日本企業クライシス

[ 総まとめ ] オファリングモデルを活かした事業運営(3/5)

■ オファリングモデルの導入にはさまざまなキーワードが存在する

オファリングモデルの導入手順を足早に説明してきたが、これにビジネス上のキーワードを重ね合わせてみよう。小野寺工業の新事業立上げストーリーにはさまざまなキーワードを盛り込んだが、ほかにもキーワードはある。
簡単に説明しておこう。

・ 市場成長率 / 規模
「魅力的な市場」とはどんな市場なのか。それを効果的に評価するには「成長率」と「

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[ 総まとめ ] オファリングモデルを活かした事業運営(2/5)

■ マトリクス型事業運営の悩みをオファリングモデルが解決する

オファリングモデルは事業運営の基礎をなす。
意志薄弱な行動を繰り返してきた事業運営は、オファリングモデルの採用により大きな第一歩を踏み出すこととなる。オファリングモデルという背骨を獲得し、しっかりとした歩行が可能となるのだ。
複雑なマトリックス型の事業運営を行う組織ならなおさらだ。オファリングモデルは、マトリックス型で混乱する事業を救

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社長就任演説「皆さんの言葉でチャレンジを語ってください」

翌年、大島は異例の人事で代表取締役社長に就任した。高齢の前社長の交代は陰で囁かれていたが、後釜に大島を予想した者はほとんど誰もいなかった。

早朝、大島は幹部を集めて社長就任の挨拶をしたが、それは社員を叱咤し、更なる変革と成長の必要性を訴えかける内容だった。

大島は言った。

「4年前、私たちは危機的な状況に直面していました。ご存知でしたか」

参加者の多くは呆気に取られていた。自分たちが危機的

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コンサルタントは潤滑油であり、改革を成功に導いたのは「会社への深い愛情」と「不退転の覚悟」だった

笠間たちのアプローチは功を奏した。一時は低迷した海外事業はかつての活気を取り戻し、プラス成長へと転じた。

大島は、笠間と浦田を銀座の小さなイタリアンレストランに招待した。オーナーシェフとその家族で経営するこの店は、大島の30年来の行きつけだった。常務となった今でも飾り気のないこの店を選ぶ大島の人柄に対し、笠間は安心を感じた。

「やっとこの日が来たね…長かったような、短かったような。二人ともよく

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属人性を排除するにはガバナンスをシステムとして捉え、ガバナンスに関わる機能を総点検し、機能不全な箇所に手を打て

海外事業に属人性がはびこる最大の原因は、宿命的ともいえる事業の煩雑さにあった。煩雑さを解消するのも大変な上に、煩雑さを解消すれば問題が解決するかといえば、事態はそれほど単純ではなかった。

海外事業はガバナンスという点からも、手を打てる状況にはなかった。事業運営が現場任せになっており、組織としてうまくコントロールできる状況になかったからだ。全権を委任された現場で属人性がはびこるのは当たり前で、組織

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「共創」を阻む日本企業の「工場文化」。この事実に目を向けないとオープンイノベーションはブームで終わる

オープンイノベーションとか共創という言葉がよく言われるようになって、僕もそれに関する仕事をしているわけですが、最近、なぜそんな言葉が流行るようになったのか、その核心に近づいてきているような気がする。
東京ミッドタウン日比谷にあるBASE Qというワークスペースの責任者である光村圭一郎さんや、僕が社長を務める会社フィラメントのメンバーとの日々の会話での気づきを以下にまとめます。

1) 日本企業の多

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煩雑さはそのままにそこに無理やり秩序を被せたところで、効率の悪さに現場は反発し、結果的に業務は回らなくなる

変革活動がスタートしてから2年が過ぎようとしていた。
すべてが順調なわけではなかったが、それでも海外事業は右肩上がりの成長を続け、低迷する国内事業を支えていた。しかし、この1年は成長が鈍化し、社内での不協和音も聞こえ始めていた。

「次なる改革に手を付けるときが来た」

笠間はそう思っていた。

そんな折、笠間は大島からの電話をとった。大島は1年前に常務に昇格していた。
翌日の予定を聞かれ、笠間は

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リーンスタートアップで、顧客の体験に基づいた反応をタイムリーに手に入れる

戦略的パートナーへの第一歩がスタートした。アポロマシナリー側のプロダクトマネジメントチームとの議論は順調に回り始めた。
ところが、ここにきて足を引っ張る存在が現れた。それは小野寺工業の社内にいた。ベース機開発を担っていた事業部だ。

笠間たちは一刻も早く、アポロマシナリーに対して、開発中の新型加工制御装置を見てもらいたかった。開発の早い段階にアポロマシナリーの反応を確認したかったからだ。ところが、

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レイヤ・バイ・レイヤの関係が失注リスクを格段に低下させる

OBFコアメンバーと営業メンバーたちは、浦田の指導の下、アポロマシナリー向けのディスカッションマテリアルの作成に取り掛かった。
今回のディスカッションマテリアルは、アポロマシナリーのプロダクトマネジメントチームとの間で予定されている4度にわたる議論を想定してのものだった。このプロダクトマネジメントチームは、アポロマシナリーの中でも主力の大型工作機の担当だった。

ディスカッションマテリアル作成の流

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お客様との議論はディスカッションマテリアルで盛り上げる

笠間たちはアポロマシナリー対応をしている営業担当者を呼び出した。
夕方から始まった会議は深夜まで続いた。
笠間は「戦略的パートナー」の話を興奮気味に説明した後、顧客との関係構築の必要性を熱く語った。「ディスカッションマテリアル」という言葉が、笠間の口から何度も発せられた。実はこの話は浦田からの受け売りだったが、この話を聞いたとき、笠間はいたく感銘を受けたのだった。

浦田から戦略的パートナーの説明

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