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山手のドルフィン

山手のドルフィン

「パーソナルなところを深く掘り進めていくと、ある時から急に一般性を帯びていくって法則を持ってます。その歌の中のパーソナルなところに入り込んでいくと、「ああ、ある」となってくるんですよね、不思議と。」

先日、NHKのSONGSに出演していたユーミン。「どうやって優れた歌詞を思いつくのか」という質問への答えだ。私は作詞家ではないけれど、大きく、大きくうなずいた。

たぶん私のユーミン歴は、5歳頃から

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西海岸のギャングスタラッパーが教えてくれたこと

西海岸のギャングスタラッパーが教えてくれたこと

この一週間、かなり唐突に、ヒップホップの沼にはまっていた。最初は五年に一度くらい気まぐれに訪れるマイブームだろうと考えていた。雑食の私は不定期にジャンルを変えて音楽を漁っているのだ。ことにヒップホップはキャッチーな曲ばかりでもないし、しばらくするとまた飽きるだろうと思っていた。

でも、今回のマイブームはどうも様子が違う。夜も寝ずに、時間を忘れて曲を聴いている。アーティストのインタビュー動画を見つ

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ありきたりな女

ありきたりな女

Twitterで、椎名林檎のインタビュー動画が流れてきた。椎名林檎のアルバムには、昔から「曲間」がない。それはなぜなのかを問われていたところだった。女史はこう答える。

「女の子たちの人生のサントラだから。」

女性たちのせわしなくて複雑な日々に寄り添う音楽なのだから、ハッピーエンド。ピリオド。とはならないわけだ。

この動画を見て私は、「ああ、やっぱり!」と思わず声をあげた。
約4年前のライブ「

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ベルベット・イースター

ベルベット・イースター

「空がとってもひくい  天使が降りて来そうなほど」
イヤホンから聴こえてきて、思わず立ち止まる。わたしにも、そんなふうに空が見えたなら。

愛と苦しみの音楽

愛と苦しみの音楽

大好きなエッセイストの本を読んでいて、ある章でパタリと閉じてしまった。ちょうど、「文化の素晴らしさ」を語る章の最初のほうだった。
そこには、「黒人がつくったロックやヒップホップや諸々の文化こそ、みっともなく低俗だ。」と書かれていた。

たしかに、ヒップホップもジャズもR&Bも、アフリカ系アメリカ人がつくった。そのルーツは奴隷制時代に遡り、彼らのもっていた16ビートを主とするリズムや、音感、恵まれた

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