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仏教

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記事一覧

五蘊

【五蘊】
 仏教で、個体を構成する「色」「受」「想」「行」「識」という5つの要素を、五蘊「ごうん」と言います。「蘊」とは、同じものの集合体のことです。五蘊は、物質的なものと精神的なものからなります。物質的なものは、客観的なもので、精神的なものは、主観的なもののです。五蘊は、サンスクリット語で「パンチャ・スカンダ」と言います。パンチャが5で、スカンダが蘊という意味です。
 この世にある全てのものは、

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仏教の天部

【天】
 仏教に取り入れられた古代インドの神々を「天」と言います。通常、天と呼ぶのは、デーヴァ系の神々のことです。デーヴァとは、サンスクリット語で「輝きを発する者」と言う意味だとされています。例えば、インドラ「帝釈天」、スーリヤ「日天」、ヴァーユ「風天」、アグニ「火天」などがデーヴァです。天は、自然現象の神格化、または、自然の構成要素だとされています。そのため、天地万物の主催者として、人間の運命を

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阿修羅について

【阿修羅】
 阿修羅は、サンスクリット語で「アスラ」と言います。アスラの名前の由来は「生命を与えるもの」です。asuが「命」で、raが「与える」だとされています。別の解釈では「a」が、否定の説頭語で「sura」が「天」という意味です。その場合、別名を「非天」と言います。アスラは、ゾロアスター教では、神々のことです。しかし、インドでは悪魔とされました。アスラは、文明の諸要素の神格化だとされています。

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虚空蔵菩薩と密教

【虚空蔵菩薩】 
 虚空蔵菩薩は、サンスクリット語で「アーカーシャカルバ」と言います。アーカーシャカルバとは「空っぽの母体」と言う意味です。虚空蔵菩薩は、右手を「与願印」に組んでいます。与願印とは、迷う人々の願いを聞き入れ、それを叶えてくれることを意味する印相「指の組み方」です。また虚空蔵菩薩は、仏教で最も尊いとされる結跏趺坐「けっかふざ」という座り方をしています。虚空蔵菩薩が、右手に持つのが智剣

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帝釈天とインドラ

【帝釈天】 
 帝釈天は、3界の王者です。そのため「天帝」とも呼ばれました。サンスクリット語では、インドラと言います。漢字表記では「因陀羅」です。インドラは、忉利天「とうりてん」の喜見城「きけんじょう」に住んでいます。忉利天があるのは、須弥山「スメール」の山頂です。喜見城の庭園「ナンダナ」には、あらゆる願いを叶える、如意樹「にょいじゅ」があります。インドラの乗り物は、3本牙の白象「アイラーヴァタ」

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天龍八部衆

天龍八部衆

【天龍八部衆】
 天龍八部衆とは「天」「阿修羅」「夜叉」「乾闥婆」「緊那羅」「迦楼羅」「龍」「摩睺羅王」という八つの種族のことです。その中でも「天」「鬼神」「音楽神」「動物神」に分けられます。天とは、神々のことです。鬼神には「夜叉」と「阿修羅」がいます。ただし、阿修羅は、もともとは神でした。「乾闥婆」と「緊那羅」が、音楽神で、ともに帝釈天に仕えています。動物神が「迦楼羅」「龍」「摩睺羅王」です。仏

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12因縁とは何か?

【12因縁】
 12因縁とは、釈迦が菩提樹の下で悟ったとされる真理の一つです。別名を12縁起とも言います。縁起とは「あれがあるゆえにこれがある」と言った相互依存関係のことです。この世界は、その縁起によって、成り立っているとされています。我というものも、縁起から個別独立には存在していません。それを無我と言います。
 世界とは、連鎖反応的に出来事が起こる一つの連続体です。その出来事には、12の原因があ

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火天とアグニ

火天とアグニ

【火天】
 火天は、仏教の「12天」「8方天」の一人で、東南の守護者です。サンスクリット語では、阿耆尼「アグニ」と言います。アグニは、リグヴェーダでは、インドラについで讃歌が多く、インドラ、ヴァルナと共にヴェーダ3神に数えられました。リグヴェーダとは、古代インドの神々の賛歌集のことです。ヴェーダ時代のアグニは、主要な神の一人でしたが、ヒンドゥー教の時代になると、その地位は下がりました。アグニの誕生

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大乗仏教の「諸法無我」とは?

大乗仏教の「諸法無我」とは?

【諸法無我】
 諸法無我とは、個別独立的な我を否定する考え方です。それは、仏教の根本思想の一つに数えられます。 「諸法」とは、全ての現象のことで「無我」は、我というものが、この世界から、個別に独立した存在ではないという意味です。我「自分」は、それ自体だけで成り立つものではなく、他のものとの関係性によって存在しています。そもそも、自分の心すら自分の思い通りにはならないものです。そのような状態では、

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大乗仏教の「仏」について

大乗仏教の「仏」について

【仏】
 「仏」の語源は「煩悩の結び目を解く」です。釈迦「仏陀」のような聖者も仏と呼ばれています。仏陀とは「悟りを開いた人」という意味です。仏教そのものや、悟りを開くための方法を「仏法」と呼びます。本来、万物とは、仏という一つのものです。そこに、区別などありませんでした。しかし、自分の認識が、一つであるものを分別しています。人間は、事物をありのままに見ているわけではありません。先入観や偏見でものを

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曼荼羅とは何か

曼荼羅とは何か

【曼荼羅】
 曼荼羅「マンダラ」とは、宇宙の「真理」や「本質」を表現したものだとされています。その語源は「丸い」や「本質を有するもの」です。曼荼羅の円形は、永遠の時間の象徴とされています。円形が、始めも終わりもないものだからです。曼荼羅は、中国では、輪円具足「りんえんぐそく」と言います。「具足」とは「十分に備わっている」や「完全に揃う」という意味です。曼荼羅とは、仏教の宇宙観を視覚的に図式化したも

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空海ついて

空海ついて

【空海】
 空海は、平安時代初期の僧です。讃岐「香川県」の豪族の子として、善通寺で誕生しました。幼名を真魚「まお」と言い、神童だったとされてます。弘法大師という名は、死んでから送られた名前です。遣唐使の留学生に便乗して、国から何の補助も受けずに中国に渡りました。中国で師事したのが、恵果という人物です。空海は、恵果に認められ、真言密教の正統な後継者となりました。日本に帰国してからは、嵯峨天皇から信

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密教とは

密教とは

【密教】
 密教とは、秘密仏教の略称で、言葉や理論を超えた秘密の教えという意味です。その「教義」や「儀礼」は、秘密裏に弟子たちに伝えられました。密教以外の仏教は、顕教と呼ばれています。 日本では、真言宗の「東密」と天台宗の「台密」が有名です。密教は、自力本願の代表で、禅と最も近い仏教とされています。悟りに到るには、個人の実践と経験が必要でした。密教が、最も重視する仏が大日如来です。全ての諸仏、仏教

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地蔵菩薩について

地蔵菩薩について

【地蔵菩薩】
 地蔵菩薩は、サンスクリット語で、クシティガルバと言います。クシティが「大地」で、ガルバが「胎、子宮」という意味です。続けると「大地の蔵」や「大地の母胎」となります。日本の仏像で、最も数が多いのが地蔵菩薩です。地蔵菩薩には「僧形」と「女神形」があります。
 僧形の場合は、子供のような僧侶の姿です。この時、特に装身品は身につけていません。剃髪に、衲衣「のうえ」と呼ばれる袈裟を着ていま

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