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エッセイ/散文

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何もできなかった2023年に思いを馳せてみる

何もできなかった2023年に思いを馳せてみる

2023年が今日で終わる。
生産性が全くと言っていいほどなかった一年。
とはいえ、そう言い切ってしまうのも寂しい気持ちになるので、あらためて振り返り記してみようと思う。

タイトルにある「思いを馳せる」の意味としては「遠く離れている人や物事を思いやる」や「遠くの場所や人物に対して心を向ける」といったものがある。この言葉がぴったりなくらいこの一年は体感としてあらゆることがとても遠く感じた。

2月、

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かげろう

かげろう

夜を眺めていたらそのうち朝になり
今度は胎児のように丸まって
うとうとしたまま夜を待つ

熱が引かない夕方に少し外に出たら
薄い綿あめみたいな雲が広がってて
もう一日が終わるよと告げられた

誰とも足並みが揃わない影は
誰かの光を生む送電線をたどりながら
涼しく寝られる場所へゆっくり帰る

茫漠

茫漠

何かが終わるのは突然で。
見えない力が少しずつ少しずつ集まって、抑えきれなくなって、支えきれなくなって、爆ぜ、崩れる。
望んでいなくても、求めていなくても。
消えるべくして消えたのか。
流れ着く先は決まっていたのか。
わからないまま、漂う。

小雨散歩

小雨散歩

雨に濡れた草木が醸し出す青臭くも何度も嗅ぎたくなる独特の匂い

ゆっくりと近づいてくるベッドライトに目を細め、まつ毛についた雨粒が作り出す半透明な丸い光を通して世界を見る

湿ったTシャツをそっと掴んで、指先に感じる心地良い冷たさを何度も確かめた

いつかふたりで分かち合えたら

ちょっと寄っといでよ

ちょっと寄っといでよ

タイトルにつられた方にはまず謝罪を。

申し訳ございません。

本文とタイトルは何も関係がありません。いや、まったく関係がないわけではないのですが、少し実験をしたくなりこのようなタイトルをつけました。
というのも、私はっくーはnoteで詩や短歌、エッセイを書いているのですが、ここ最近は「ジャンル_日付」という形でタイトルをつけていて、これは読んでくださる方に優しくないのではないかと思ったのです。

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短歌_1125

短歌_1125

この一週間でもいろいろと短歌を詠んだ。
仕事の休憩中、散歩しながら、寝る間際、いつ言葉が浮かぶか分からないので、最近はずっと手元にスマホを置いて、メモ帳アプリの恩恵を受けまくっている。
日々しんどいと感じることも多いけど、こうして短歌を詠んだり詩を書いたりしている時は、少し幸せを感じられる。

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照れるからサイレンサーを取りつけて声を出さずにハートを撃った

風穴を開けても光とどかないのな

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詠み重ねて生きている短歌

詠み重ねて生きている短歌

テーマにそって詠んだ短歌。その時その時に観察したものを詠んだ短歌。感情のままに言葉を連ねた短歌。
過程はさまざまだけど、気づけばたくさん並んでいた。今日の気分は構成を考えずにメモ帳に並んでいるままに、という感じなのでそのまま置く。

ふと、生きているんだと思った。意味はわからないけど、生きている。

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路地裏に並んだビルの広い背にもたれ掛かって少し休憩

一日を通して声を変えながら自由気ま

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短歌の詠み方を詠んだ短歌

短歌の詠み方を詠んだ短歌

今この瞬間の自分の状態を文章にしたら短歌が一首できた。
どうせならどんな時にどんなやり方で短歌ができるのかを短歌で詠んでみる、というしょうもないことを思いついたのでやってみた。
ただスマホとパソコンで書いてるだけじゃねーか!という見方もあるかもしれない。そのとおり。今さらながら短歌ってなんだろう、と思ったりもするけれど、たぶんこれでもいい、きっと。

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散歩中気になるものに会えたなら心の中

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気づいたらメモにたまった短歌

気づいたらメモにたまった短歌

詩を書きつつも、同時に短歌も詠んだりしていて、気づけば短歌がたまっていた。
何気なく詠むことが多いので、その日の感情、思考が反映される傾向がある。
なので、何日かためてみるともしかしたら、この時はこんな気持ちだったのかもしれない、というのが見えてくるかもしれない。
まあ、分析したところで何か得るものがあるわけでもないけれど。

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明日へと続く何かを求めても幻想だよとはぐらかされた

暗闇が

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天体ショーを詠みたくて短歌

天体ショーを詠みたくて短歌

あとで夜の散歩に行こう。
今日はいつにも増して外に出たくなる。
仕事はもう終わり。
明日の自分に任せてから、ちゃんと頑張れるように月からエネルギーをもらってこよう。

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しばらくはパソコン閉じていたいから理由にするよ皆既月食

ゆっくりと月が欠けてく空眺め心はちょっと丸くなってく

少しずつ光失い見えてくる見えない闇を際立たせる美

毎日なんだか心は忙しい短歌

毎日なんだか心は忙しい短歌

月曜日がはじまった。まずそれだけで心が動く。
打ち合わせの数が多くなると、考える仕事、自らが手を動かす仕事が止まり、少しずつ焦りを覚えはじめて打ち合わせに集中できなくなったり。
自覚していることとして時間の使い方がおそろしく下手というのがあるで、もっと効率的に使えるようになりたい。そうすれば心も多少は静かにしていてくれる気がする。

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今日もまた五月雨式の感情に何度も傘を傘を開いて閉じて

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その時その時でしか詠めない短歌

その時その時でしか詠めない短歌

短歌を詠む場合、ふと目に入ったもの、遭遇した事象などからその時に感じたことを詠んだり、それそのものを31音で著したりすることが多い。
ベッドに寝っ転がりながら過去を振り返ったり、未来を想像して詠むこともあるけれど、その瞬間だからキャッチできて言語化まで至るというのが楽しかったりする。

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競うのも競わないのもいいけどさ赤信号はちゃんと止まれよ

弾痕が残ったようなスマホには言葉の弾をそっと

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詩_1106

詩_1106

倉庫が建ち並ぶ河川敷沿いの小さな路地

見上げた先の民家の二階のベランダには

雨風に晒されて風化した小さなアンテナが一基

空からどんな情報と物語を教えてもらって

家の人をどんな顔どんな感情にしているのか

誰もその存在を気にも留めない語り部は

今日も明日もきっと顔を上げて空に耳を傾けて

たくさんの新しい話を探し続けている

詩_1105_02

詩_1105_02

規則正しく不規則に回されて

冷たい水で濡らされたり

泡まみれにされたり

高温の風に晒され続けたり

度重なる試練を乗り越えた

シーツや毛布たちが纏う

優しい香りと柔らかな温もりに

今夜 ぼくは包まれて

夢の中を自由気ままに旅する