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馬主とその家族の20年を描く圧巻のエンターテインメント!

以前のコラムでも書きましたが、好きな本と出会いたければ、参考基準として持っておくといいのが好きな文学賞と好きな書評家。

この本は一番好きな賞である山本周五郎賞の受賞作であり、一番好きな書評家であった(残念ながら今年亡くなられてしまいました)北上次郎氏が推薦する一冊であり、見過ごすわけにはいきませんでした。

福岡に戻る飛行機の中で、時間を忘れて一気読みしたエンターテイメント長編。

タイトルからは、何だか皇室的な響きがありますがそんなお上品なお話ではありません。

競走馬のオーナーでもあり「ロイヤルヒューマン」という人材派遣会社で財を成したワンマン社長に雇われた秘書の目から見た、馬主とその家族の20年の圧巻の物語。

初めて知ったのですが、「ばぬし」ではなくて「うまぬし」と読むらしいですね。

登場人物それぞれの過去の歴史、ライバルの存在、人間の親子の関係、馬の親子の血筋などなど、念願のタイトルレースでの勝利を目指して様々な人間模様や馬模様が絡み合い、その胸中が細やかに描写されます。

物語の中心にいるのは叩き上げのワンマン社長ですが、「絶対に俺を裏切るな」と新たに雇われた秘書の目から見たその人物像は、二人の関係性が深まるにつれ、どんどん魅力というか人間臭さを増していきます。

果たして馬主として念願であったタイトルレースを制することは出来るのか。

ラスト10ページまで目が離せませんし、そして物語の最後の最後には溜め息をついて欲しいです。

馬に興味がなくても、極上の人間ドラマを読みたければ是非おすすめの一冊です。

今日も読んでくださいまして、ありがとうございます。

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