置づけられる など、ドキッとする言葉がならぶ。 もっとも印象的だったのが データセンターは、もはや文化的建造物とも

建築を学ぶ人のためのVR入門-開発編

このnoteでは、建築設計者・研究者に向けて、VRを始めるにあたり知っておきたいことを、開発編、思想・概念編、事例編の三本に分けて書いていこうと思います。 今回は開発入門編。「ミニマムコストでVRをとりあえず使ってみる」というところまでのプロセスと考え方をまとめています。 ここでは細かい仕様の話はせずに、VRの開発の骨組みと考え方を中心に書いていきます。 あくまで建築界隈の人に最適化して、かなりプラグマティックに書いているので、VRエンジニアやUnityエンジニアからす

この世から通勤とオフィスを亡くす  ~VRオフィス構想~

著者:株式会社 桜花一門 代表取締役 高橋建滋 校正・校閲:丹治吉順 a.k.a. 朝P 目次・はじめに ・私の会社のオフィス代、交通費って高すぎ? ・物理オフィスに思考を縛られず、VRオフィスに思考をアップデート。 ・地元で東京の仕事と給料を。 ・最後に はじめに 「起業家が成長するのは金がなくなった時か、人がいなくなった時だ」という格言があるそうだ。自分にとって、その格言は予言でした。 2018年3月、株式会社桜花一門には経営者である自分一人しか残されていなかったので

Vtuber・VRブームの根底に流れるもの

 2017年末からバーチャルYoutuber(以下、Vtuber)ブームが盛り上がり、2019年現在、テレビCMや音楽シーン等にもVtuberの活躍が見られるようになりました。  一方、注目を集めているのは企業運営のVtuberや、活動開始が早かった個人Vtuber、明らかに尖った表現力やコミュニケーション力を持ったエンターテイメント寄りのVtuberに偏っているようにも感じます。  そんな状況下で、「Vtuberはもうオワコン」というような言説を目にすることもままあります。

『情報環世界―身体とAIの間であそぶガイドブック』

平成最後の日に、共著者として執筆した『情報環世界―身体とAIの間であそぶガイドブック』がNTT出版より発売された。この本が生まれるきっかけとなった「情報環世界研究会」がスタートしたのは2017年。共著者である5人のコアメンバーを含め、各分野で活躍する研究会参加メンバーの方々と1年以上の時間をかけて出来上がった本で、ぜひ多くの方に読んでいただきたい1冊だ。 そもそも「情報環世界」って何?身体とAIの間であそぶってどういうこと?やや掴みどころのない難解な本に思えるかもしれないが