マガジンのカバー画像

映画

1,619
映画コラム 某ブログでも書いています。
運営しているクリエイター

2021年8月の記事一覧

+4

【『ザ・スーサイド・スクワッド “極”悪党、集結』×漫画家コラボ3選】

この夏おすすめ。邦画の青春映画3選!

8月も終盤に近づいてきましたが、今年は夏っぽい青春映画でいい作品が出てきています。 この夏に劇場公開されて、まだ公開している日本映画から特に面白かった3作品を今回紹介してみたいと思います! 『サマーフィルムにのって』(8/6公開) 2021年 日本 97分 監督:松本壮史 脚本:三浦直之、松本壮史 出演:伊藤万理華、金子大地、河合優美、祷キララ、他 <あらすじ> 時代劇オタクの女子高生ハダシは、武士役にピッタリな凛太郎に出会い映画作りを決意。親友のビート板とブルーハワイ

【ネタバレあり】「ドライブ・マイ・カー」がひたすら良かったので感想備忘録

歴代マイベスト10に入るくらい超良かった… 3時間と長尺だったが、本当に一瞬だった。 妻を失って深い喪失感を抱いている演出家の主人公が再生に向かう希望の物語。 舞台俳優であり演出家の主人公は、脚本家の妻と幸せな日々を送っていたが、突然妻はある秘密を残して死んでしまう。 2年後、広島の演劇祭で演出を任されることになった主人公は、喪失感や後悔を抱いたまま暗い過去を持つ寡黙な専属ドライバーや、役者、現地スタッフとの関わりながら、自分の内面に向き合っていく。 妻が残した主人公の

映画【アメリカで最も嫌われた女性】

1995年、マデリン・マーレイ・オヘアとその家族が突如として行方をくらました。オヘアの知人が親族や警察に失踪を連絡したが、その反応は極めて冷淡なものであった。オヘアは無神論者の活動家であり、1963年には「公立学校での聖書朗読の授業は違憲である」という最高裁判決を勝ち取った。以降もオヘアは精力的な活動を行なっていたが、それが原因で世間どころか親族からもそっぽを向かれていた。信仰心を持つ人間にとって、彼女の運動は信仰への冒涜にほかならないと映ったのである。 本作はそんなオヘアの

アメリカ、遠い夏の日の記憶

13歳の夏、アメリカへホームステイに行く数ヶ月前に、私はホストファミリー宛に手紙を書いた。 もう20年以上前の出来事だ。 「私はレオナルドディカプリオが好きです。タイタニックも好きですが、ボーイズ・ライフという映画が特に好きです。ロバートデニーロもいいですね。牛乳は大嫌いです。夏に会うのを楽しみにしています。」 学校から、好きなものと嫌いなものをあらかじめ書いておくといいと、言われていたのでこうなったのだ。 このおかげで、ホストファミリーはレオナルドディカプリオにまつ

MARVELとは真逆!ジェームズ・ガン監督にしか撮れない最凶ヒーロー映画『ザ・スーサイド・スクワッド “極”悪党、集結』紹介

8月14日から公開された『ザ・スーサイド・スクワッド “極”悪党、集結』。スーパーマンやバットマンなどに登場するヴィラン(悪役)達によって結成された特殊部隊が不可能な任務に挑むアクション映画だ。 SNSなどを見てると、勘違いしてる方もいるが、今作は2016年に製作された『スーサイド・スクワッド』の続編ではなく、新たにリブートされた作品となっている。本作の製作経緯や登場キャラクター達の背景などについては、以前の記事でまとめたので、気になる人はチェックして欲しい。 製作発表さ

映談#02 | アフガニスタン・子供の情景・武器とノート

アフガニスタン情勢が毎日報道されるなか、今日ご紹介したいのは若き映画監督が作製した子供の情景。 撮り方はドキュメンタリー風なので壮大な中東の風景を見せてくれるわけでもない。少女が淡々と苦難を乗り越えていく姿を描く。 国際情勢に翻弄される国で信仰とは、教育とは、格差とはを問いただす作品。 1.あらすじ 舞台はアフガニスタンのバーミヤン。2001年、イスラム教偶像崇拝禁止の規定に背くとして歴史的な仏像が破壊された場所。 荒涼とした大地で暮らす少女が「学校にいきたい」と、

【必見】タリバン政権下のアフガニスタンを描いた傑作アニメ『ブレッドウイナー』!

タリバンがアフガニスタンの首都カブールを制圧したという衝撃的なニュースが伝えられて話題になってます。 女性の人権などが問題に取り上げられていますが、実際どんな感じなのかは外からでは分かりづらいです。 そんな内情を描いたアニメ作品を今回紹介したいと思います。 もうとにかく衝撃なんですが、美しいアニメーションで描かれているので、どこかの国のお伽話のように観れてしまいます。 以前にはそんな感じでどこか遠い国の出来事として観てしまったのですが、国外退去しようと空港に押し寄せ悲痛な

『海のルルル』

なかなか映画が撮れないので、漫画を描いてみました。 せっかくなので映像化の目処が立たないオリジナルシナリオを元に。 まずは手始めに連作短編として企画していた『海のルルル』というシナリオから。 このシナリオは元々、湘南在住の脚本家・浪子想氏と「海辺のバーを舞台にした『スモーク』とか『深夜食堂』みたいな定点モノをやりたいね」というところから話が盛り上がり、勝手に倍賞千恵子さん倍賞美津子さんをそのまま姉妹役で脳内キャスティングしていったところ、知らず知らずのうちにロバート・

映画『みとりし』を観て綴る、わたしの死生観。

 唐突ですが、 ”看取り士” をご存知でしょうか。  最期の旅立ち、家族とともに、そしてもしかしたら一人で逝く時、住み慣れた家、希望する場所で残された時間を過ごすため、心を寄せ手助けをしてくれる人、それが「看取り士」である。  医療行為はできないけれども、第三者であるが故に本人そして家族たちの不安や心配を受け止め、静かに温かく傍にいてくれる存在として、「死」を迎えるそれぞれを助けてくれる。旅立つ人の思いや愛を受けとめ、見送る人に受け渡し、納棺前までの最期に寄り添い、命のバト

【要注目!】映画『ベイビーわるきゅーれ』の魅力を語らせて欲しい

7月30日から公開されている『ベイビーわるきゅーれ』。2人の殺し屋少女の日常を描いた作品だが、この作品が今、SNSを中心にバズっている事をご存じだろうか。 映画レビューサイトのFilmarksでは公開初日満足度1位を獲得し、現在も4.2という高評価(8/19時点)を得ている。『ベイビーわるきゅーれ』でSNSを検索すれば、多くの好意的な感想を目にする事だろう。 評判を聞きつけて、筆者も8月12日にテアトル新宿で鑑賞してきたが、評判通りの面白さだった。 間違いなく今年公開の作

【台湾興行収入No.1】『返校 言葉が消えた日』感想【社会派エンターテイメント】

7月30日から公開されている映画『返校 言葉が消えた日』。60年代の台湾を舞台に、学校に閉じ込められてしまった少女と少年の謎を巡るダークミステリーだ。台湾では社会現象にもなったゲームが原作となっている本作、筆者もTOHOシネマズシャンテで鑑賞してきたので、その感想を記しておきたい。 あらすじ:中国国民党が台頭し、反体制に対し厳しい弾圧がされていた時代の台湾。女子高生のファンが目を覚ますと、そこは誰もいない真夜中の学校だった。途中で出会った後輩の男子高校生ウェイとともに学校を

映画【時をかける少女】(ラスト考察しているのでネタバレあり)

言わずもがな筒井康隆巨匠の名著を 細田守監督が手がけた2006年の映画 細田守監督がこの夏公開した最新作 『竜とそばかすの姫』 期待値高く私は公開3日目に観に行った その期待値の高さがどのくらいだったかというと 下記記事を参照願いたい 鑑賞後すぐに感想は書かなかった そして今なお記事を書いていない たぶん、書くことはないと思う 私の思いが公開中の映画の感想文としては 憚れる想いだったからだ 世の中のレビューは8割方大絶賛のこの最新映画 なんと私は残り2割の感想を持つ マ

『竜とそばかすの姫』不安的中...

どうも、そるです。 昨日、細田守監督最新作『竜とそばかすの姫』を視聴してきました。本当は公開初日に見に行く予定が、諸事情により見に行けず。満を持して今回映画館へと足を運ぶことができました。前評判的には…うんという感じで、The商業映画という感じのレビューやオタク四天王の反応はいまいち。もう絶望的な評価。 ただ、興行収入的には順調であり、8月9日の時点ではありますが、40.7億円、観客動員数も292万人。このまま行けば『バケモノの子』58.5億円を超すか同じような金額になる