【岐阜市議会】松原徳和 岐阜市議会議員が、水道民営化について一般質問。

 2019年3月11日、岐阜市議会 第1回定例会の一般質問が行われ、その中で、松原徳和 岐阜市議会議員(会派: 岐阜市議会無所属クラブ)が、水道事業へのコンセッション方式導入(いわゆる、水道民営化)について、一般質問しました。

 松原徳和 市議は、かつて、岐阜市 上下水道事業部に勤め、全日本水道労働組合 岐阜水道労働組合の役員を務めるなど、上下水道事業のプロフェッショナルです。

※ 岐阜市議会無所属クラブ: 無所属市民派の岐阜市議会議員4人(服部勝弘 氏、田中成佳 氏、松原徳和 氏、高橋和江 氏)による会派。

【 松原徳和 岐阜市議会議員(無所属クラブ)の質問 】
2点目です。水道事業の民営化論議についてです。
えーと、水道事業の民営化論議、いー、大変、あの、新聞紙上もテレビも、おー、シリーズで1週間ほど、集中してやられた時がございますけど、えー、自治体の広域連携と運営権を民間委託に売却する、コンセッション方式の推進を柱とする、改正水道法が成立しました。
かつて、平成の大合併といわれ、全国を合併の嵐が吹き荒れた時に、岐阜市も前市長が、周辺自治体との合併を大きな声で叫ばれたことを記憶しています。
一時の熱病のような合併論議が冷めて、あれは何であったのかと思うのは、私だけでしょうか。
今回の民営化論議には、人口50万人以上規模でないと採算が合わないとの報道も聞くところですが、広域連携で50万人にすれば良いと安易な数合わせは危険である、ではないか、と思います。
再公営化、再び公営化する、の、進む、世界の流れも研究することはもちろん、水道は、市民の、命の水である、ことを基本に、安易な選択と後の批判とされない行政運営が望まれます。
ライフラインである、水は、市民の命と直結しています。
本日、ひがしにほ、東日本大震災から8年目となりました。
災害時、その重要性が、再確認されます。
以下、どのように分析されているのか、4点、水道部長に伺います。
1つ、今日までの災害時の他都市支援活動で、感じられた水の大切さ。
2つ、他都市への支援活動から学んだ、防災体制の教訓点。
3つ、日常業務で支えられた、一貫した指令指示体制の重要性と、現場人材の育成について。
4つ、災害時こそ、試される、命の水、水道事業の重要性、ですが、これが置き去りにされる民営化論議には、危険性を感じますが、ご見解を伺います

【 川合正能 上下水道事業部長の回答 】
えー、本市の水道事業に関する4点のご質問にお答え致します。

はじめに、災害時の支援活動に関する、え、2点のご質問にお答え致します。
上下水道事業部におきましては、これまでに、阪神、え、淡路大震災や、新潟県中越沖地震、東日本大震災、熊本地震をはじめ、最近においては、昨年1月末の北陸における凍結による断水や、6月7月の豪雨による、県内の断水に対しまして、給水車を派遣するなど、数多くの支援活動を行って参りました。
例えば、熊本地震においては、熊本市内全域、約32万、32万6千世帯が断水する中、公益社団法人 日本水道協会の要請を受け、給水所が設けられた小学校において、多くの方々に対し、応急給水を、え、実施致しました。
こうした活動を通じて、水は、市民の生命維持や、日々の生活にか、え、欠かすことのできない、命綱であるという風に再認識しております。

次に、他都市への支援活動から学んだ、防災体制の教訓点でございますが、まず、第1に、広域断水に至らぬよう、水インフラの強靭化に向け、着実に取り組むことが挙げられます。
第2に、断水が生じた場合には、いっ、水道水を一刻も早く市民に届けることでございます。
そのためには、多くの人員が、水道事業の給水および復旧の業務にあたり、被害状況を早急に把握し、支援の必要性を判断した上で、迅速な相互支援体制を整えることが重要になって参ります。
日頃から、災害時、応急行動マニュアルに基づく、迅速な行動はもちろんのこと、公益社団法人 日本水道協会 中部地方支部長都市である、名古屋市など、他都市の事業体と速やかに連絡が取り合える体制を構築することが、大切であるという風に考えております。

続きまして、3点目の指令指示体制および人材育成に関するご質問にお答え致します。
え、議員ご指摘の、えー、指令指示体制につきましては、災害時に水道が果すべき機能を、迅速に回復するため、極めて重要であると、認識しております。
平成25年3月に策定致しました、上下水道事業部 業務継続計画、いわゆる、BCPにおきまして、上下水道事業部 災害対策本部のもと、業務別に10班体制を敷き、指揮命令系統の明確化により、対応の迅速化を図っております。
また、現場の人材育成につきましては、ベテラン職員が持つ、き、え、日常業務で蓄積された技術力を継承することを目的として、毎年、技術研修会を実施しております。
今年度は、計11回の研修を行い、研修会を行い、給水車の操作方法や、修繕に関することなど、
災害時の迅速な対応能力を醸成する内容となっております。
この研修は、災害時における応急復旧に関する協定書の締結先である、岐阜市指定■観光協同組合と、指定観光■協同組合と合同で実施しており、官民連携の一貫として、行政の枠に捉われず、緊急時にひとりひとりが、機動力を発揮し、迅速に対応できることが、対応することができる体制作りに努めております。
広域連携の観点からは、近隣市町との協定に基づき、必要に応じて、相互に水を融通できるよう、連絡化を整備し、適宜合同で、訓練を行い、災害時の対応力の向上に努めております。
また、昨年の11月に、全国規模での、日本水道協会 全国地震等緊急時訓練が、えー、静岡市で開催され、私共からも5名の職員が参加、え、致しました。
さらに、本年1月には、同協会 中部地方支部内の連携の一貫として、富山市と私共の、えー、間で、岐阜県内が被災した場合を想定した情報伝達訓練を行ったところでございます。
え、今後も受援体制の整備を含め、業務継続計画を見直しつつ、訓練を継続することで、災害時対応の実効性を高めて参りたいと考えております。

えー、続きまして、4点目の本市の水道事業におけるコンセッション方式の導入に関するご質問にお答え致します。
え、水道事業者が、施設の所有権を有したまま、民間事業者が事業を運営する方式、いわゆる、コンセッション方式につきましては、昨年12月に水道法が改正され、法制上の整備が行われたところでございます。
今回の法改正の目的は、広域連携や、官民連携を推進することなどにより、水道の経営基盤の強化を図るものでございます。
え、しかしながら、コンセッション方式の導入につきましては、水道事業が、市民の生命や、健康を守るために欠くことのできない極めて重要な事業であり、水道事業者としての責任の下で、事業の安定性、安全性および継続性を長きに渡り確保していく必要がありますことから、現状やリスク等を踏まえて、慎重に検討する必要が、え、ございます
そのため、現時点におきましては(※1)、水道事業にコンセッション方式を導入することまでは(※2)、考えては、えー、おりません
いずれに致しましても、事業のサービス水準の維持に留意しつつ、災害時等の対応についても、充分に考慮し、持続的な経営に努めて参りたいと考えております。


※ 聞き取れなかった部分は■表示

※1 「現時点におきましては」という限定条件付き。将来、財政が悪化した場合、コンセッション方式を導入することを検討する可能性があるのか?

※2 「コンセッション方式を導入することまでは」ということは、他の官民連携手法の導入は有り得るということか?

【 松原徳和 岐阜市議会議員(無所属クラブ)の再質問 】
2つ目です。
えー、水道事業の民営化論議です。
えー、大変、あの、ご丁寧な答弁を水道部長にして頂きました。
え、仰る通りかと思います。
えー、一時の、あのー、本当に思い出すわけですけど、全国の平成の大合併といわれて、何もかも全部が合併だという風にどんどん進んでいった時代がございまして、終わってみて、これで良かったのかなというようなことを、思っている自治体も多いんではないかと察するところです。
しん、とりわけ、命の水でございますんで、災害時にそれを再認識する部分がございますが、あー、一度踏み込んでしまって、もう二度と帰って来れないというようなことは困りますので、民営化論議に、今の流行りだというようなことで、入ってしまうのは、大変、危険かと思います。
とりわけ、今日がまた、震災の、東日本の震災の日でございますけど、災害時に本当に、水の重要性というのを再確認するんですが、平時に、そういった論議を無しにですね、踏み込んでしまうことの無いようにお願いしたいと思います。
えー、改めまして、色んな所で、市長も、コンセッション方式については、あー、メッセージを出しておられますので、市長のコンセッション方式についての、現時点での考え方で結構でございますが、えー、答弁をお願いしたいと思います。

【 柴橋正直 岐阜市長の回答 】
えー、松原議員の再質問にお答え致します。
え、まず、水道事業に関する、再質問でございます。
えー、本市の水道事業の状況でございますが、安定した事業運営を継続していくため、平成26年10月に、平均改定率9.47%の料金改定を行い、必要な投資を行いながら、効率的な経営に努め、一定規模の純利益を確保していることから、現時点においては、財政の健全性は保たれていると考えております。
しかしながら、今後は、人口減少や節水型社会の進展により、水需要は減少傾向にあり、これに伴いまして、水道料金の収入は今後、低減していくことが見込まれております。
一方で、水道施設の老朽化対策に加え、近年、多発化、激甚化する自然災害の備えとして、実施する、耐震化、強靭化対策にかかる費用の増大が見込まれており、水道事業を取り巻く経営環境は厳しさを増していくものと考えております。
ま、このような状況の中、本市では、平成20年度から、水道料金に関する窓口、検針などの営業関連業務を、民間企業に包括的に委託するなど、本市の事業形態に即した、官民連携の取り組みは、既に進んでおります
また、水道事業の基盤強化に向けた取り組みの1つとして、県主導の下、昨年度、設置されました、岐阜県水道事業広域連携研究会に本市も参加し、広域連携に関する研究を始めております
え、この研究会では、災害に備えた、資機材の共同備蓄など、緊急性の高い項目を優先して協議を進め、今後は、経費縮減に資する共同化も視野に入れて、研究がされていくとお聞きをしております。
水道事業は、先程、上下水道事業部長が答弁申し上げました通り、日常生活に直結し、市民の生命や、健康を守るために、欠くことのできない、極めて重要な事業であると、認識しております。
したがいまして、え、本市の責務として、事業の安定性、安全性、および、継続性をしっかりと確保していくことが、必要でございますので、現時点においては(※1)、水道施設の運営権を民間事業者に設定するコンセッション方式を導入することまでは考えておりません(※2)。
いずれに致しましても、健全な経営の下で、持続的に水道事業を経営していくための取り組みは、必要でございますので、ま、本市に適した官民連携や、広域連携を進めていく(※3)ことが大切であると考えております。

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※1 「現時点におきましては」という限定条件付き。将来、財政が悪化した場合、コンセッション方式を導入することを検討する可能性があるのか?

※2 「コンセッション方式を導入することまでは」ということは、他の官民連携手法の導入は有り得るということか?

※3 「本市に適した官民連携、広域連携」とはどのようなものか?

※4 水道事業に関する回答であり、下水道事業については触れていない。
※5 民営化は下水道事業から狙われることがあるため、注意が必要。
※6 岐阜県、岐阜市、瑞穂市、富加町は、国土交通省の「下水道における新たなPPP/PFI事業の促進に向けた検討会」に参画しているので、注意が必要。


■ 日本の会計検査院が、PFI事業の不適切業務と、従来方式よりもPFI方式の方が割高であることを指摘。
https://note.com/gifu_water/n/n3fc77773f1e4