ポール・ハーディング『ティンカーズ 』を読む。病膏肓の時計職人が死の8日前から思い出すのは、自分を捨てた癲癇もちの父、心を病んだ牧師の祖父。幻覚の中で三人それぞれの人生が交差する。古き良きニューイングランドが味わい深い。一人の人生に絞り、じっくり描いてあればもっと良かったのに。
白水社さんのシリーズ〈エクス・リブリス〉が7月のクラウス・メルツ=著/松下たえ子=訳『至福の烙印』刊行をもって創刊50タイトル達成か。このシリーズは良書の宝庫で純粋に面白い小説を読みたいという人におすすめ。2016年刊行書籍のお気に入りは甘耀明=著/白水紀子=訳『鬼殺し』かな。
白水社さんの近刊予定情報が熱すぎて目がまわる。エクス・リブリスの甘耀明/白水紀子=訳『鬼殺し』上下巻、ボラーニョ・コレクションのロベルト・ボラーニョ/松本健二=訳『ムッシュー・パン』、白水Uブックスのマヌエル・プイグ/安藤哲行=訳『天使の恥部』あたりは購入が運命付けられている。