みおこんぼ

相貌失認症の主人公による〈私の実話シリーズ〉 完全オリジナルの百物語をゆるりと語ってい…

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相貌失認症の主人公による〈私の実話シリーズ〉 完全オリジナルの百物語をゆるりと語っていきます。無断転載はお断り。 大体週一更新です。

記事一覧

固定された記事

【実話怪談】その人をその人足らしめるもの

〈第一話〉 私は相貌失認症です。生まれつきそうだったもので、それが普通で当たり前の世界だと疑いもせずに育ちました。 ただ、人の顔を覚えるのが苦手、表情を読み取る…

みおこんぼ
9か月前
279

いつの間にか 花が落ちた
誰かがわたしに嘘をついた
土砂降りでも構わず飛んでいく
その力が欲しかった
米津玄師「さよーならまたいつか」

今週は色々なことが重なり、週1ペースで怪談を書き始めて9ヶ月目にして、初めてお休みをいただくことにしました。また来週、お会いしましょう!

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【人怖】アキオくんから聞いた2つの怖い話【実話怪談】

【人怖】異食アキオくんから聞いた、人が怖い話。 アキオくんと私は大学3回生の時からの長い付き合いです。正確には大学1回生の時にはもう出会っていたのですが、友人にな…

みおこんぼ
2週間前
71

【AIイラスト】GW特別公開

ゴールデンウィークも半ばになりました。おはようございます。 普段はnoteで怪談を書いている、みおこんぼです。 今回は、毎日生成しているAIイラストの一部を公開してい…

みおこんぼ
2週間前
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【実話怪談】2階に行ってはいけない家

私が小学校中学年くらいの時に、数カ月だけ住んだ家の話をします。 正確にいつ、どのくらい住んだかは思い出せませんが、二階建ての一軒家で酷く古い家でした。 転勤の多…

みおこんぼ
2週間前
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【実話怪談】物理的にあり得ない

社会人吹奏楽団で出会った、コバさんの話をします。 コバさんは某有名パン会社の営業さんで、全国転勤のある方でした。 私が趣味で社会人吹奏楽団に入り、3年ほど経った時…

みおこんぼ
1か月前
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【実話怪談】桜の樹の下には

マホ園長の話をします。 マホ園長は、とある小さな院内保育所の園長で、40代前半くらいの女性です。 院内保育所とは、基本的には病院スタッフのお子さまを預かる施設で、0…

みおこんぼ
1か月前
79

【実話怪談】消しゴムのお告げ/下駄チェーン男

「消しゴムのお告げ」私が初めてお付き合いした男の子、レン君のお話です。 大学2回生の夏、突然告白してきた男の子がレン君でした。オーケストラ部トロンボーンパートの…

みおこんぼ
1か月前
77

【人怖】たったひとつの冴えたやりかた

これは私が子育て支援のボランティア活動をしていた時の話です。 当時まだ、子育て支援センター等が普及しておらず、子育てをする母親の孤立が問題になっていました。 良…

みおこんぼ
1か月前
64

【実話怪談】曲げる

大学生の時、アルバイトで家庭教師をしていた時のお話です。 家庭教師は短い時間で高収入のアルバイトなので、大学生には特に人気があります。 個人的には人の家の中が見…

みおこんぼ
1か月前
93

【実話怪談】保育園、こども園の不思議な話【短編2話】

「ビッグフット」昔、子育て支援のボランティア活動をしていた時に仲良くなった、小学生のカホちゃんから聞いたお話です。 カホちゃんは小学4年生で、よく喋る女の子でした…

みおこんぼ
2か月前
86

【実話怪談】失せ物出る

これは私が長野県に住んでいた頃のお話です。 当時小学4年生だった私は、比較的毎日平和に過ごしていました。小さな不思議に出会うことはありましたが、どれも些細なもの…

みおこんぼ
2か月前
96

【実話怪談】ウミウシ

私が小学1年生の時のお話です。 当時北海道のある島に住んでいた私達家族は、7人家族でした。 私が小学1年生の頃は、姉が小学5年生、兄が小学3年生、弟が2歳、妹が生まれ…

みおこんぼ
2か月前
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【人怖】アキオくんから聞いた3つの短いお話【実話怪談】

【人怖】マスクアキオくんから聞いた話。 アキオくんは秋田出身で、私とは大学で知り合いました。 田舎者と思われるのが嫌で、大学デビューを果たしたアキオくんは、とに…

みおこんぼ
2か月前
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【実話怪談】中古服

ユキちゃんの話をします。 ユキちゃんは大学の1回生の時に仲良くなった友人で、大人になった今でも仲の良い関係です。 アルビノゆえに銀髪に紅い目を持ち、パッと見た感じ…

みおこんぼ
3か月前
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【実話怪談】大家さん

大学生の時の、アパートの大家さんのお話です。そのアパートは三之町迷路のど真ん中にありました。 三之町迷路とは、学生から『異界に繋がる』と恐れられていた地区です。 …

みおこんぼ
3か月前
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【実話怪談】その人をその人足らしめるもの

【実話怪談】その人をその人足らしめるもの

〈第一話〉

私は相貌失認症です。生まれつきそうだったもので、それが普通で当たり前の世界だと疑いもせずに育ちました。

ただ、人の顔を覚えるのが苦手、表情を読み取るのが苦手、それだけのことです。

同じ相貌失認症でも、きっと感覚には個人差があると思います。私の場合は、人の顔が覚えられないぶん、相手の声や仕草、立ち振る舞い、服の感じ、全体的な雰囲気を感じ取るのが上手でした。

私が今、保育教諭の仕事

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いつの間にか 花が落ちた
誰かがわたしに嘘をついた
土砂降りでも構わず飛んでいく
その力が欲しかった
米津玄師「さよーならまたいつか」

今週は色々なことが重なり、週1ペースで怪談を書き始めて9ヶ月目にして、初めてお休みをいただくことにしました。また来週、お会いしましょう!

【人怖】アキオくんから聞いた2つの怖い話【実話怪談】

【人怖】アキオくんから聞いた2つの怖い話【実話怪談】

【人怖】異食アキオくんから聞いた、人が怖い話。

アキオくんと私は大学3回生の時からの長い付き合いです。正確には大学1回生の時にはもう出会っていたのですが、友人になったのはプレゼミが始まってからでした。

陽キャでチャラくてコミュ力の塊なアキオくんと、陰キャでインドア派で人見知りな私が、なんだかんだ腐れ縁で友人なのは、ただ1つ共通点があったからだと思います。
それは、漫画が大好きということです。

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【AIイラスト】GW特別公開

【AIイラスト】GW特別公開

ゴールデンウィークも半ばになりました。おはようございます。

普段はnoteで怪談を書いている、みおこんぼです。

今回は、毎日生成しているAIイラストの一部を公開していく回になります。
Days AIという弱小AIイラスト生成アプリしか使わずに、どこまで自分の頭の中にあるイメージをイラストとして描き出すことができるのか、日々挑戦中です♪

文章を書き出すとついつい長くなってしまうので、以下しばら

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【実話怪談】2階に行ってはいけない家

【実話怪談】2階に行ってはいけない家

私が小学校中学年くらいの時に、数カ月だけ住んだ家の話をします。

正確にいつ、どのくらい住んだかは思い出せませんが、二階建ての一軒家で酷く古い家でした。
転勤の多い父に付き合っての引っ越しは、毎度のことながら大変です。
経済的な事情からなのか、住む家はどれもひと癖ありました。その中でも一際奇妙だったのが、今回お話する家です。

その家は条件付きの借家で、隣には大家さんが住んでいました。一見した限り

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【実話怪談】物理的にあり得ない

【実話怪談】物理的にあり得ない

社会人吹奏楽団で出会った、コバさんの話をします。

コバさんは某有名パン会社の営業さんで、全国転勤のある方でした。
私が趣味で社会人吹奏楽団に入り、3年ほど経った時に、コバさんは入団してきたと思います。
コバさんは30代半ばくらいの男性でとても人あたりがよく、行動力もある方で、「転勤で長くはいられないけど……。」と言いながら、自前のチューバをとても良い音で吹き鳴らしていました。
コバさんの凄いとこ

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【実話怪談】桜の樹の下には

【実話怪談】桜の樹の下には

マホ園長の話をします。

マホ園長は、とある小さな院内保育所の園長で、40代前半くらいの女性です。
院内保育所とは、基本的には病院スタッフのお子さまを預かる施設で、0歳〜2歳までのお子さまを一緒に保育します。
病院スタッフと同様に夜勤があったりと、お子さまの数は少人数ながら、独特な家庭的雰囲気のある職場でした。

私がマホ園長と働いていたのは、8年前までです。

マホ園長はとにかく判断力と行動力の

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【実話怪談】消しゴムのお告げ/下駄チェーン男

【実話怪談】消しゴムのお告げ/下駄チェーン男

「消しゴムのお告げ」私が初めてお付き合いした男の子、レン君のお話です。

大学2回生の夏、突然告白してきた男の子がレン君でした。オーケストラ部トロンボーンパートの後輩。身長がとても高くて独特な雰囲気の男の子だったので、相貌失認症を持つ私の人生初異性から告られイベントは幸いにも「この人誰だっけ?」とならずに済みました。

小学校、中学校、高校、大学と同性から告白されることはありましたが、異性からはこ

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【人怖】たったひとつの冴えたやりかた

【人怖】たったひとつの冴えたやりかた

これは私が子育て支援のボランティア活動をしていた時の話です。

当時まだ、子育て支援センター等が普及しておらず、子育てをする母親の孤立が問題になっていました。
良くも悪くも時代が変わり、核家族化が進み、地域社会との繋がりも希薄になり、子育て中の母親の孤立が浮き彫りになってきていた時分。
母親が気軽に息抜きできるようにと、公共施設を使って乳幼児の遊び場の提供と、傾聴による育児ストレス発散。子育て力

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【実話怪談】曲げる

【実話怪談】曲げる

大学生の時、アルバイトで家庭教師をしていた時のお話です。

家庭教師は短い時間で高収入のアルバイトなので、大学生には特に人気があります。
個人的には人の家の中が見られるというのが面白くて、短い期間の家庭教師でも積極的に受けるようにしていました。
人に教えることも性に合っていたようで、受け持った生徒さんは順調に成績を上げていき、評判も上々。家庭教師仲介本部に気に入られ、徐々に紹介される生徒も難しい子

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【実話怪談】保育園、こども園の不思議な話【短編2話】

【実話怪談】保育園、こども園の不思議な話【短編2話】

「ビッグフット」昔、子育て支援のボランティア活動をしていた時に仲良くなった、小学生のカホちゃんから聞いたお話です。
カホちゃんは小学4年生で、よく喋る女の子でした。

「私が昔行ってた保育園のこと、特別に教えてあげる!」

ある時、何をどう気に入られたのか私にだけ教えてくれたのが、保育園での奇妙なお話でした。
その保育園は私のマンションからも近く、白いフェンスに囲われた古い保育園です。歴史のある保

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【実話怪談】失せ物出る

【実話怪談】失せ物出る

これは私が長野県に住んでいた頃のお話です。

当時小学4年生だった私は、比較的毎日平和に過ごしていました。小さな不思議に出会うことはありましたが、どれも些細なもので、語るほどではありません。
例えば、兄とスゴロク遊んでいる時、手にしたサイコロが、振った途端に消えたことがありました。兄も消えるところを見ていたものですから、一緒になって大騒ぎしたことを覚えています。
他にも、見た目が明らかに浅い水たま

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【実話怪談】ウミウシ

【実話怪談】ウミウシ

私が小学1年生の時のお話です。

当時北海道のある島に住んでいた私達家族は、7人家族でした。
私が小学1年生の頃は、姉が小学5年生、兄が小学3年生、弟が2歳、妹が生まれたばかり。母は下の兄弟2人のお世話で忙しく、必然的に上の兄弟3人が毎日一緒になって遊んでいました。
当時はまだおおらかな時代で、土地柄もあったのでしょうか。私達兄弟は山にも川にも海にも、子どもだけで行き、1日中自然と戯れて遊びました

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【人怖】アキオくんから聞いた3つの短いお話【実話怪談】

【人怖】アキオくんから聞いた3つの短いお話【実話怪談】

【人怖】マスクアキオくんから聞いた話。

アキオくんは秋田出身で、私とは大学で知り合いました。
田舎者と思われるのが嫌で、大学デビューを果たしたアキオくんは、とにかくチャラくて声が大きくて馴れ馴れしくて……私とは縁のないタイプの男性だと思っていました。
ところが、不思議なことに、このアキオくんは大人になった今も交流があります。

そんなアキオくんが、この間会ったときに「悪いけどマスク外してくれない

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【実話怪談】中古服

【実話怪談】中古服

ユキちゃんの話をします。

ユキちゃんは大学の1回生の時に仲良くなった友人で、大人になった今でも仲の良い関係です。
アルビノゆえに銀髪に紅い目を持ち、パッと見た感じは外国人にしか見えません。
更には普段からロリータ服を身に纏い、個性を殺す日本の社会ではとても目立つ存在でした。
相貌失認症を持つ私が、ひと目で存在を認識できる有り難い友人の1人です。
そんなユキちゃんとは当時住んでいたアパートも一緒で

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【実話怪談】大家さん

【実話怪談】大家さん

大学生の時の、アパートの大家さんのお話です。そのアパートは三之町迷路のど真ん中にありました。
三之町迷路とは、学生から『異界に繋がる』と恐れられていた地区です。
ぐちゃぐちゃに入り組んだ道は、1つ間違えると目的地には辿り着けず、迷ってしまいます。
また、『三之町迷路で待ち合わせをしても会えない』など、怪奇談が後を絶たない区域でもありました。

そんなわけで、三之町迷路は学生から畏れられており、『三

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