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陽だまりの粒

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#音楽

陽だまりの粒(伍)

陽だまりの粒(伍)

だってそうでしょう? - CHU毒

なのに死のうとしてた自分がちっぽけに見えたよ。
なのに人を憎んだ心が狭く感じた。

だってそうでしょう、
思い出はキレイなままじゃない。
だってそうでしょう、
もう忘れたでしょう、あなただって。

あなたと陽気な夢見つけたのよ
あなたと似合った傘感じた

精一杯の恩返し
精一杯の仕返し

なのに泣いて過ごした時間がもったいなくて、
なのに後戻りしてた自分が悲し

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陽だまりの粒 その(肆)

陽だまりの粒 その(肆)

秋の日は釣瓶落としと言われ、9月も半ばに差し掛かると、午後18時の時刻になると太陽が完全に姿を隠し、代わりに夜がやって来る。
十五夜の満月に照らされた、草むらですすきの穂が風で微かに揺れる場を舞台にした、秋の虫達が恋の詩を命の限り奏でている。

「しかし日が落ちるの早くなったな〜」
美彩は咲の部屋のドアを開けるなり、この言葉を口にして部屋に入った。
「夏が来れば暑い暑いと文句を言い、冬が来れば寒い

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陽だまりの粒 その(弐)

陽だまりの粒 その(弐)

咲の日記

「演奏する場所がないと言うから場所を提供してやったらこのザマだ…お前ら世の中舐めすぎなんじゃないのか!!ふざけるなよ!!今日からお前らは全員出入り禁止だからバンド活動したかったら、別の場所を探しな」暴風雨を伴った、強烈な台風が通り過ぎた後のような、機材が散乱した会場の後片付けが終わり、楽器店の店長の強烈なイヤミを言われ、この日のLIVEは何もしないで終わった。「あーぁハードコアはこれが

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陽だまりの粒 その(壱)

陽だまりの粒 その(壱)

プロローグ

『日本のROCKなんて元々買い物カゴぶら下げたオバサン達の事でしょ!日本にROCKなんて物は存在しないから』と誰かが語り、空前のバントブームも終焉と崩壊のカウントダウン終了の時間まで残り僅かに差し掛かり、若者文化を全て食い散らかして激太りした奴らが保身に走り、屑な業界の大人共が撤退し始めた…そんな頃-----------------------------1990年の8月の中旬の

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