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くらしにきましたㅣ#1 「岩手遠野と鳥取大山をつなぐ怪しい関係」

地方出身、東京経由で、また地方へ。暮らしが移ろぐ20代を過ごしてきたアラサー男子二人が、地域、仕事、妖怪(?)についてあれこれしゃべります。

岩手県遠野市と鳥取県大山町、暮らしを営んでいる拠点は違えど、その地域に根付く魅力を、新しい観点から掘り起こそうとしている富川岳さんと大見謝らじをさん。

2017年7月に、共通の友人を介して遠野で知り合った二人は、定期的に近況報告をしている間柄だとか。このときは一年振りということもあって、話のタネも溜まりに溜まっていたのか、おしゃべりが止まらない!

地方在住であり、やっていること、その根っこにある考え方など、似通った部分が多いお二人のやり取りを、全5回にわたって、じっくりのぞいてみたいと思います。

東京からの国内留学を機に、地方が面白くなってきた

富川岳(以後、岳):まずは近況からってかんじですが、仕事のこと、妖怪のことなど、今日は改めて話してみたいことがいくつかあります。僕が知らないこともあると思うので、あらためて大見謝さんの経歴みたいなものをお聞きしてもいいですか?

大見謝らじを(以後、大):ええっと、ざっくりと土地歴を話していくと、沖縄出身で、高校を出てえwから東京でしたね。社会人はバーテンダーから始まったんですけど、いろんなお店で働いた後、IT系ベンチャーで2年くらい働きました。そこを辞めた後に、東京をしばらく離れる時期があったんですよ。

国内留学だと思って、1年近く京都にいたんですけど、「京都移住計画」をはじめとした、そこで地域に関わっている人たちと偶然出会えて、「あれ? 地方って面白いかも?」と感じるようになったんですね。

ライター業をやり始めたのもそのタイミングでした。それから、人に転がされ続け、縁を頼りに、「書きます」を小さな武器として、いろんな地域をまわっていたら、いつの間にか鳥取にいたっていう感じです(笑)。

:大見謝さんが遠野にいらしたのは2年前でしたっけ。その時はまだ鳥取に行く前でしたよね。

〈2017年7月、大見謝さんは、Next Commons Lab遠野メンバーの袴田さんに招かれて遠野へ。このとき、岳さんらが今取り組む「to know」プロジェクトの前身となるフィールドワークに参加しました

:はい、「妖怪」という言葉に釣られてホイホイと行ったときですね(笑)。そのとき、『遠野物語』の舞台となった場所を、贅沢な解説付きでまわれたのは貴重な体験でした!

そうそう、当時遠野に行ったときはまだ東京が拠点だったんですけど、鳥取に行くことはもう決めているときでしたね。2017年12月から鳥取にいるので、もう1年半近くはいます。

鳥取大山でゆるやかに進める、3つの「アキナイ」のある家づくり

:今、そこでやろうとしてることはあるんですか?

:今は「アキナイイエ」っていう家づくりをのんびりと進めています。蔵が3つある、築60年ぐらいの空き家を借りれたのもあって、ゆる~く住み開きをしているって感じなんです。

空き家の「空き(が)ない」、住んでいて「飽きない」、そして「(小)商い」が生まれる。住職一体になった、3つの「アキナイ」がある家を目指そうってのが、アキナイイエってことなんですけど、ようは駄洒落プロジェクトですね(笑)。

:へぇ〜! それは具体的に家のスペースをどういう使い方にするんですか?

:蔵のひとつを改装してバーにして、ついでに、ぼくが寝泊りしている母屋の2階に宿機能をつけて、遠くから来た人でも飲んで泊まれる場所にしたいなぁと。

:めちゃくちゃいいですね!

:それができてきたら、残りの蔵を使って、図書館的な場所をつくるとかしたいなと。ここのコンセプトは、家の敷地内に「ちっちゃい町をつくる」なんです。

まずは宿があって、ちょっとのんびりできるバーがあって。このエリアは本屋さんが無いので、本屋さんがあったら地元の人も来やすくなるかなとか考えてます。人が集まってきたら、ちゃんとオフィスっぽくしたいですね。少しずつ機能を整えていこうかなと。

今年の目標は、とりあえずバーと宿。そこまでできるようにしたいですね。ええと、ぼくの最近はそんな感じです。

・・・・・・

「ただいま」と言えるスポットが地方にあることの意味 ーーー わたしの帰りたくなる場所「Commons Space」

第1回は、大見謝さんのバックグラウンドと今取り組んでいる「アキナイイエ」についてのお話でした。

アキナイイエのお話を聞いて、地方に訪れる人たちが、町の人と暮らしに密接に関われるような、楽しい場所がもっと増えたらいいなーと感じました。一度きりじゃ終わらないーーーまたここに「帰ってきたい」と思える場所があれば、地域の魅力の触れ方・地方へのハマり方も変わるのかも、と!

私は遠野に行くと、Next Commons Lab遠野が運営するカフェ「Commons Spaceに行くのですが、遠野に関わる多種多様な人がここに集まってきます。

〈遠野と陸前高田への移住者である二人の友だちとコモンズスペースに遊びに行った時の写真。この時初めてお邪魔したにもかかわらず、スタッフの方が優しく話しかけてくれました〉

子どもから大人まで世代問わず、地元の人はもちろん、一時帰省中の人もいれば、岳さんのような移住者や、遠野に関心を持って遠くから来ている人たちもいます。そして、それぞれの職業もみんなバラバラです。

ここでは、「遠野の暮らしって実際どう?」「最近だと面白そうな取り組みある?」といった世間話を聞いたり、遠野の暮らしが深まるようなイベントが開催されています。

カフェ利用やイベント参加を通じて、地域で暮らす人にふわっと出会えて、会話を交わす中で、顔の見える関係性が生まれる。すると、会いたい人がいる場所にまた来たいと思えるし、通うたびに、新たな地域の表情を知ることができる。

私はCommons Spaceでは仕事をしたり、友人やスタッフの人と他愛のない話をしたりしてるんですが、何度か足を運ぶなかで、いつの間にか、ここが遠野における私の「帰ってきたいと思える場所」になっていることに気が付きました。

私がそうであったように、外から来る人が「ただいま」と言える場所があれば、地域のディープな魅力に触れていける。地元の人にとっては、新鮮な外からの刺激で世界が広がることもある。

地域の内と外の人がつながって、それぞれの視点を生かしながら、「イベントを一緒にやろうよ!」という新たな取り組みに繋がることだってあるはずです。そういう場所が、岩手や鳥取に限らず、地方でもっと増えていくと、人の流れも変わってくるかもしれませんね。

ということで、地方出身(宮城県気仙沼市)の私、第1回のから、さっそく興味津々でした。

次回は、「ちっちゃい町をつくる」の発想がどこからきたのか、アキナイイエの取り組みを少し掘り下げつつ、地域の捉え方、その関わり方について触れていきます。観光って面白いのか? そして、肩書きを捨てた″一青年″としての関わりとは?  さらにトークに熱が入るお二人をお見逃しなくーーー!

(続く)


◻︎ 岩手遠野にくらしにきた人:富川岳(とみかわがく)


富川屋 / to know代表。ローカルプロデューサー。新潟生まれ割烹屋育ち、岩手県遠野市在住。宮城大学非常勤講師。赤坂の広告会社でWebマーケ→移住→ベンチャー共同創業→独立→75歳の師匠に出会い遠野物語にドハマりし文化領域で創業準備中。郷土芸能舞い手、HIPHOP好き、岩手ADC賞2018グランプリ受賞作品のプロデューサー。遠野文化友の会副会長などなど。ほそぼそと実家の鮭の味噌漬け販売中。

https://www.toknowjp.com/ 

◼︎ 鳥取大山にくらしにきた人:大見謝らじを(おおみじゃらじを)

1988年生まれ。場やメディアの企画編集運営も"そこそこは"できるバーテンダー / 「ケケケ」という屋号でいろいろやってます。さ迷うバー「movar」、空きない-飽きない-商い「アキナイイエ」、映像ユニット「TENG」など。元・おきなわ移住計画代表。趣味はローカルウォッチ。境港市妖怪検定中級。



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