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なるべく上等な劣等感日記

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誰も劣等感を脱ぎ捨てることはできない。人生はけっして素晴らしいものではないが、どうせ生き続けなければならないのなら、なるべく上等な劣等感を身につけた方がいい。 ──吉行淳之介
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2018年2月の記事一覧

心がさざめいていた、ラーメン半チャーハンセットの日

わりと心が、ざわざわとしていた、ここ数日。

それは、かつての恋人からふいに来た何でもないLINEだったり、ほぼ同い年の夫婦が「買った」というリノベーションしたマンションを訪れたり、年明けから悩みのタネとしてひきずっていたことを相談したり……というのが立て続けにあって、ぼくの心はずいぶんとさざめいていたようだ。

その一つずつを乗り越えながら、アドバイスをいただいて悩みが解消したりもして、どうにか

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500円と750円のほうじ茶のちがい

「まさに神コンテンツ」と信じられる、しかし多くの人々にとって毒薬のような対談取材を終え、五反田でもうひとつ和やかな対談取材をこなし、打ち合わせのために神楽坂へ。

すこし早く着いたので坂をぶらぶらする。なんとなくコンビニで缶のハイボールを買って飲む。「なんとなく」で酒なんか飲むものではないんだけど、ぼくは結構好きなのだ。「なんとなく」って、内なる自分の甘えとか直感とか、ラブや嫌悪まで含めたこころの

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クマのチョコレートケーキを守り抜いて渋谷

日曜日のこと。

昼すぎに取材を終えて、近場だったので武蔵小山へ行く。ここにはぼくが銭湯温泉に目覚めるきっかけになった「清水湯」がある。

あれは4年前くらいだったかな、在籍していたライフハッカー[日本版]の当時の編集長だった米田智彦さんに教えてもらったのだ。良い風呂があるよ、と。

それですっかりハマって行くようになり、いつかのライフハッカー忘年会は清水湯に入ってから、隣にある焼肉屋の「和田」で

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関西人の「シュッとしてる」は難しい概念

石川県小松のビジネスホテルで朝方目覚める。昨晩の食事中に、関西人は他人を「シュッとしてる」と表現することがあると聞いて、それが実は関西ならではの例えだということらしく、盛り上がったのを思い出す。

洗練されてるとか、細面であるとか、ほかに言い換えられそうなものだけど、「シュッとしてる芸能人の例」を挙げあってみると、どうも噛み合わない。単なる外見の問題だけではないようだ。ちなみに、シュッとしてるは褒

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忘我、白黒、ぶれない日々

仕事で石川県小松市の酒蔵へ。朝から乗った羽田空港発のJALはぎゅうぎゅうで、いったい小松で何が行われているの。編集者さんと離れて座る3列シートの真ん中で、うとうとしてたら小松空港は1時間足らず。

東京を出るときは天気が悪く傘をさしてきたのに、小松は快晴。持て余した傘をぶらぶらさせながら、出迎えてくれた車に乗り込むと「東京の天気が悪い時は小松が晴れて、小松が悪いと東京は晴れる」と教わる。

次に来

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爽快なタクシー運転手はルートと料金を言う

木曜日のこと。

白金台から渋谷までタクシーに乗る。手を挙げて止めた瞬間、フロントガラス越しに運転手さんが頬を上げて笑ったのが見えて、何やら良い予感がした。

「渋谷の宮益坂上までお願いします」

「はい!これはルートが腕の見せ所ですね」

面白い返しをするなぁと思っていたら、するすると運転手のIさんによるルート解説がはじまった。

「明治通りを抜けて六本木通りから宮益坂に上がっていくのが最短です

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「自分の信じたすごいこと」を肯定する喜び

昨年までコラム連載の編集担当をさせていただいた戸田真琴さんが、テレビブロスにインタビューで登場しているので、発売日にいそいそとコンビニで買う。

見開きのカラー2ページで、写真も文章もすこぶる良くて嬉しくなり、KAI-YOUで記事にした。

http://kai-you.net/article/50704

戸田真琴さんとは打ち合わせをはじめ、撮影中などでも話すことはあって、そのたびにいろいろなこ

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大人こそ感謝の声かけをしようと思った

「ありがとう」「たすかったよ」「うれしい」

この3つの言葉を子どもたちにかけて、自分の感情を伝えるようにしています。どれくらい伝わっているかはわからないけれど、伝えている自分が「そう思える」と、気持ちが軽くなりますから。

と、今日の取材でお聞きして、わぁー、と感心しながら、これは何も子ども相手に限ったことではないはず。むしろ、大人にこそ必要な声かけで、誰かが何かをしてくれたときこそ、その行為の

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日記読んでるよ、と言われると嬉しい

夜中に目がさめ、しばらく眠れなくて、ポカリスエットを飲み、恋人にくっついたりさせてもらう。ふーっとまぶたが重くなってきて、眠れた。

「北欧、暮らしの道具店」のクラシコムさんの仕事で、朝から国立へ。ミーティングスペースに店長の佐藤さんと、代表の青木さんがいらっしゃって会談中だった。そばのテーブルに腰掛けたついでに、いくつか言葉を交わす。

佐藤さんから「日記読んでるよ。しあわせそうねぇ」と言われ、

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昨日見た夢の話を肴にするレベルくらいが心地よい

縁あって、大学同窓の後輩3人と新宿で飲むことになった。

歳でいうと、一番下の彼が7つほど離れていた。大学の在学年次が重なっていないのもあって、当時の悪事やら悪評やらの影響が少ないだろうと、それほど変な意識もはたらかず、単に歳の離れた飲み相手という感じで楽しくやる。

目的の店が開くまで間があり、ビックロで酒を調達してブラブラ出かけるとき、知らずに貯まってたビックカメラのポイントで会計をポーンと済

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チョコレートから東欧マフィアを経由して日本再興へ

穏やかだけど追い詰められてる土曜日。いや、誰にというわけではないのだけど、これは本当に自分が悪い。諸々の原稿の締め切りと、それに応えきれていない現状が押し寄せてくる。

とはいえ、気力が湧いてこず、黙々とインプットをしながら過ごす土曜日。いまは本を10冊くらい並行で読んでいて、仕事と読書を往復しながら、直近のタスクに手をつけていく。

蕪木祐介さんの『チョコレートの手引』という本を読んでいて、カカ

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「優しい洞察力」を持つ人が好きだ

久々にポジティブな恥ずかしい思いをした。「照れる」に近いのかもしれないけど、自分でも言語化してない行為を言い当てられると、こんなに顔がカーッと熱くなるものなんだな、と。

それは「あと男性をひとり呼ぼうと思ったとき、長谷川さんがいいなって」と誘ってもらって嬉しすぎた飲み会が広尾で開かれ、いそいそと出かけた、その会話の最中でのことだ。

1時間ほど前に現地に着き、駅前の銭湯でさっぱりしたところで現地

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ルミネは迷うためにあるのよ

恋人と昼間の新宿を歩いていたら、「あなたは盗み見るのがうまいよね」と言われる。てっきり怒られるのかと思えば、おそらくそういうわけでもなく、街中ですれ違う可愛い女の子を「サッと見るのがうまい」のだそうだ。

男性のなかには、それが下手な人がいて、女性が隣を歩いていても「目を惹かれた」のが明らかにわかってしまうことがあるらしい。当然、それは恋人からすれば(ひとりの女性としても)おもしろくない出来事なの

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バレンタインデーが毎月あればいいのに

大阪、朝6時。朝日を待つ梅田を歩くのは、数年前にしていた遠距離恋愛のとき以来だ。過ぎ行く人の表情は、ふしぎと東京のそれともちがって見え、なぜだか「関西出身です」といわれるとしっくりくるようで。

東京へ向かう新幹線は、それでも席がいっぱいで、窓際席は取れなかった。日記を書いたり、仕事をしたりしながら、黙々と時間をつかう。新幹線なのにビールを飲まないせいで、どうにも調子が出ない。朝と昼と関係なく、ス

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