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半世紀では(そんなに)変わらない。だけどまったく変わってないわけでもない。 20.12.2

今朝(2日)の某ニングショーで、「子供部屋おじさん」なるものを特集し、ツイッターのトレンド入りしていたらしい。
その前に、その定義は、Wikipediaによると「恋愛経験が薄く、金銭的に親の収入で生活が成り立っている、家事を自分で全くしたことがない実家暮らし男性」らしい。
この記事自体がネットスラングを取り上げていて、かつ中立性に疑問があるが……。

なお、「親を介護している又は親を金銭的に扶養している実家暮らし男性に用いるのは誤用」と明記されているにもかかわらず、番組では高収入の実家暮らし未婚男性を取り上げていたという。

ネットはある意味無法地帯というか、匿名同士のマウントの取り合いみたいな場所とも言えるので放置するしかないが、それをテレビで取り上げるとなると話は別である。
この「子供部屋おじさん」(以下『こどおじ』)という言葉自体が蔑称であり、そのまま取り上げること自体違和感を覚える。しかも、「高収入のなのになぜ実家暮らし」という番組の流れが余計なお世話もいいところである。

たまに、ワイドショーなどで「ゴミ屋敷の住人」を取り上げることがあり、それは「近所に迷惑をかけているから」という体で、取材という名の糾弾をする。
だが、「こどおじ」は家庭外に迷惑をかけている存在ではないし、テレビが乗り込んで糾弾するほどのものでもない。某ニングショーでの、「いい歳して実家暮らしの独身」となると、もはや言い掛かりに近いものがある。


違和を感じるのは、大マスコミが「こどおじ」にしても「ゴミ屋敷の住人」にしても、弱い、もしくは反論されない、されたとしてもどうということのない立場の人々を取り上げている所。
たとえば、彼らが極の道密着とか、大手芸能事務所のスキャンダルを積極的に取り上げたことがあっただろうか。


人間はとかくマウントを取りたがる動物であり、子供の時はいじめやスクールカーストで露骨に序列 が決定されるが、大人になってもそれはなくなることはない。
「こどおじ」の発祥の地である匿名掲示板でもそうだし、リアルでは、理由を付けて他人を叩く。いわく、他人に迷惑をかけるから、社会の秩序・常識を乱すから、と。

LGBTQに対しても、そんな部分はあるのだと思う。

先日、青森県弘前市が東北初の同性パートナーシップ証明制度を導入すると発表したが、それに対しての市民の声が市役所のサイトに掲載されていた。(PDF)

これを読むと、数としては賛否の「否」が多いように見えるが、言っていることはおおむね、
同性パートナーシップを認めない権利も尊重されるべき
社会の秩序・常識を乱す、混乱が生じる
制度まで作って強制するな
などの意見が多い。(言っていることがよくわからないものもあったが……)

「否」の意見はこれまでも言われていたことで、ある意味混乱しているのはご自身たちかもしれない。
ただ、はいそうですかと黙っていれば、いつまでも何も変わらない。それが「否」の人たちの望むところなのだろうが。


昨日の『さんま御殿』で、「私が不安になる時」の視聴者からのネタ投稿で、「部下を叱る時女性口調になる」(男性)を取り上げていたが、令和の現在でも、このネタはまだ生き残っている。
ただ、
昭和なら「オカマ口調」
平成なら「オネエ口調」
と言ったであろうだけの違い。

令和二年ですら(もうすぐ三年)、テレビで「ゲイネタ」が平気で流れている。
まだそんな時代である。

LGBTQが広く認知されつつあると思っていてもこの有様だが、かと言って、ずっと黙っていたままでは、もっと露骨な表現で「オカマ・ホモネタ」が笑いにされていただろう。
余談だが、バブル時代にテレビで「おまえホモなんじゃねえの」的なことを放言していたタレントが平成に入って、LGBTQの人物のドキュメンタリーのナレーションをしれっとしていたことも記憶にある。


人は、自分より弱いもの・立場が下のもの(とみなしている)に対して容赦がない。
現在で言えば、ころな感染者に対しての言動・差別が当てはまるだろう。
それを正当化するために「みんなの迷惑になるから」と言い訳のように付け加える。

そのことはいじめと似ていて、
悪口を言って抵抗しなかったら相手の足を踏みつける。
足を踏みつけて抵抗しなかったら暴力を振るう。
それを見ていた有象無象(モブキャラ)がわらわらと加わり、集団暴力へと発展する。
時が流れ、何事もなかったかのように隠蔽されて、被害者のトラウマだけが残る。

大人の世界において、中年男性は叩きやすい対象なのだと思われる。特に
独身
低収入
実家暮らし
が加わると、(予備群も含めそれ以外の層による)ネットはもちろんのこと、「ころな差別をやめましょう」と訴えるマスコミですら、叩きに回る。
そして、「中年で実家暮らし」はもしかしたら、多くのゲイの人たちにも当てはまるかもしれない。

足を踏まれたら、「痛いからやめてください」と声を上げる。
「おまえは社会に迷惑をかけているから/生産性が無いから/踏むとギャーギャー騒いで面白いから/そこにいたの、気付かなかった/私が足を踏む権利を否定するのか」と言われても言い続ける。
本当にその積み重ね。

半世紀生きてきて何かが劇的に変わった印象はないが、足を踏まれた人たちが口を閉ざしていれば、その行為は時が経つにつれて忘れ去られてしまう。少なくとも、足を踏んだ本人たちの間では。
それは、強く実感している。


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