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君たちとの、あれこれ

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息子たちとの出会い。 息子たちとのあれこれは私の中の奥の方を容赦なく引っ掻き回し、私という人間を生かしてくれた。 *時系列はバラバラです。その時心に浮かんだ記憶と想いを、ありの… もっと読む
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#子育て

【そらのかみさま】

【そらのかみさま】

「そらのかみさま、おねがいございます」

そう言って、ちびは両の手をあわせて空に祈った。今にも泣きだしそうな灰色の空。フロントガラスにぽつりと滴が落ちる。

「かみさま、そらのかみさま。おねがいございます。どうか、たいようをちょっとだけかしてください」



雨の週末、息子たちが会いにきてくれた。彼らと新しい土地で過ごすのは、これが二度目。迎えにいく道すがら、天気予報を調べた。土曜日は雨。日曜日

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【”もも”の空】

【”もも”の空】

「みて、”もも”みたいにきれい」

 そう言ったちびの頬も、隣に立つ長男のそれも、桃色に上気していた。

 うっすらと染まる夕焼けを眺めながら、真っすぐに空を指さして笑う。小さな指先を眺めながら、私もつられて笑っていた。

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そういうときこそ、食べるんだ。

そういうときこそ、食べるんだ。

悲しみや苦しみが深いとき、人は「食べる」ことを疎かにしがちだ。食べることは生きることと直結している。生きる力が不足しているときは、食べ物を摂取するためのエネルギーが枯渇した状態にあるのだと思う。これは医学的にどうとかいう話ではなく、私個人の経験に基づく推測の話だ。

近頃、少し食欲が落ちていた。詳しくは書けないが、先日息子が理不尽な目に合い、それによって私も深く傷ついていた。一番傷ついたのは息子だ

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【繊細にして大胆な君の瞬発力に鍛えられた、懐かしい日々】

【繊細にして大胆な君の瞬発力に鍛えられた、懐かしい日々】

先日、こんなツイートをした。

「ターザンかスティッチの話にしか聞こえない!笑」という、ありがたい褒め言葉を頂いた。死ぬほど大変だった日々も、喉元過ぎてしまえばこんなにも面白いネタになる。つくづく、息子に感謝である。

今日はこの中の、【田んぼにダイブ】についての思い出話をしようと思う。

◇◇◇

長男が3歳の頃、田んぼの畦道をいつものように裸足でお散歩していた。彼はいつも裸足だった。靴や靴下は

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【だからお母さんは、たまに言ってくれる君のワガママに安心するんだ】

【だからお母さんは、たまに言ってくれる君のワガママに安心するんだ】

「大丈夫?」

重い足取りで階段を降りてきた私に、息子が心配そうに尋ねる。偏頭痛や目眩を起こして寝込むことが度々ある私は、しょっちゅうこの言葉を彼らにかけてもらう。

「大丈夫だよ。ごめんね、ありがとう」

そう言いながらふとテーブルを見ると、とうもろこしの残骸が2本並んでいた。サランラップでくるんで電子レンジで6分。以前教えた方法で、弟のぶんも用意してくれたらしい。

長男が、最近前にも増してし

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