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はしびろ文芸部

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これまで、書きたくて何回も書き始めたけど、完結したことがない「小説」に真っ向から挑戦してみます。今回こそは1本完結させる。はしびろ文芸部
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記事一覧

ひとり密室

ひとり密室

ザァァァァァァ

雨音で目を覚ますと、部室には誰もいなくなっていた。練習後、俺は電車の時間がみんなと合わないので、時間まで部室のベンチで横になってスマホゲームに興じていた。そうしているうちに、練習の疲れからか、寝てしまったらしい。

ベンチの横に落としてしまったスマホを拾うと、乗るつもりだった電車の発車時刻ちょうど。寝過ごしてしまったらしい。

「雨降ってんのか?」

予報にはなかった。にわか雨だ

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【小説】僕には自信が無い ①

「30万!?何にそんなに使ったんですか!?」

居酒屋の一角からの声に、一瞬の注目が集まった。

「声がでけえよ。こないだのマッチングアプリで出会った女にだよ。」

「どうやったって30万は桁がおかしいでしょ。」

「知らないだろうがホテルミラコスタのハーバービューは、そんぐらいすんの!」

「どこすか、それ?」

後輩…コウの質問に、やれやれという表情と共に頭をかかえる。

「ディズニーシーのホ

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【小説】僕には自信が無い ②

【小説】僕には自信が無い ②

僕には自信が無い ①の続き

一定の支持を受ける理由も気になるが、俺には急務の課題があった。もちろん30万円使ってしまった「事件」を笑い話に変えるつもりで、今日は来たわけだが目的はもう一つあった。それについて彼に意見を求めたかった。

「実は、来週ぐらいに会おうとしている人がいるんだけど…」

「おっ!次ですね!いいですね」

コウの目の色が変わった。好奇心旺盛。切り替えも割と早い。

「まだ行く

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