駅前の駐輪場の1番右の奥から3番目に、古びたスタンドが撤去される事なく残っている それに気付かず自転車を置き出庫すると、近い内に必ず走行中にチェーンが切れてしまうのだという ショップの店員は口を揃えて 「錆が原因」 と、そう言うらしい
狭い歩道の先の方に人影が見え、ぶつからない様に右に寄った しかしその人影は左に動いた 仕方なく左に避けると、また私を追って右に動いてくる なんだか気持ち悪いな と、不審者かと訝しみつつも歩みを進める他ない 顔が見える位置まで近付いて、やっとその人影が私にそっくりだと気付いた
ある所に、肋骨が外側に突き出た奇形の子が産まれた その見た目と七つ目の子だった事から、七巻と揶揄され、一歩外に出れば石を投げられ、一つ上の姉以外からは見捨てられていた 七巻が死ぬ際 「姉の他、七代祟らるるべし」 と言い残した それからというもの、怪死する者が長く続いたのだという
持ち込みの作業終えてリビング覗いたら、設楽がソファーで寝落ちてた。何でこんなとこで。おま布団行って寝な、ぜんぜん起きる気配がない。仰向け姿で規則正しく上下する胸元。それにしても窮屈そうだねえ上下ぎゅうぎゅうじゃんね、腹の上に座ってやる。低く唸って眉がギュッ。まだ起きないとか(続)
なーせっかく起きたんだからどっか飯食いいこっか、前触れなく背中に回される腕、オレを利用して一緒に起き上がる。オレ飯作りますよ、たまには二人で楽しちゃおうって。日付を跨ぐような時間でも、ペントハウスの近所は明け方までやってる店が多々。名残惜しくて伊達さんを離さないでいるオレは(続)
どこにも行かず家で過ごす連休。残務やってあとは好きな事をする、はずなのに気づけば保存食作ったり掃除始めたり。鬼丸は少しリラックスしないとな、千弦によく言われる。千弦と犬のリイコは一緒に実家。持て余してしまいがちな時間を、俺は不器用に過ごす。寂しいんじゃなくて、帰りを楽しみに待つ。
心だけ置き去りにされたような、そんな気持ち。設楽はどうしたいん?両頬を包み込んで覗き込むその目から視線を外せずに。そしてこんな時まさにタイムリーに腹が鳴った。やっぱり食いに行こ!笑いながら立ち上がった時。今日はナシなんですか?えどっから声がそんでいつから。雲母さんが立ってる(続)