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【読書感想文】エミリの小さな包丁|アラサー女の徒然日記

一週間ほど前に軽くこの本の感想を書いたが、
改めて読書感想文を書いてみようと思う。

Amazon Unlimitedにあったこの本。
表紙のおじいちゃんと女性が並んで料理をしている後姿の絵に惹かれて
なんとなく読んでみようと思った。


大都会東京から逃げてすべてを捨てて、疎遠になっていた祖父が暮らす漁師町 勝浦 で田舎暮らしを始めるエミリ。
父はおらず、母とは関係が悪く、母子関係は長年こじれており、
母には頼れず、仕方なく祖父に頼ることになった。

都会と全く違う田舎生活に困惑しながらも、
これまであまり交流のなかった祖父と、
魚を釣り、魚を捌いて料理をし、
ただただ日常の生活に向き合う中で、
自分にとっての生活や、生きる意味を見出していく話だ。


おじいちゃんはとっても不器用で無愛想だけど、 とっても温かくて、優しくて、包み込んでくれる。
何より勝浦でとれる魚や野菜を使った料理でエミリを癒し、心の傷を治してくれる。
おじいちゃんと一緒に料理をすることで、エミリがこれからは自分で自分を癒し、他人を癒すことができる武器を授けてくれたんだと思う。

なんだか今の自分の状況と重なって、わたしも田舎に逃げたくなった。
人生はときには休むことが必要だし、
新しい環境で、新しい価値観で、新しい人間関係と触れ合うことで、
自分と向き合うことができるのかもしれない。

拗れていると思っていた親子関係も時が経てば、
わだかまりが溶けてくることもある。
お互い大人になり、それぞれ「子育てする立場」と「育てられる子供の立場」から卒業した今の方が分かり合えることもあるのかもしれない。

この本ではたくさんの料理が出てきて、
作り方や食べた時の感想が細かく描写されている。
脳内では魚を捌いているところ、味付けしているところ、
魚の食感、歯ごたえ、汁からのぼる湯気、不思議と自然と脳内で再生され、
一緒に食べているような満足感があった。

ぐっとくる台詞も多々あった。

幸せになることより満足することの方が大事だよ


そもそも、常識なんてものは、誰かが勝手に作り出した「幻の縄」のようなものなのかも知れない

自分の存在価値と、自分の人生の価値は、他人に判断させちゃだめだよ


世界は変えることは出来ないけど、気分は変えることができる

出来損ないも含めて、世の中の人間はすべてが先生だからな


おすすめです。


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