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Jun Yamamoto 音楽を語る(2)

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クラシック音楽のいいとこどりをして語ります。
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#和声

Schubert Symphony No.4 Movt.3 Menuet (Allegro Vivace)

古典派の音楽でも何か「ざわざわ」するものてぇのはあるもんでして。(なぜか落語調)

シューベルトの4番交響曲 D. 417の第3楽章。最初聞いたときは、何が起きたのかわからず、マルティヌーかルーセルか、と思ったのですが、だんだん普通になるので、あー、シューベルトか、となるのですけど。最初の部分がユニゾンで動き、かつ半音進行が多いので一瞬耳が迷うのですね。そこがミソなわけですが。ピアノ譜に起こしてみ

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Webern 6 Orchstra Pieces No.4

シェーンベルク 5つの管弦楽曲(1909)

ウェーベルン 管弦楽のための6つの小品(1909)

       管弦楽のための5つの小品(1911)

ベルク    管弦楽のための3つの小品(1915)



あー、ややこしい。

ウェーベルンの6つの方の4曲目の冒頭部分を抜き出します。大太鼓のトレモロにのって、和音がでてきます。8-10小節目。

最初の和音はフルートとクラリネットのアンサン

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ディーター=デ=ラ=モッテの和声記号 Chord Symbols by Diether de la Motte

ディーター=デ=ラ=モッテの「大作曲家の和声」(滝井敬子・訳)では、使われている和声記号が、われわれの慣れ親しんだものとはやや異なるので面白い。

基本的には長三和音を大文字、短三和音を小文字で表し、Tが主和音、Dが属和音、Sが下属和音ということでここまではなじみやすいのだが、平行調からの借用和音については、平行短調の主和音をTpと書き(Tが主和音でpが平行調でかつ短三和音であることを表す)、平行

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Ravel "Gaspard de la nuit" Movt.2 "Le gibet"

別にハロウィーンがらみということもないのですが、「絞首台」であります。

ラヴェルの「夜のガスパール」も音楽的発見の尽きせぬ泉でありますが、第二楽章の「絞首台」のほんの数小節を見てみます。音はこちら。

20小節目から。原曲はこの部分で転調するので最初の部分は変ホ短調の調号がありますが、見にくいので取っ払って、シャープ系で書き直してみました。上の三段がピアノを単純化したもの、下の大譜表は和音を整理

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Bartok String Quartet No.4 Movt. 3

バルトークの弦楽四重奏曲第4番。第3楽章は、基本的に6音のクラスターの上でソロ楽器がメロディーを奏でるという形になっている。クラスターがどのような和音になっているか調べてみたいので、簡略化した譜面を作ってみた。音はこちら。

最初に導入されるクラスターはほぼ全音間隔で配置された和音である。この上でチェロが民謡風の旋律を奏でるが、背景和音に含まれない音を選ぶように旋律が運ばれる。音の重なりは絶対に避

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Shostakovich Symphony No.5 Movt. 4

ショスタコーヴィチの交響曲ではおそらくもっともよく知られた曲だと思う。最終楽章は、ニ短調で始まって、最後はニ長調で輝かしく締めるのだが、この最後の部分の和声構造を見てみたい。音はこちら。

音楽はもう第4コーナーをまわっており、最後の全終止に至るところだが、弦と木管はひたすらしつこくC#を鳴らしている。もちろんこれはニ長調になってDに解決するわけだが、その直前にショスタコーヴィチが仕掛けたのは、ま

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Saint-Saens "La Cynge" from "Le carnaval des animaux"

いまさらながらの「白鳥」である。サン=サーンスの曲の中でも一番聞かれているのではないだろうか。おびただしい編曲があるし、アンコールなどでの演奏機会も多いだろう。

シンプルな一息の旋律。特に形式もなく、転調を経て冒頭部分がもどってきてすんなり終わってしまうのだが、フランスの和声課題にも似て、音楽のエッセンスが凝縮して詰め込まれている。旋律は見易さを考えて一オクターブ上げてあり、和声付けも骨組みだけ

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