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障がいにまつわる発育・発達を理学療法士目線で伝授

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障がいにまつわる発育・発達で気になることを理学療法士が解説しています
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記事一覧

“きょうだい”の関係性について

“きょうだい”の関係性について

きょうだいとは何か。一緒に考えてみませんか。 きょうだい関係は、興味深くそして不思議な関係です。自己を映す鏡のよ うでもあり、類似と非類似、親密さと葛藤の入り混じった存在でもあると言われています。
 きょうだい関係は、いわば、所与のものとしてあると言われています。多くの場合、きょうだいの存在は、非選択的に決定され、与えられています。きょうだい関係は多様ですが、そうした関わりの如何にかかわらず、動か

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漢字の習得が難しい子どもへの学習支援。

漢字の習得が難しい子どもへの学習支援。

漢字の習得が困難なケース 例えば、「お手本を見ながら文字を書き写したり、なぞり書きなど(試写法)の反復練習でなかなか習得できない。」というケースで考えてみたいと思います。まずは3つの検査から困難となっている要因を判断します。
⑴ 全般的知能検査:「知的発達はどうか、発達の凸凹はあるか」
⑵ 読み書きの習熟度検査:「読み書きの正確性や流暢性は保たれているか」
⑶ 認知機能検査:「記憶力はどうか。聴

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小中学生の子どもたちはどのように学び、親はどのように学びをサポートしているか。

小中学生の子どもたちはどのように学び、親はどのように学びをサポートしているか。

ベネッセの調査実態の興味深い点だが抽出していきます。
全文:小中学生の学びに関する実態調査

遊びと勉強にメリハリをつけて勉強している小中学生は7割前後。 勉強のやる気を高めるための方法として、「遊ぶときには遊び、勉強するときには集中して勉強する」(小学 生75.0%、中学生68.3%)、「覚えられるように色ペンで書いたり線を引いたりする」(小学生61.3%、中学生 78.6%)ことが「ある」 (

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親子関係とメンタルヘルス

親子関係とメンタルヘルス

関係性から生じるメンタルヘルスの問題とは 就学前までの子どもの精神保健として、親子関係性があります。人格、とくに後天的 に形成されるといわれる特徴(意思や感情表現)は主に乳幼児期に形成されるので、 養育者や養育態度は人格形成にきわめて重要と言われています。スキンシップによって愛情の保障があって初めて安定した精神発達に、さらにしつけによる行動制限や多くの欲求不満を感じる経験をするがこのような関わりが

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障害のある子どものきょうだい児を育てる親の悩み。

障害のある子どものきょうだい児を育てる親の悩み。

従来のきょうだい児への関心は、このようにきょうだい児が抱える課題とその心理的適応を図るための直接的支援に向けられてきました。しかし、そもそも、 きょうだい児がその成長過程で直面する課題は、障害のある同胞とともに暮らすという家族の状況に起因しているものになります。

きょうだい児育てに関する悩みの有無 きょうだい児が低年齢期にある場合に、悩みを抱える親が多数であり、その傾向は、知的障害のある子ども、

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障害のある方の“きょうだい”。何を感じているのか。

障害のある方の“きょうだい”。何を感じているのか。

 よく“きょうだい児”という言葉にくくられてしまう障害のある方のきょうだい。一体何を感じているのか。少し表在化してみたいと思います。

同胞に障害があることでのきょうだいへの影響 障害のある同胞をもつきようだいへの影響として、障害児・難病児のきょうだいは、「弱者への配慮ができる」、「自立している」と言われることが多いです。また、重要な役目を担うことで能力や自尊心についての感覚を高め、人格の成熟を早

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子どもの人間関係とQOLの関係について。

子どもの人間関係とQOLの関係について。

子どものQOLを問題にするとき、子どもの人間関係についても考える必要があります。この人間関係のネットワークが生涯にわたって人間の精神的な安定を支え、QOLに影響を及ぼすものと考えられています。良好な母子関係が後の子どもの発達や適応に欠かせないことを強調した愛着理論では、母親と子どもの二者関係に注目し、愛着は変化しにくい特性だとみなしていることもあります。

子どものQOL評価引用文献:小学生版QO

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親のメンタルヘルス不全が子どもに与える影響について

親のメンタルヘルス不全が子どもに与える影響について

うつ病の母親と乳幼児への影響 子どもの愛着形成のためには、母親自身が乳児期にどのように育てられた か、母子が父親を含めた家族に支えられているか、あるいは地域に支えられているかというこ とも必要です。
 この時期、母親が身体的あるいは精神的不調を抱えていると、愛着形成に大きな影響が生じる可能性があるといわれています。たとえば母親がうつ病の場合、意欲低下、注意集中困難、思考や行動の抑制などの症状のため

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「気になる子」を育てる母親のメンタルヘルス

「気になる子」を育てる母親のメンタルヘルス

 幼稚園や保育所といった集団で生活する中で、小学校入学前後の時期は、「気になる子」 の成長を気にしながら、もしかしたら何かあるのではないかと保護者の心配が増大する時期でもあります。
 中には、医療受診をして診断を受けようか迷っていたり、実際に診断を受けたりする場合もあります。心配や戸惑いなど保護者自身が不安定な心境になり、その保護者はとりわけ母親の精神的ストレスの様相や増減が家庭での子どもの養育へ

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特別支援学校からの就労の流れ

特別支援学校からの就労の流れ

 多かれ少なかれ全国である程度の流れがあると思います。

特別支援学校生徒の就職の流れ 高校1年生から校内実習、就業体験、地域活動への参加をしながら個別面談で適正・適応能力を磨いていきます。
 そのうえで高校3年生になれば、ハローワークに行くこともあります。またその地域の就労支援A・Bまたは移行支援に行くこともあります。

一般就労に向けて求められる3つの基本的な力・コミュニケーション
返事、あい

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子どもへ「働く」を導く様々な情報や人との関わり。

子どもへ「働く」を導く様々な情報や人との関わり。

 子どもから大人に変わる、つまり社会に参画する一つの方法として働くがあります。そう考えたとき、どんな情報を得て、どんなことに影響されて、働くことを選択するのでしょうか。
参考:世代別にみた意識と就業行動

「仕事・働く」を意識した親から子どもへの進学の助言 図にあるように、多くは「自分がやりたいことを実現できるところに進学すべきだ」と助言するようです。また、、ベネッセ教育研究開発センター「若者の仕

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子どもの特性悪化から二次的問題への対応

子どもの特性悪化から二次的問題への対応

 子どもの発達障害の特性そのものに対応できれば、そこまで大きな問題にならないことが多いです。そのため、適切な支援で健全な成長を伸ばしていくことが大切になりますが、もし、特性に順応した対応ができないと2次的問題が発生してしまいます。

二次的な問題とは? もちろん、障がいの有無に限らず、すべての子どもが2次的な問題になりえます。ですが、障がいを持っている子どもの方がなりやすいと言われ、二次的な問題は

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幼児の問題行動と男女比

幼児の問題行動と男女比

子どもを育てる時にはさまざまな問題、トラブルに直面する。順調に何の問題もなく育つ子は少ないかもしれません。病気やけがをしたり、いじめやけんか、孤立などの社会関係の問題に出会ったり、悪い癖や行動など発達上の問題が現れたりなどさまざまです。こういった問題の中で、特に発達や家庭教育におけるさまざまな問題、それに伴う悩みはたいていの親が経験しています。

客観的に「軽い」「重い」と思われる問題行動と男女比

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現代の保育に求められるインクルーシブとは?

現代の保育に求められるインクルーシブとは?

 幼少期から障がい、気になる子、ちょっと周囲とは違うかもしれない、発達・発育が遅れていると思う子どもが通う児童発達支援事業所では、様々な課題に直面し、「現在の保育」に求められる課題が浮上してきました。

児童発達支援とは?児童発達支援の提供すべき支援は以下の2つに大別できます。
・「発達支援(本人支援及び移行支援)」
・「家族支援」及び「地域支援」
①本人支援
障害のある子どもの発達の側面から、

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