時計屋-【小さなオルゴール】#青ブラ文学部
港町。漁港と貿易港を持つ町だった。
その漁港付近には古い時計屋が何軒かある。
町全体の半分近くがあるといっていい。
いずれの店主も老齢だが修理の腕は確かだ。
「絡繰時計なら水川の店に持っていくといい」
老眼鏡をずらした店主が言う。
「ミズカワ?」
「店を出て左に歩く。時計屋がいくつかあるが3軒目の店だ」
ライバルとかではなく、それぞれが得意とする分野があるらしく、修理してほしい時計・内容で、あっちの店、そっちの店、と紹介されることが常だった。
「この店から数えて3軒目ですか?